風営法の「接待行為」とは?の基礎知識
こんにちは
風営法が得意な行政書士の小野です。
ここでは風営法の「接待行為」とは何か?についてお話します。
まず、風営法の「接待行為」とは何かを理解することが大切です。
まず接待を伴う飲食店とはどのような店舗なのかを具体的に説明します。
その後、接待行為とは?に深堀りして、歓楽的雰囲気を醸し出す方法についても詳しく解説します。
この記事を通して、風営法における接待行為の基本をしっかりと理解し、法的に適切な営業を行うための知識を身に付けてください。
それでは、はじめましょう。
この記事のポイント
- 風営法の「接待行為」とは何かの基礎知識を理解できる
- 接待を伴う飲食店とはどのような店舗かを知ることができる
- 接待行為が具体的にどのような意味を持つかを学べる
- ガールズバーで行われる接待行為の具体例について知ることができる
接待を伴う飲食店とは?
接待を伴う飲食店とは、単なる飲食の提供だけでなく、従業員が客と積極的にコミュニケーションを取り、楽しませることを目的としたサービスを提供する店舗を指します。
具体的に、バーやクラブ、キャバクラ、ホストクラブなどがこれにあたります。
これらの店舗では、従業員が客と談笑したり、お酌をしたりすることが一般的です。
さらに、ダンスやショーを披露することもあり、特定の客に対して特別なサービスを行うこともあります。
このようなサービスが「接待」に該当し、風営法の規制対象となります。
接待行為とはどういう意味ですか?
接待行為とは、単に食事や飲み物を提供するだけでなく、従業員が積極的にお客さんを楽しませるための特別なサービスを行うことを指します。
これには、会話を通じてお客さんと親密な関係を築くことや、特別な演出を通じてお客さんをもてなすことが含まれます。
ポイント
風営法では、接待行為を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義しています。
歓楽的雰囲気とは、お客さんが楽しんだり、くつろいだりできる特別な空間や状況を作り出すことを指します。
これは、単なる飲食の提供を超えて、心地よい体験を提供することを意味します。
これは、単なるサービスを超えて、お客さんに楽しさや満足感を提供するための行為のことです。
その歓楽的雰囲気を醸し出す行為の具体例として、会話、パフォーマンス、お酌、ゲームの相手などが含まれます。
注意ポイント
お客さんと一緒にカラオケを歌ったり、デュエットや歌を盛り上げたりすること。これも親密な雰囲気が生まれるのでNGです。
これらの接待期の具体例は、記事の後半で一つ一つ解説しますので、ぜひご覧くださいね。
この接待行為を行うには風営法上の特別な許可が必要であり、無許可で行うと法律違反となり、きつい罰則が定められていますので気を付けましょう!
接待行為が問題となる理由
このような歓楽的雰囲気を醸し出すサービスは、お客さんに特別な体験を提供し、また来てもらうためにお店にとってはとても重要なものです。
お客さんにリラックスして頂き、楽しむ場を提供することは、お店への信頼感や好感度が高まりますので悩みどころですね。
ですが接待行為が問題となるのは、これが適切に管理されないと、風紀の乱れや犯罪の温床になる可能性があるからです。
特に、深夜営業や未成年者の雇用に関しては厳しい規制があり、これを守らないと厳しい罰則が科されることがあります。
どちらにしてもお店の経営に左右する重大な事項です。専門家の意見を聞きながら慎重に検討してください。
「接待」を無許可で行った場合の罰則や判例
風営法の許可を得ずに接待行為を行うと、法律違反となり、厳しい罰則が科される可能性があります。
注意ポイント
具体的には、2年以下の懲役や200万円以下の罰金、またはその両方が科されることがあります。
これくらいなら大丈夫と軽く考えないことが大事です。
風営法の接待にあたる具体的5つの行為とは?
1.客への酌や談笑
客への酌や談笑とは?
