神戸市で療育手帳を申請するときは、まずお住まいの区役所保健福祉課などに相談します。18歳以上で初めて申請する方は、区役所への事前連絡が必要です。判定は、18歳未満と18歳以上で担当する機関が異なります。
療育手帳を調べ始めると、「うちの子も対象になるのか」「大人になってからでも申請できるのか」「手帳を取ると何が変わるのか」など、手続き以外にも気になることが出てきます。このページでは、神戸市の対象・判定の考え方から、申請の準備、取得後の支援、再判定や紛失時の手続きまで説明します。
初めての申請なら対象と準備から、すでに手帳をお持ちなら「再判定」「再交付・変更・転居」の項目からご確認ください。身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳との違いを知りたい方は、3種類の障害者手帳の違いと申請の入口もご覧ください。
神戸市の療育手帳とは。対象とA・B1・B2の違い
療育手帳は、知的障害のある方が、相談や福祉サービスなどを受けやすくするための手帳です。神戸市では、市内に住所があり、市の判定機関で知的障害と判定された方が交付対象となります。市の支給等によって市外の施設へ入所している方には、住所の扱いに特例があります。
「療育」という名前ですが、子どもだけの手帳ではありません。神戸市は18歳以上の新規申請も案内しています。18歳になる前に取得していないことだけを理由に、申請を諦める必要はありません。
区分は知的能力と社会生活能力等を合わせて判定する
神戸市の障害程度は、重度A、中度B(1)、軽度B(2)の3区分です。市の要綱では、知的能力について次の区分を定めています。
| 神戸市の区分 | 知的能力の区分として定められたIQまたはDQ |
|---|---|
| A(重度) | 35以下 |
| B(1)(中度) | 36〜50 |
| B(2)(軽度) | 51〜75 |
この表だけで交付の可否や手帳の区分を判断することはできません。市は知的能力に加え、社会生活能力等を踏まえて総合的に判定します。検査の数値だけでなく、普段どのような場面で援助が必要なのかも確認するためです。
たとえば、身の回りのことを一人で進められるか、説明を理解して行動できるか、お金や時間の管理にどの程度の支援が必要かなど、ご本人の生活全体に目を向けて準備すると、相談で伝えることが見えてきます。
発達障害の診断がある場合は、兵庫県と神戸市の案内を分けて確認する
発達障害の診断があることだけで、神戸市の療育手帳の対象かどうかが決まるわけではありません。神戸市の要綱では、知的障害と判定された方を対象としています。知的障害を伴うか、神戸市の判定に該当するかを相談します。
ここで気をつけたいのが、兵庫県の制度との違いです。県立知的障害者更生相談所の案内には、知的障害を伴わない発達障害のある方でも、日常生活上の支援の必要性などからB(2)の交付対象となる取扱いがあります。しかし、県立相談所の対象地域から神戸市域は除かれています。県の案内をそのまま神戸市の申請条件として使わないようにしてください。
手帳の対象になるか分からなくても、生活や通園・通学、仕事で困っていることは相談できます。利用したい支援があれば、手帳の相談と一緒に伝えましょう。
参照:神戸市の療育手帳、兵庫県立知的障害者更生相談所の対象地域、兵庫県の療育手帳Q&A
神戸市で初めて申請する流れ
基本の流れは、窓口への相談・申請、判定の日程と準備の確認、判定、結果の通知と手帳の受け取りです。申請書を出す場所と、判定を受ける機関を分けて考えると分かりやすくなります。
1. お住まいの区役所へ相談する
申請の相談先は、お住まいの区役所保健福祉課、北須磨支所保健福祉課、玉津支所です。お住まいの地域の担当窓口へ、申請する方の年齢と「初めての申請」であることを伝えてください。
18歳以上の新規申請は、まずお住まいの区役所保健福祉課へ事前に連絡します。玉津支所では、18歳以上の新規申請を受け付けていません。先に判定機関へ出向くのではなく、区役所で申請の進め方を確認しましょう。
電話では、たとえば「神戸市○区に住む○歳の本人について、初めて療育手帳を申請したいです。窓口に行く前に準備するものと、本人・家族の来所が必要かを教えてください」と伝えると、必要な案内につながりやすくなります。
2. 申請時と手帳を受け取る時の持ち物を分けて準備する
神戸市の公式案内に掲載されているものは、次のとおりです。
| 準備する時点 | 主な持ち物 |
