「デリヘルの許可を取りたい」と考えている場合、まず確認するのは、無店舗型性風俗特殊営業の届出です。
ラウンジやキャバクラなどの接待飲食店で問題になる風俗営業1号の許可とは、別の制度です。
ココがポイント
「無店舗型」は、事務所や受付方法を考えなくてよいという意味ではありません。
どこで、誰が、どのように依頼を受け、どの施設を使って営業するかによって、確認する内容が変わります。
この記事は、デリヘル(派遣型ファッションヘルス)の開業を計画している方に向けた届出準備の案内です。事務所・待機所・受付所の使い方を整理し、物件、届出資料、広告の順に確認します。
デリヘル以外の営業を計画している方や、まず営業区分を確認したい方は、次の総合案内をご覧ください。
-
-
性風俗関連特殊営業の5区分|営業内容から確認する届出の種類
性風俗関連特殊営業の5区分を、店舗・派遣・物品配送・映像送信・電話取次ぎの違いから整理。予定する営業の区分を絞り、該当する公式手続やデリヘルの届出準備へ進めます。
デリヘルは、無店舗型性風俗特殊営業の1号を確認する
いわゆるデリヘルは、通常、無店舗型性風俗特殊営業のうち、派遣型ファッションヘルス営業の区分を確認します。
法律では、客の依頼を受けて役務を行う者を派遣し、人の住居や宿泊施設で所定の役務を提供する営業とされています。
風営法第2条第7項第1号/警察庁・解釈運用基準 第6
ここでいう「1号」は、接待飲食店の「風俗営業1号」と同じものではありません。
番号だけを伝えるのではなく、「無店舗型性風俗特殊営業の1号」と、制度名を含めて整理してください。
また、無店舗型という名称を使っていても、実際に店舗型の営業をしているなら、その実態に応じた確認が必要です。
提供場所の確保や運営方法を含め、呼び名と実際の営業が一致しているかを確認しましょう。
事務所・待機所・受付所は、実際の使い方で分ける
デリヘルの準備では、次の3つを混同しないことが重要です。
| 施設 | 確認する使い方 |
|---|---|
| 事務所 | 営業活動の中心となる場所。本拠となる事務所の所在地が届出先の整理に関係する |
| 待機所 | 依頼があれば派遣できる状態で、従業者を待機させるための施設や区画 |
| 受付所 | 来訪した客に対して、依頼を受けたり、従業者を紹介したりするなど、所定の対面業務を行う施設 |
同じ部屋を使う場合でも、名称を「事務所」としていることだけで、受付所の問題がなくなるわけではありません。
客が実際に来訪して何をするのかを説明してください。
一方、客が来訪せず、電話等で依頼を受ける事務所は、対面受付をする施設とは区別されます。
受付所を設ける営業には、場所や営業時間等に関する規制が適用されます。
禁止される区域・地域に受付所を設ける計画では、届出確認書が交付されない場合もあります。
「届出だから、場所はどこでもよい」と考えて物件契約を進めないでください。
風営法第31条の2第4項・第31条の3第2項
契約前なら、候補地の住所・募集図面と、各部屋の使い方をまとめましょう。
契約済みの場合は契約書、使用中の場合は現状図面や写真もそろえ、営業目的で使用できる権原や契約条件を確認します。
地域の制限と賃貸借契約上の使用可否は、分けて確かめる必要があります。
開始10日前までの届出に向けて、営業方法と資料を整える
無店舗型性風俗特殊営業の営業開始届出は、営業開始予定日の10日前までに提出します。
施行規則第52条
無店舗型性風俗特殊営業は、営業者ごとに、種別に応じて届出を行います。
届出先は、本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会です。
事務所のない者については住所を用いる規定がありますが、実際の営業場所や使用部分を曖昧にしてよいという意味ではありません。
デリヘルの開始届出で整理する主な資料は、次のとおりです。
| まとまり | 主な書類・確認事項 |
|---|---|
| 営業方法 | 営業開始届出書、営業の方法を記載した書類。呼称、依頼を受ける方法、連絡先など |
| 事務所 | 使用する権原を示す書類、平面図。住所を事務所に代えて届け出る場合は、営業に使う部分を特定する |
| 受付所・待機所を設ける場合 | 使用権原を示す書類、平面図。受付所は周囲の略図も確認する |
| 営業者 | 個人は住民票の写し。法人は定款、登記事項証明書、役員に係る住民票の写しなど |
出典:許可申請書の添付書類等に関する内閣府令 第12条。
提出方法や住民票の記載事項など、具体的な一式は管轄の最新案内で確認してください。
広告で使う呼称や依頼を受ける連絡先が複数ある場合は、それぞれを整理します。
一つの代表名・電話番号だけを書けばよいと決めず、実際に使うものを一覧にしてください。
警察庁・解釈運用基準 第18
開始日の10日前になってから物件や図面を検討し始めるのではなく、施設の使い方と資料を先に固められる日程を組みます。
届出だけで、広告や営業方法のすべてが認められるわけではない
届出確認書は、営業上のあらゆる行為を許可するものではありません。
届出のほかにも、広告の方法、年少者の保護、従業者に関する規制などを確認する必要があります。
特に無店舗型性風俗特殊営業では、届出をしていない者が、その営業を営む目的で広告・宣伝をすることは禁止されています。
インターネット上の広告も対象に含まれます。
届出済みでも、届出した営業とは別の無店舗型性風俗特殊営業を営むための広告が認められるわけではありません。
受付所が禁止区域等にあるため届出確認書が交付されなかった場合も、同じく広告・宣伝を行えません。
風営法第31条の2の2/警察庁・解釈運用基準 第20
また、無店舗型性風俗特殊営業では、18歳未満の者を客とすることや、客に接する業務に従事させることが禁止されています。
風営法第31条の3
「先に集客サイトだけ公開しておきたい」ときも、届出前に広告を始めてよいと自己判断せず、準備と公開の順序を確認してください。
届出後に呼称・事務所・連絡先等を変える場合や廃止する場合にも、所定の手続が必要です。
営業主体自体を変える場合も、単なる名称変更として処理せず、どの手続になるかを整理します。
相談前に、営業形態・施設・受付方法を一枚にまとめる
まずは、次の情報をそろえると、届出の種類や資料について具体的に相談できます。
- 営業の方法:派遣先、提供するサービス、客の依頼を受けてから派遣するまでの流れ。
- 営業主体:個人か法人か。実際に営業する者は誰か。
- 施設:事務所、待機所、受付所の有無と住所、各部屋の用途。
- 依頼の受け方:来訪、電話、インターネット等。使う呼称と連絡先。
- 準備状況:契約・図面・広告の予定、営業開始希望日。
ご自身で進める場合は、このメモと物件資料を手元に置き、管轄警察署へ、営業区分・場所の制限・届出資料・広告開始前の確認事項を尋ねましょう。
デリヘル以外の営業も計画している場合や、区分から確認し直したい場合は、性風俗関連特殊営業の5区分の案内へお戻りください。
営業形態や施設の整理、届出資料の準備について相談したい場合は、サクセスファン行政書士事務所のお問い合わせフォームをご利用ください。
営業予定地と現状を伺い、対応できる範囲や費用を確認したうえで、ご自身で用意する資料と依頼する作業を分けて進められます。