探偵業の開始届出を終えた後、「警察から証明書が届くのを待てばよいのか」「事務所の表示だけでよいのか」と迷うことがあります。以前から営業している方も、古い届出証明書をそのまま掲示していないか、現在の制度に合わせて確認が必要です。
2024年4月1日から探偵業届出証明書は廃止され、探偵業者が所定様式の標識を自ら作成する制度になりました。標識は営業所の見やすい場所に掲示します。ウェブサイトにも原則として掲載しますが、常時使用する従業者が5人以下の場合や、管理するウェブサイトがない場合には例外があります。
この記事では、標識に何を書くか、どのように印刷・掲示するか、ウェブ掲載の要否と公開後の確認を解説します。確認日:2026年11月7日。実際の作成には、営業所所在地の警察が案内する最新様式を使用してください。
古い届出証明書では、現在の標識を代用できません
兵庫県警の改正案内(PDF)では、従来の探偵業届出証明書に代わり、届出をしたことを示す標識を事業者が作成することを説明しています。証明書の紛失に伴う再交付手続もなくなっています。
すでに営業している方も、古い届出証明書を掲示するだけでは現在の標識の掲示にはなりません。新たに開業する方も、額に入れる証明書が交付されることを前提に準備を止めないようにしましょう。大阪府警は、開始届を受理した際には証明書に代えて受理番号を通知すると案内しています。
標識は、所定の情報を表示するものです。標識を自分で作れば開始届出を省略できるわけではなく、調査方法やサービスの品質について警察から保証を受けたことを示すものでもありません。開始届出がまだの方は、先に探偵業開始届出の必要書類・費用・手順を確認してください。
営業所への掲示と、ウェブサイトへの掲載を分けて判断
営業所とウェブサイトでは、確認する条件が異なります。ウェブ掲載の例外に該当しても、営業所に標識を掲示する義務までなくなるわけではありません。大阪府警の改正案内は、営業所ごとに標識を作成して掲示することを説明しています。
| 確認する場所・条件 | 標識の取扱い |
|---|---|
| 営業所 | 営業所ごとに、見やすい場所へ掲示します。 |
| 管理するウェブサイトがあり、常時使用する従業者が6人以上 | ウェブサイトへの掲載が必要です。 |
| 常時使用する従業者が5人以下 | ウェブ掲載義務は除外されます。営業所掲示は必要です。 |
| 管理するウェブサイトがない | ウェブ掲載義務は除外されます。標識のために新しくサイトを作る必要はありません。 |
この区分は、神奈川県警の改正案内でも整理されています。「ホームページを外部業者に任せている」というだけでは、サイトを持たない場合には当たりません。サイト制作・運営を委託している方も、自社の人数などの条件を基に確認します。
標識の様式と、記載する8項目
標識は探偵業法施行規則の別記様式第4号です。兵庫県で準備する方は、兵庫県警が公開する標識の様式(PDF)を確認できます。記事の表をそのまま印刷して標識にするのではなく、所定の様式へ記入してください。
| 欄 | 記載するときの確認点 |
|---|---|
| 届出書を提出した公安委員会 | 開始届出をした公安委員会名を確認します。警察署名と混同しません。 |
| 届出書の受理番号 | 開始届出時の番号を記載します。推測した番号や、別の営業所の番号を使いません。 |
| 届出書を提出した年月日 | 開始届出書を提出した日を記載します。標識を作成した日ではありません。 |
| 商号、名称又は氏名 | 届出内容と照合します。個人の氏名と営業所の屋号、法人名称を混同しないようにします。 |
| 営業所の名称 | その営業所について届け出た名称と照合します。 |
| 営業所の所在地 | 建物名と、階・号室など建物内の位置も記載します。 |
| 営業所の種別 | 「主たる営業所」か「その他の営業所」かを確認します。 |
| 広告又は宣伝をする場合に使用する名称 | 使用する名称を届出内容と照合し、記載漏れがないか確認します。 |
各欄を具体的に確認したいときは、静岡県警の記載例(PDF)が参考になります。例に書かれた番号・名称・所在地は、あなたの情報ではありません。記載例の数字を残したまま公開しないよう、完成後に一項目ずつ照合しましょう。
受理番号は、変更届の番号や独自の管理番号と区別
以前から営業していて変更届出の経験がある方は、古い書類に複数の番号や日付が載っている場合があります。神奈川県警は、過去に変更届をした事業者も、標識には開始届出時の番号を記載するよう案内しています。届出年月日も、開始届出書を提出した年月日を確認します。
番号が読めない、開始時の記録が見つからない、移転後の番号が分からない場合は、類似する他社の標識から番号を作らず、所轄警察署へ確認してください。旧証明書の表面をそのまま撮影して掲載する方法では、現在の標識に必要な確認を済ませたことになりません。
営業所の住所・種別・名称は、実際の届出と合わせる
所在地は番地だけで終わらせず、建物名や部屋の位置まで確認します。主たる営業所は、法人登記上の本店と必ず一致するとは限りません。複数の拠点がある場合は、どの営業所の標識を作っているかを先に分けておくと、番号や名称の取り違えを防ぎやすくなります。