|---|---|
| 申請時 | 療育手帳交付申請書(窓口で受け取る) |
| 申請時 | 本人の個人番号が分かるものと、身元を確認できるもの。マイナンバーカードなど |
| 申請時 | 窓口へ行く方の身元を確認できるもの。運転免許証など |
| すでに手帳を持っている場合 | 現在の療育手帳 |
| 交付・再交付時 | 上半身の写真(縦4cm×横3cm)と印鑑 |
上の表は市の案内を整理したものです。判定に使う資料は、これとは別に指示されることがあります。また、本人以外が窓口へ行く場合は、本人との関係や必要な確認書類を事前に尋ねてください。
診断書や心理検査の結果をすでに持っている方は、資料名・受診先・検査日を伝え、提出が必要かを確認しましょう。相談前から新たな診断書を取り寄せると、必要な様式や情報が合わないことがあるため、まず求められる資料を確かめる順番がおすすめです。
3. 年齢に応じた機関で判定を受ける
| 申請する方の年齢 | 神戸市の判定担当 |
|---|---|
| 18歳未満 | こども家庭センター |
| 18歳以上 | 知的障害者更生相談所 |
市の判定機関が、ご本人の状態を総合的に確認します。判定日時、場所、同行者、持参資料は、申請後の案内に沿って確認してください。18歳の誕生日が近い方は、申請時にそのことも伝えましょう。
なお、神戸市の要綱には、他市の判定結果や、市が定める療育・教育相談機関での評価を活用できる場合があると定められています。過去の結果がそのまま使えるか、新たな評価が必要かは、市の判定機関が判断します。すでに検査を受けている方は、その情報を最初の相談で知らせておくとよいでしょう。
4. 結果を確認し、交付される場合は手帳を受け取る
市は判定結果に基づいて交付の可否を決め、交付する場合は福祉事務所を通じて手帳を渡します。交付の対象にならない場合は、却下決定通知書で通知されます。
手帳を受け取ったら、氏名・住所、障害程度、旅客運賃割引の種別、次の判定年月を確認してください。利用したい制度の申請が別に必要かも、このときに確認しておくと、手帳を受け取った後の手続きが進めやすくなります。
判定前に整理したい生活の様子と資料
判定の準備では、「何ができないか」だけを並べるより、普段どのように過ごしているか、誰がどのように支えているかを具体的に伝えられるようにしておきましょう。
次の表は、相談のためのメモの例です。市が定めた必須提出書類や、交付の可否を判定するチェックリストではありません。
| 整理すること | メモする例 |
|---|---|
| 身の回りのこと | 着替え・食事・持ち物の準備は一人でできるか。声かけや手助けが必要な場面 |
| 理解・やり取り | 説明の理解、予定変更への対応、困ったときに助けを求める方法 |
| 外出・お金・時間 | 道順や交通機関の利用、お金の管理、約束の時間への対応 |
| 学校・仕事・家庭での様子 | 場面による違い、受けている支援、繰り返し困っていること |
| これまでの経過 | 発達や学習で気になった時期、相談先、受診・検査の時期 |
「一人でできる」と思っていても、家族が毎回予定を組み、手順を示していることがあります。その支援も含めて説明すると、ご本人の普段の生活が伝わりやすくなります。反対に、困りごとを大きく伝える必要もありません。できていることと援助が必要なことの両方を書いておきましょう。
大人になってから初めて申請する方は、今の困りごとに加えて、子どもの頃からの様子をどのように確認するかも窓口へ尋ねてください。過去の検査結果、母子健康手帳、学校の記録などが手元にあれば、参考資料として必要かを確認できます。手元にない場合も、そのことを率直に伝え、ほかに何を準備できるか相談しましょう。
人の多い場所や長い待ち時間が苦手、会話で説明することが難しい、体調によって来所が難しいなど、配慮してほしいことは日程調整の際に伝えてください。同行者や当日の進め方を事前に話し合うための情報になります。
療育手帳で利用を検討できる支援
手帳を取得すると、福祉制度や料金割引などを利用する際に、障害の状態を示しやすくなります。ただし、手帳が交付されれば、すべての支援が自動的に始まるわけではありません。制度ごとに、障害程度、所得、年齢、利用方法などの条件を確かめます。
税金の障害者控除
所得税では、ご本人、同一生計配偶者、扶養親族が税法上の障害者に該当する場合、障害者控除を受けられます。知的障害が重度と判定された方は、特別障害者に該当します。16歳未満の扶養親族でも、障害者控除は対象になります。
