医薬品を薬局や医療機関等へ卸す事業では、販売先が法令上の相手に当たるか、取扱品目に合う営業所管理者と設備を置けるかを確認し、営業所ごとの卸売販売業許可を準備します。「法人に売るから卸売」という判断だけでは足りません。
この記事では、医薬品の卸売販売業許可について、全国共通の販売先・営業所管理者・構造設備の基本と、申請準備の手順を解説します。窓口、様式・添付方法、手数料、受付日程は営業所所在地の自治体で確認してください。自治体の手続きは具体例として区別し、全国一律の扱いと混同しない形で紹介します。一般のお客さまへの小売や薬局の調剤は、別の専門ページで扱います。制度・手続きの確認日:2026年11月5日。
営業所を準備する前の3つの確認
- 販売先:取引予定先の許可・資格と、法定の販売先に当たる根拠を確認する。
- 管理者:薬剤師配置が原則。品目による例外は適用条件を個別に確認する。
- 保管と出荷:営業所・保管場所・温度管理を、取扱品目と取引の流れに合わせる。
一般のお客さまへの店頭販売は店舗販売業許可、処方箋による調剤を行う薬局は薬局開設許可として検討します。事業全体の区分を整理したい方は医薬品販売業の許可比較・選び方へ進んでください。
卸売販売業の販売先は、相手の業種・許可から確認する
卸売販売業では、薬局開設者、医薬品の製造販売業者・製造業者・販売業者、病院・診療所等の開設者など、法令で定める相手へ医薬品を販売します。一般の会社や個人事業主であることだけでは、販売先に該当するとはいえません。
| 取引の予定 | 準備する確認 |
|---|---|
| 薬局・医薬品販売業者へ納品 | 許可証等から相手の名義・所在地・許可区分と有効性を確認 |
| 病院・診療所等へ納品 | 開設者・施設・使用目的等から該当性を確認 |
| 一般企業・個人に販売 | 法人・事業者という理由だけで卸売の相手と判断しない |
| サイトで受注する | 受注方法より、相手の資格・販売品目・実際の取引先を先に確認 |
新規の取引予定先について、名称、所在地、業種、許可・開設に関する資料、納品予定品を一覧にして窓口へ示すと、販売先の確認がしやすくなります。すべての販売先をこの表の例だけで判断せず、法令と営業所所在地の最新案内で、販売先の対象を照合してください。
卸売販売業の許可で、一般のお客さま向けの医薬品通販ができるわけではありません。卸売サイトの開設と、小売の特定販売を追加する手続きは区別します。
参考:医薬品医療機器等法施行規則(販売先の範囲等・全国共通) / 具体例:兵庫県の卸売販売業の手引き(業務・販売先・許可申請)
営業所管理者は薬剤師を原則に、品目による例外を確認する
営業所管理者には、原則として薬剤師の配置が必要です。資格だけでなく、実際に営業所を管理できる勤務、他の勤務先との関係、管理する範囲を確認します。登録販売者の資格だけで卸売販売業の管理者になれる、という制度ではありません。
指定卸売医療用ガス類又は指定卸売歯科用医薬品のみを扱う場合など、取り扱う医薬品によっては、薬剤師以外を管理者にできる例外があります。ただし、品目の限定と管理者側の資格・知識経験等の条件があるため、「ガスを含む」「歯科向け」というだけで適用を決めないでください。
- 取扱品目一覧を作り、どの例外・特例の対象かを確認する。
- 管理者候補の資格、必要な知識・経験を示す資料を準備する。
- 勤務予定と使用関係を整理し、兼務や遠隔での管理を自己判断しない。
- 取扱品を追加するときは、現行の管理者で対応できるかを先に確認する。
参考:医薬品医療機器等法施行規則(営業所管理者の要件等・全国共通) / 具体例:兵庫県の手引き(営業所管理者・取り扱う医薬品ごとの要件)
営業所・保管設備と、小規模卸等の特例を確認する
全国共通の薬局等構造設備規則では、卸売販売業の営業所の面積は原則としておおむね100㎡以上とされています。ただし書による例外の適用や面積の算定範囲は、取扱品目・在庫量・保管方法を示し、所在地の審査基準と窓口で確認します。衛生的な管理、他の場所との区別、取扱品に応じた温度管理、必要な冷暗貯蔵・施錠設備も確認してください。次の表は兵庫県の審査基準を使った具体例で、国の営業所面積の規定と、県の倉庫面積の取扱いを区別しています。