自宅・賃貸・共同オフィスでの掲示場所や、どこを営業所として届け出るかが未整理の場合は、探偵業の営業所と物件選びの確認点もご覧ください。標識の記載を変えるだけで、営業所の実態や届出を変更できるわけではありません。
紙の標識はA4・白地・黒文字と黒枠で作成
営業所に掲示する標識はA4の紙で作成し、白い地に黒い文字・黒い枠線とします。警視庁の標識記載例(PDF)では、縦・横のどちらでもよいことと、枠の長さについて特定の規定がないことが説明されています。
文字サイズに特定の数値指定がないからといって、読み取れない小ささにしてよいわけではありません。長い名称や住所を入れたときは、改行や欄の大きさを調整し、必要事項が欠けずに読めることを確認します。広告用の装飾看板と混ぜず、標識として所定の情報と形式を保つことが大切です。
大阪府警の標識Q&Aは、手書きでも、所定様式に従い、黒色油性マジックなど消えないペンを使って作成できるとしています。パソコンがないことを理由に掲示を後回しにせず、読みやすく作成できる方法を選びましょう。
印刷後は、A4で出力されているか、端の文字や枠が切れていないかを確認します。掲示場所では、物や掲示物に隠れないか、照明の反射で読みにくくないかも確かめてください。「見やすい場所」の具体的な配置に迷うときは、営業所の状況を伝えて所轄へ確認します。
ウェブ掲載の「5人以下」は、調査員だけで数えない
例外の条件は、探偵業者が「常時使用する従業者」の数が5人以下であることです。会社役員や個人事業主はここでいう従業者には該当しませんが、調査員以外の営業担当者や事務員も対象になります。調査員が少ないという理由だけで判断しないでください。
警察庁の解釈運用基準(第12・PDF)では、この「常時使用する従業者」を、労働基準法第20条の解雇予告を必要とする者として説明しています。「正社員だけ」「パートは含まない」といった雇用形態の名称だけで除外する判断は避けましょう。
複数営業所がある、他業務との兼務者がいる、雇用期間や勤務形態がさまざまといった場合は、雇用の実態を整理して所轄へ確認します。「この営業所の調査員が5人以下だから」と、事業者全体の状況を確認せずに例外を適用しないことが大切です。採用やサイト開設で条件が変わったときにも、掲載の要否を見直します。
ウェブサイトへは、見つけやすく読める状態で掲載
掲載が必要な場合は、トップページに標識を表示する方法や、「標識はこちら」などの分かりやすいリンクからPDF等を表示する方法があります。警視庁の改正案内も、消費者が見やすい場所への掲載を示しています。
PDFをアップロードしただけで、サイト内にリンクを置かなければ、閲覧者がたどり着けないことがあります。また、ページに貼った画像が小さすぎる、スマートフォンで文字がつぶれる、ログインしないとファイルを開けない状態にも注意してください。公開した後は、管理画面ではなく、一般の閲覧者が開く画面で点検します。
- トップページ等から標識へ迷わず移動できるか。
- パソコンとスマートフォンの両方で、記載事項を読めるか。
- PDFや画像が、ログインやアクセス許可の要求なしに開けるか。
- 営業所の標識と同じ、現在の名称・所在地・受理番号になっているか。
- 複数営業所がある場合、どの営業所の標識か分かるよう整理されているか。
サイト制作会社へ任せる場合は、「標識を掲載してください」だけでなく、確認済みのデータ、掲載するページ、リンク名、公開後の確認方法まで共有すると進めやすくなります。掲載を依頼した時点で完了とせず、自社でも表示を確認しましょう。
名称・住所が変わったら、届出と標識の更新を別々に確認
標識の記載事項が変わった場合は、変更後の内容で作成し直します。変更届を出しただけで、営業所に掲示した紙やウェブ上のPDFまで自動的に書き換わるわけではありません。紙・画像・PDFが複数残っている場合は、古い表示が残っていないか確認してください。
反対に、標識を書き換えるだけで必要な変更届等を済ませたことにもなりません。名称や所在地の変更、営業所の新設・移転などについては、必要な届出と、その後の標識・ウェブ更新を一組の作業として整理します。開業後の手続全体は、探偵業届出の総合ガイドで確認できます。
標識を準備する順番と、相談前に揃える情報
- 所轄の最新様式と、開始届出時の受理番号・提出年月日を確認する。
- 営業所ごとに8項目を記入し、現在の届出内容と照合する。
- A4で印刷して見やすい場所に掲示し、実物を確認する。
- 従業者数と管理サイトの有無からウェブ掲載の要否を確認する。
- 必要な場合はウェブに掲載し、一般の閲覧画面で読めることを確認する。
番号と届出内容が揃っていれば、公式様式を使ってご自身で準備できます。受理番号の記録が不明なときや、人数の取扱いに迷うときは、所轄への確認を先に行ってください。標識だけを整えて、開始届出や必要な変更手続を飛ばさないようにします。
開始・変更届出の書類準備と合わせて相談したい場合は、サクセスファン行政書士事務所の探偵業届出サポートをご覧ください。最初は営業所の地域、開業済みか準備中か、標識のどの項目で困っているかをお伝えください。資料が必要な場合は、送付する範囲と方法を確認してから進めます。