所得税の控除額は、障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円です。これは所得から差し引く金額であり、その金額が現金でもらえる、またはそのまま税金から引かれるという意味ではありません。同居特別障害者は、一定の同居要件を満たす同一生計配偶者・扶養親族についての区分です。
適用する人や手続きについては税務署等へ確認してください。住民税は控除額などが異なるため、所得税と分けて確認します。
出典:国税庁「障害者控除」
福祉パスや交通機関の運賃割引
神戸市の福祉パスでは、療育手帳の所持者は介護付乗車証の対象に含まれます。対象交通機関、申請方法、介護者の利用方法を市の案内で確認しましょう。
JRの割引では、手帳のA・B1・B2の欄だけでなく、旅客運賃減額欄の「第1種・第2種」を確認します。たとえばJR東日本の案内では、第1種の方と介護者の普通乗車券等は50%割引、本人が単独で利用する場合は第1種・第2種とも営業キロが100kmを超える普通乗車券が50%割引です。
乗車券の種類や同行の有無によって条件が変わります。特急券を含むすべてのきっぷや、すべての交通機関が一律半額になるわけではありません。利用する会社・路線の公式案内を確認して購入してください。
参照:神戸市FAQ「福祉パスの交付資格」、JR東日本「障害者割引制度」
医療費助成や福祉サービス
神戸市の重度障害者医療費助成では、療育手帳A判定や、身体障害者手帳3級と療育手帳B1判定の重複障害などが、障害の要件に含まれます。住所・所得・他の医療費助成の受給状況などの条件もあり、別途申請して資格の認定を受ける必要があります。
日中の活動、生活の援助、家族の支援などについては、市の障害福祉窓口で利用できる制度を相談してください。手帳の区分だけで使える支援を決めつけず、「どんな生活を送りたいか」「今何に困っているか」を一緒に伝えることが大切です。
また、障害年金は手帳とは別の制度です。手帳の交付だけで自動的に支給されるものではなく、年金独自の要件と請求手続きがあります。年金の相談は年金事務所等へ確認しましょう。
参照:神戸市「重度障害者医療費助成」、神戸市「障害者福祉のあらまし」、日本年金機構「障害年金」
費用と交付までの期間は、何を確認すればよい?
費用は、手帳の申請・判定・交付に関する費用と、準備にかかる実費を分けて確認します。写真の準備、来所の交通費、医療機関の書類を求められた場合の文書料など、どの項目が必要かはご本人の準備状況によって変わります。
窓口では「申請・判定・交付の費用の有無」「自分で準備する写真や資料」「医療機関の書類が必要なら指定様式と作成時期」の3点を確認してください。事務所などに書類準備の支援を依頼する場合は、その報酬と実費を別に確認します。
期間も、次の3つに分けて尋ねると、予定を立てやすくなります。
- 相談・申請から判定を受けられる日まで。
- 判定当日の所要時間と、追加の来所・資料提出が必要になる可能性。
- 判定が終わってから結果が分かり、手帳を受け取るまで。
このページで参照した神戸市の公式案内には、すべての方に共通する交付日数は示されていません。他の自治体の「約1か月」「判定当日に交付」といった説明を、神戸市の予定には当てはめないでください。
進学や就職などで手帳を使いたい時期がある方は、最初の相談でその時期を伝えましょう。手帳が届く前に利用したい支援がある場合は、その制度の窓口にも、申請中の取扱いを確認してください。
再判定は、手帳の「次の判定年月」を確認する
神戸市では、判定機関が定めた「次の判定年月」に達したとき、再判定の申請を行い、判定を受けることになっています。また、交付後に知的障害の程度に著しい変化が生じたと認められる場合は、再判定を申請できます。
療育手帳を「全員2年ごとに更新する手帳」と考えないことが大切です。まず手元の記載を確認し、時期が近づいたら区役所へ連絡して、いつ申請すればよいか、何を持参するかを確認しましょう。記載の意味や再判定の必要性が分からない場合も、区役所に尋ねてください。
神戸市の要綱には、正当な理由なく再判定を申請しなかった場合などに、市が返還を命じることができる規定があります。予定の年月を過ぎてしまった方は、自己判断で放置せず、現在の手帳の取扱いと再判定の進め方を早めに相談してください。
紛失・住所変更・引っ越しでは、手続きの種類を分ける
| 状況 | 確認する手続き |