| 構造設備の確認 | 兵庫県の審査基準で確認する例 |
|---|---|
| 原則の面積 | 医薬品倉庫の面積はおおむね100㎡以上。特例は別途条件を確認 |
| 照明・衛生・区画 | 医薬品を通常交付する場所は60ルクス以上。換気と清潔、他の卸売営業所・居住場所等との明確な区別も確認 |
| 冷暗貯蔵・毒薬 | 取扱品に必要な冷暗貯蔵設備、毒薬を扱う場合の施錠設備等 |
| 特例を検討する場合 | 倉庫を含めた営業所面積と、取扱品・在庫量に応じた保管実態を確認 |
参考:薬局等構造設備規則(第3条・全国共通) / 具体例:兵庫県の薬局等許可審査基準・指導基準(卸売販売業)
図面には、営業所の位置、医薬品を置く場所、入荷から保管・出荷までの流れを示します。保管を外部へ委託する場合や別の場所に在庫を置く場合は、許可を受ける営業所との関係と、各場所で必要な許可・設備を窓口へ確認してください。
在庫が少ないだけで、小規模卸等になるわけではない
国の構造設備規則には、医薬品の衛生的・安全な保管に支障がなく、やむを得ないと認められる場合の面積に関するただし書があります。具体例として、兵庫県は小規模卸、特定品目卸、サンプル卸に関する適用許可願を案内しています。取扱品目、事業形態、保管・配送等の条件を所在地の案内で確認し、在庫金額や面積が小さいという事情だけで通常の要件が不要になるとは判断しないでください。
兵庫県の地域例として、特例の営業所は倉庫を含め原則13.2㎡以上、指定卸売歯科用医薬品のみの場合は9.9㎡以上という取扱いもあります。この面積を全国共通の特例基準として使わないでください。ただし、取扱品や最高在庫量に適した倉庫面積、特例の適用条件の確認が必要です。「13.2㎡あれば小規模卸の許可が取れる」と単純化しないでください。
特例を検討する場合は、どの品目をどこで保管し、誰がどの相手へ出荷するのかを説明し、該当性を確認してから設備を決めます。特例の申請が、本体の卸売販売業許可を不要にするわけでもありません。
卸売販売業の申請先は、所在地と許可区分で確認する
申請窓口は、営業所の所在地と許可区分によって異なります。自治体への事務移譲や受付分担もあるため、所在地の都道府県・市区が公表する薬務手続き案内で「卸売販売業」の提出先を確認してください。次の表は兵庫県内の具体例です。
| 営業所の所在地(兵庫県の具体例) | 兵庫県内の卸売販売業の受付窓口 |
|---|---|
| 神戸市・姫路市・尼崎市・西宮市・明石市 | 兵庫県薬務課 |
| 上記以外の兵庫県内 | 営業所所在地を管轄する県健康福祉事務所 |
上の表は兵庫県の具体例です。神戸市内でも、店舗販売業は神戸市保健所、卸売販売業は兵庫県の窓口という違いがあります。ほかの地域へこの受付分担を当てはめず、所在地と許可区分を指定して確認してください。最寄りの保健所や本社所在地だけで窓口を決めないことが大切です。
事前相談では、営業所所在地、開設者、取扱品目、管理者候補、販売先、開始希望日と図面を示します。具体例の窓口・受付方法の出典は、兵庫県の薬局・医薬品販売業等の許可・届出案内です。実際の申請には、営業所所在地の最新案内を使ってください。
新規申請の必要書類と、原本確認の準備
申請では、開設者、営業所の構造設備、管理者、取扱品目・業務体制を示す資料を準備します。正式な様式・添付書類・発行期限・原本確認方法は、営業所所在地の最新案内で確定してください。次の表は兵庫県の提出物を使った具体例です。
| まとまり | 兵庫県での主な準備項目 |
|---|---|
| 申請と営業所 | 卸売販売業許可申請書、構造設備の概要、付近見取図・建物配置図・営業所平面図 |
| 法人 | 発行後3か月以内の履歴事項全部証明書、薬事に関する業務に責任を有する役員の情報等 |