客への酌や談笑とは、お客さんに対してお酒を注いだり、一緒に会話を楽しんだりする行為を指します。
これらの行為は、一見すると単なるサービスの一環のように思われますが、風営法では特別な意味を持ち、規制の対象です。
これは単にお酒を注ぐだけでなく、継続的にお客さんの近くにいて会話を楽しむことが該当します。
例えば、バーやクラブの従業員が特定のお客さんに対して長時間話し相手になり、頻繁にお酒を注ぐ行為がこれに当たります 。
なぜ規制されるのか?
客への酌や談笑は、お客さんとの親密な関係を築きやすく、これが過度になると風紀の乱れや犯罪の温床となる可能性があるため、厳しく監視されています。
お酌や談笑の過去の判例
- 東京高裁昭和33年4月17日判決:従業員が客の側に座り、ビールを注いだり、注いでもらったりしながら世間話をすることが接待と認められました。
- 大阪高裁昭和46年3月10日判決:客と一緒に談笑しながら、お酌をする行為が接待行為と認定されました。これは、客の慰安歓楽を目的とした行為と判断されたためです 。
【接待にはあたらない行為】
- お酌をしたり水割りを作るがすぐにその場を離れる行為
- 客の後で待機又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為
- これらに付随して社交儀礼として挨拶したり、少しだけ世間話をしたりする行為
2.ダンスやショー
ダンスやショーの披露とは?
ダンスやショーの披露とは、従業員が特定の客や少数のグループに対して、踊りやパフォーマンスを行うことを指します。
これには、歌やダンス、特技の披露が含まれます。
風営法におけるダンスやショーの規制
風営法では、ダンスやショーの披露が接待行為と見なされる場合があります。
このような行為は、お客さんを楽しませ、特別な体験を提供するために行われます。
特定の客に対して行うパフォーマンスは、客の慰安や歓楽を目的とした行為と判断され規制の対象です。
判例での具体例
特定の客に対して行うダンスや歌の披露が、客を楽しませるための特別なサービスとして接待行為と見なされました。
この判例では、従業員が客の近くにいて、積極的にパフォーマンスを行うことが重要なポイントとされました。
東京高裁昭和33年4月17日判決
この判決でも、特定の客に対するダンスやショーの披露が接待行為と認定されました。
判決では、客の歓楽を目的とした行為が接待と見なされると強調されています
大阪高裁昭和46年3月10日判決
【接待にはあたらない行為】
ホテルのディナーショウのように不特定多数の客に対して、同時に踊り・ダンス・ショウ等を見せ又は歌若しくは楽器の演奏を聞かせる行為
3.カラオケのデュエットや褒めはやし
カラオケのデュエットや褒めはやしとは?
カラオケのデュエットや褒めはやしとは、お客さんと一緒にカラオケを歌ったり、お客さんが歌う際に手拍子をしたり、拍手を送って褒める行為を指します。
接待行為になるカラオケや褒めはやし
風営法では、特定の客に対して積極的に楽しませる行為が接待行為とみなされます。
カラオケのデュエットや褒めはやしもこれに該当する可能性があります。
具体的には、以下のような行為が含まれます:
- デュエット:お客さんと一緒にカラオケを歌うこと。これにより、客との親密な関係が構築され、特別な体験を提供します。
- 褒めはやし:お客さんが歌う際に手拍子をしたり、歌い終わった後に拍手を送って褒める行為。これにより、お客さんに特別な扱いを感じさせます。
判例での具体例
この判決では、特定の客に対して行われるカラオケのデュエットや褒めはやしが、客を楽しませるための特別なサービスとして接待行為と認められました。具体的には、客の歌に合わせて手拍子をしたり、一緒に歌うことが接待とみなされました。
大阪高裁昭和46年3月10日判決
なぜ、規制されるのか?