|---|---|
| 手帳をなくした・破損した | 再交付の申請 |
| 氏名、住所、保護者等が変わった | 記載事項の変更 |
| 障害程度に著しい変化があった | 再判定の申請 |
| 神戸市外へ転出する | 神戸市の手帳の返還と、転出先での交付手続き |
| 再交付後に、なくした手帳が見つかった | 見つかった旧手帳の返還 |
| 手帳を持つ方が亡くなった | 返還の届出 |
紛失による再交付は、障害程度を判定し直す再判定とは目的が異なります。「手帳をなくしたから初回と同じ判定を一からやり直す」と決めつけず、再交付と再判定の予定が重なる場合も含め、窓口で確認してください。
神戸市と兵庫県内のほかの市町を移る場合も確認する
療育手帳は自治体ごとに運用されるため、引っ越し先でも同じ手帳をそのまま使えるとは限りません。神戸市から県内のほかの市町へ移る場合も、神戸市と兵庫県では交付主体が異なります。
転出前の区役所には返還の手続き、転出先には新たな交付の手順、以前の判定資料を使えるか、利用中のサービスを継続するための手続きを確認しましょう。手帳を返す時期も含め、両方の窓口の案内を照合してください。
神戸市へ転入する方は、以前の手帳と判定時期を区役所に伝えます。神戸市の要綱には市外の判定結果を活用できる規定がありますが、すべての方が新たな判定なしで交付されるという意味ではありません。
出典:神戸市療育手帳制度実施要綱 第5・10〜12条、兵庫県「療育手帳Q&A」転出・転入
よくある質問
医師の診断書があれば、療育手帳をもらえますか?
診断書だけで交付が決まるわけではありません。神戸市の判定機関が知的能力と社会生活能力等を総合的に判断し、市が交付の可否を決めます。すでに持っている診断書・検査結果は、何が判定資料として必要かを窓口に確認してください。
B2でも利用できる制度はありますか?
あります。たとえば所得税の障害者控除や交通機関の割引などは、重度Aの方だけの制度ではありません。ただし、扶養等の条件、旅客運賃割引の種別、距離、同行者の有無などを制度ごとに確認します。医療費助成など、別の障害程度の要件がある制度もあります。
手帳が取れなかったら、支援を受けられませんか?
手帳がないことだけで、すべての支援が使えなくなるわけではありません。たとえば神戸市の児童発達支援は、療育の観点から支援が必要と認められる主に就学前の児童が対象で、手帳の有無は問わないと案内されています。ただし、利用には別の申請手続きが必要です。
判定結果について分からない点を相談するとともに、今の困りごとに合う支援を区役所へ尋ねてください。
出典:神戸市「児童発達支援」
家族だけで手続きを進められますか?
神戸市の要綱では、本人または保護者が交付申請を行うこととされています。ただし、申請書の提出と本人の判定は別の段階です。本人が窓口へ行く必要があるか、判定に誰が同行するか、どの確認書類が必要かを区役所へ確認してください。
18歳になったら、今の手帳はどうなりますか?
神戸市では18歳未満と18歳以上で判定担当が異なります。18歳になる前後の手続きは、現在の「次の判定年月」とあわせて区役所に確認しましょう。18歳になれば自動で別の手帳が届く、あるいは必ず同じ日に失効する、と自己判断しないでください。
相談前には、この5点をそろえておきましょう
- ご本人の年齢と、お住まいの区。
- 初回申請・再判定・再交付・記載変更のどれについての相談か。
- 現在の手帳の有無、発行した自治体、次の判定年月。
- 過去の相談・受診・検査の時期と、日常生活で援助が必要な場面。
- 利用したい支援、希望する時期、来所にあたり配慮してほしいこと。
すべてをそろえてからでなければ相談できない、という意味ではありません。分かる範囲をメモにして、足りないものは何かを窓口と一緒に確認していきましょう。
書類の準備について事務所への相談を希望される方へ
お問い合わせの際は、手続きの種類とお住まいの区、現在困っている点をお知らせください。対応できる範囲と費用を確認したうえで、依頼をご検討ください。障害程度の判定や交付の可否は市が判断するため、手帳の取得を保証するものではありません。
最初のお問い合わせでは、診断書・手帳・本人確認書類の画像やマイナンバーは送らず、必要性と受け渡し方法を確認してからご準備ください。
※2026年11月4日に確認した神戸市等の公式案内に基づきます。制度の改正や個別の事情により手続きが異なる場合があるため、申請時には市の最新案内もご確認ください。