| 管理者 | 使用関係を示す書類、薬剤師免許証等の資格を示す資料 |
| 品目・事業の条件 | 取扱品目、管理・業務体制、小規模卸等の適用許可願など該当する資料 |
| 該当者のみ | 所定の条件に該当する場合の医師の診断書等 |
上の表は兵庫県の提出物を使った地域例です。登記事項証明書の発行期限や資格資料の提出方法を含め、申請者・役員・管理者・取扱品に応じて実際の申請先の最新手引きで確定します。すべての申請者に診断書や特例書類が必要なわけではありません。また、神戸市の店舗販売業における法人番号による登記添付省略を、兵庫県の卸売販売業や他地域へそのまま適用しないでください。
資格証の写し・原本確認方法は、申請先で確認する
資格証書等の確認方法は、実際の申請先の案内で確認します。具体例として、兵庫県は2026年5月25日から、原本提示のほか、原本証明された写し又は原本証明書による方法を案内しています。証明の作成者・記載事項・対象資料等を県の案内に合わせ、他地域でも同じ方法を使えるとは判断しないでください。必要に応じて原本確認を求められる場合もあります。
手数料・日程と、許可後の取引管理
申請手数料・納付方法・受付日程は全国一律ではなく、営業所所在地の最新案内で確認します。具体例として、兵庫県の新規申請手数料は29,000円です。県収入証紙、電子納付、対応窓口でのキャッシュレスなど、県が案内する方法から、窓口・提出方法に合うものを確認します。この金額と納付方法を全国共通の扱いとして使わないでください。物件・設備、管理者採用、証明書取得、専門家へ依頼する場合の報酬は別の費用です。
提出期限、標準処理期間、事前相談や実地の確認は、申請先へ取扱品・設備・開始希望日を示して確認してください。ほかの自治体や別の許可区分の日数を、そのまま予定に使わないでください。例えば、神戸市の店舗販売業の「20日前」「休日を除く20日」は、卸売販売業の全国共通の所要日数ではありません。
- 販売先と取扱品目を確定し、管理者候補を確認する。
- 営業所・保管場所の図面と事業の流れを相談する。
- 必要な設備・人員・業務体制と申請書類を整える。
- 管轄へ申請し、現地の確認や補正に対応する。
- 許可の取得と開始日、許可内容を確認し、取引・保管・管理の記録を整えて営業を始める。
開業後も、販売先の資格確認、医薬品の入出庫・保管・取引記録、管理者による管理を継続します。開設者、営業所、管理者、取扱品、設備等を変えるときは、変更届又は新規許可等の要否を事前に確認し、有効期限と更新時期も管理してください。
薬局や店舗販売業との併設は、所在地の審査基準と窓口で、各許可の要件と管理方法を確認します。具体例として、兵庫県の基準には重複許可の取扱いがあります。併設できることと、すべての品目をどの相手にも売れることは別です。販売先・在庫・保管区画等の管理方法を、図面と業務の流れで相談してください。
卸売販売業の申請でよくある質問
一般企業向けの販売は、すべて卸売販売業ですか
いいえ。相手が法人かどうかだけでなく、法令上の販売先に当たるかと取扱品を確認します。一般消費者向けの販売を卸売の許可で行うことはできません。
登録販売者を管理者にできますか
薬剤師の配置が原則です。品目による例外の該当性と候補者の要件は、全国共通の法令に照らし、営業所所在地の最新案内と窓口で確認してください。登録販売者の資格があることだけでは判断できません。
注文を受けてから仕入れるなら、設備の確認は不要ですか
在庫を常時置かない計画でも、取引と保管・配送の実態を示して、許可・構造設備・特例適用の確認が必要です。自社で保管しないという説明だけで要件がなくなるとは判断しないでください。
事業計画が変わったときに確認する関連手続き
販売先一覧・品目一覧・図面を使って相談する
卸売販売業の新規申請を検討している方は、予定地・取扱品・管理者候補・開始希望日をお知らせください。サクセスファン行政書士事務所で、対応できる手続きの範囲と費用を確認してご案内します。