カラオケのデュエットや褒めはやしが規制される理由は、これらの行為が客との親密な関係を築きやすく、風紀の乱れやトラブルの原因となる可能性があるためです。
【接待にはあたらない行為】
- 客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、又は不特定の客の歌に対し拍手をし、若しくはほめはやす行為、不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為又は歌の伴奏のため楽器を演奏する行為
4.遊戯
客とのゲームや遊戯とは?
客とのゲームや遊戯とは、従業員がお客さんと一緒にゲームや遊びを楽しむ行為を指します。
これは、単にゲームを提供するだけでなく、従業員自身が積極的に参加し、お客さんと対戦したり一緒にプレイすることを意味します。
具体的な例として、ダーツ、トランプ、ビリヤード、テレビゲームなどが含まれます。
風営法におけるゲームや遊戯の規定
風営法では、客とのゲームや遊戯が接待行為と見なされる場合、次のような行為が含まれます:
- ダーツ:従業員が客と一緒にダーツを投げる行為。
- トランプ:従業員が客とカードゲームを行う行為。
- ビリヤード:従業員が客と一緒にビリヤードをプレイする行為。
- テレビゲーム:従業員が客と一緒にテレビゲームをする行為。
判例での具体例
この判決では、ガールズバーで従業員が客と一緒にダーツを行い、談笑しながらお酒を提供していたことが無許可の風俗営業として認められました。
この判決では、客と従業員が一緒に遊戯を行うことが、接待行為と見なされました。
和歌山地裁令和2年7月22日判決
なぜ規制されるのか?
客とのゲームや遊戯が規制される理由は、これらの行為が客との親密な関係を築きやすく、風紀の乱れやトラブルの原因となる可能性があるためです。風営法は、これらのリスクを防止し、清浄な風俗環境を維持することを目的としています
客とともに、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為
【接待にはあたらない行為】
- 客一人で又は客同士で、遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為
5.スキンシップ
スキンシップとは?
スキンシップとは、従業員がお客さんと身体的な接触を持つ行為を指します。
これは、単なる握手や肩に軽く手を置く程度のものから、もっと密接な接触まで含まれます。
接待行為としてのスキンシップ
風営法におけるスキンシップには、以下のような行為が含まれます:
- 接触行為:お客さんと客と身体を密着させたり、手を握り合うこと。
- 肩に手を置く:お客さんの肩に手を置いて話すこと。
- 隣に座る:お客さんの隣に座って話すこと。
- 飲食の手伝い:客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為
- ハグする:お客さんを抱きしめること。
なぜ規制されるのか?
スキンシップが規制される理由は、これらの行為が客との親密な関係を築きやすく、風紀の乱れやトラブルの原因となる可能性があるためです。
特に、過度なスキンシップは、他の客に不快感を与えたり、店舗の評判を損ねるリスクがあります。
風営法は、これらのリスクを防止し、清浄な風俗環境を維持することを目的としています。
判例での具体例
過去の判例では、スキンシップが接待行為として認定された事例がいくつかあります。例えば、特定の客と手を握りながら話をする行為が接待行為と認められました。また、客の肩に手を置いて話す行為も、接待行為として認定されています
【接待にはあたらない行為】
- 社交儀礼上の握手、酔客の介抱のため必要な限度で接触する等の行為
- 単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、コート等を預かる行為
どうでしたか?
「どのような行為が接待になるのか?」よく理解して頂けたのではないかと思います。
ですが、接待という行為がどういうものか分かったと思いますが、実際、行なったサービスが接待にあたるのか?を誰が判断するのでしょうか?
自己判断?思い込み?そうではありませんよね。
誰がその判断を行なうのかというと警察になります。
思い込みにならないようにすることが大事なのです。
○○だから「接待」にあたらないと自分で思い込まない!
ここまで「接待」って何か?風営法で何が接待と言うのかを見てきました。
つまり、接待は法律上明確に決まっているんですね。
ここでよく考えて欲しいのですが、よく耳にすることに、
「スナックだから接待にあたらないよね?」
となかば自分で決め付けているような相談者の意見があります。
この意見ってどう思いますか?
私の意見ですが、
「○○だから接待にあたらない!」と自分で思い込むのは危険だと言う事です。
接待にあたるかどうかは、実態を見て警察が判断します!
ここで申し上げておきたいことがあります。
接待かどうかは、
- スナックだから大丈夫?
- キャバクラだから接待でしょ?
というように営業業態では決まらないということです。
営業者としては、「一般的に若しくは自分のお店は、スナックだから接待にはあたらないよね」と言いたいのでしょうが、
それは根拠のない決め付けで、もうほとんど願い、いや祈りに近い感覚なのですね。
ここで冷静になって、聞いて欲しいことがあります。
接待にあたるかどうかは、法律に基づいて、営業の実態を見た上で、警察が判断するということです。
残念ながら、あなたが「接待にはあたらない!」と言い張っても、警察が「接待ですよ!」と言うとアウトなんですね。
ここは大事なので、言い方を変えてもう一度言います。
「あなたの意見より警察の判断が採用される!」
それが現実です!
接待をするなら、風営法許可(社交飲食店)の許可が必要!
これまでお話したように、接待にあたるかどうかを判断するのは警察です。なので、あなたのお店で行なう予定サービスが接待にあたると判断されたなら、風営法許可が必要になります。
この判断は専門的な知識が必要なので、警察に直接確認するのが最も確実です。また、警察に行く前にあなたの味方の立場である私ども行政書士にご相談されるのも一つの手です。
くれぐれも自分で「スナックだから接待にならない!」と思い込まないようにしましょう。
あなたが思っているより警察では「接待」に対して重く考えています。十分に注意してくださいね。
もし判断に困ったり、不安に思ったらサクセスファンにご連絡下さい。
専門の行政書士が責任を持って、
- 接待にあたるかの判断
- あなたのお店にとって最善の方法
- その他風営法許可の要否
等をコンサルティング致します。
メールや電話なら、いつでもお気軽にご相談下さい。お待ちしています。
風営法の接待行為とは?のまとめ
- 風営法の「接待行為」とは、従業員が客を楽しませる特別なサービスである
- 接待を伴う飲食店とは、客と積極的にコミュニケーションを取る店舗である
- バーやクラブ、キャバクラ、ホストクラブが接待を伴う飲食店に該当する
- 接待行為には会話、パフォーマンス、お酌、ゲームの相手などが含まれる
- 接待行為は「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義される
- 歓楽的雰囲気とは、客が楽しんだりくつろいだりする空間や状況である
- カラオケのデュエットや褒めはやしも接待行為に該当する
- 接待行為を無許可で行うと風営法違反となる
- 無許可で接待行為を行うと、2年以下の懲役や200万円以下の罰金が科される可能性がある
- 客への酌や談笑も接待行為として規制される
- 客とのゲームや遊戯も接待行為と見なされる場合がある
- ダンスやショーの披露も接待行為に含まれる
- スキンシップも接待行為として風営法で規制される
- 接待行為が問題となる理由は風紀の乱れや犯罪の温床になる可能性があるからである
- 接待行為を行うには風営法上の特別な許可が必要である
- 許可なしで接待行為を行うと重い罰則が科される
- 接待行為は店舗の運営に重大な影響を与える
- 専門家の意見を聞くことが重要である
- ガールズバーでの接待行為も風営法の規制対象である
- 接待行為が適切に管理されないと営業停止や営業許可の取り消しがある
- 風営法に基づいて営業の実態を見て警察が判断する
- スナックだから接待にならないという思い込みは危険である
- 風営法許可が必要かどうか警察や専門家に確認することが重要である
- 接待行為は法律に基づいて厳しく監視される
- 風営法に違反しないためには適切な許可を取得することが必要である
- 許可取得には店舗の構造や営業内容が法的基準を満たす必要がある