産業廃棄物収集運搬許可の取り方!要件や費用を行政書士が解説

行政書士 小野
こんにちは

行政書士の小野馨です。

今回は、産業廃棄物の収集運搬業許可について詳しく解説します。

「元請けから『産廃の許可を持ってないと次の仕事は出せないよ』と言われてしまった…」

「新規事業として産廃運搬を始めたいけれど、役所のホームページを見ても専門用語ばかりでさっぱりわからない…」

そんな悩みを抱えていませんか。

産業廃棄物収集運搬業の許可は、建設業や運送業と並んで非常にニーズの高い許認可ですが、その反面、法律の規制が細かく、申請手続きのハードルが高いことでも知られています。

「自分たちだけで申請しようとしたけれど、何度も役所に通って心が折れた」という相談も、私の事務所には毎月のように寄せられます。

しかし、ご安心ください。

許可取得までの道のりは、正しい知識と手順さえ押さえておけば、決して迷宮ではありません。

この記事では、数多くの許可申請を代行してきた行政書士の視点から、教科書的な説明ではなく、実務の現場で本当に役立つ「生きた情報」を余すことなくお伝えします。

これを読めば、あなたが今抱えている不安が解消され、許可証を手にするまでの具体的なロードマップが明確に見えてくるはずですよ。

  • 許可取得に必須となる4つの要件と、多くの人が陥る落とし穴
  • 申請にかかる費用の総額シミュレーションと、無駄な出費を抑えるコツ
  • 自分で申請する場合のリアルな難易度と、専門家に頼むべきライン
  • 申請準備から許可証交付までの具体的なタイムスケジュール

産業廃棄物の収集運搬許可に必要な4大要件

産業廃棄物の収集運搬業許可(以下、産廃許可)を取得するためには、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)第14条で定められた「4つの基準」をすべてクリアする必要があります。

これらは「どれか一つでも欠けていれば即アウト」という絶対条件であり、例外は認められません。

行政庁は「この事業者に廃棄物を扱わせて、不法投棄などの環境汚染を引き起こさないか?」という非常に厳しい視点で審査を行います。

まずは自社がこのスタートラインに立てているか、一つひとつ詳細にチェックしていきましょう。

JWセンター講習会の予約と修了試験

許可申請に向けた最初にして最大の関門、それが公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習会の受講です。

よく勘違いされるのですが、産廃許可には「国家資格」のような特別な免許を持った人を雇う必要はありません。

その代わり、会社の経営に関わる人間(法人の場合は代表者や役員、個人の場合は事業主本人)が、自ら講習会を受講し、廃棄物処理に関する法令知識を身につけることが義務付けられています。

予約合戦を勝ち抜くことが第一歩

実務上、最も高いハードルとなるのが「講習会の予約」です。

講習会は毎日開催されているわけではありません。

特に東京、大阪、愛知といった大都市圏の会場では、開催日程が発表されると同時に申し込みが殺到し、数時間から数日で満席になってしまうことが常態化しています。

注意ポイント

ここに注意!

「書類が全部揃ってから予約すればいいや」と悠長に構えていると、最短で受講できるのが3ヶ月先、4ヶ月先になってしまうことも珍しくありません。これでは、ビジネスの開始時期が大幅に遅れてしまいます。事業計画を立てたら、何はともあれ真っ先にJWセンターのウェブサイトで講習会の空き状況を確認し、席を確保することが鉄則です。

また、講習会には「新規」と「更新」の区分があります。

これから初めて許可を取るあなたは、必ず「新規」区分(産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会)を受講してください。

間違って「更新」を受けても、新規申請には使えませんので注意が必要です。

試験の難易度と修了証の有効期限

講習会は通常、2日間(オンライン形式の場合は動画視聴+会場試験)かけて行われ、最後に修了試験があります。

試験は○×式や選択式が中心で、講義を真面目に聴いていれば合格できるレベルですが、近年は少し難易度が上がっており、油断して講義中に寝ていたりすると不合格になることもあります。

再試験のチャンスはその場ではありませんので、一発勝負のつもりで臨んでください。

無事に合格すると交付される「修了証」の有効期限は、新規講習の場合5年間です。

つまり、会社設立前や、具体的な申請予定が決まる前の準備段階で受講しておいても問題ありません。「時間がある時に先に取っておく」というのが、賢い経営者の戦略ですよ。

(出典:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター『講習会・研修会』)

赤字決算でも経理的基礎を満たす方法

「うちは前期が赤字だったんだけど、やっぱり許可は無理かな…」という相談を、本当によくいただきます。建設業許可など他の許認可でも財産的要件はありますが、産廃許可における「経理的基礎」は、企業の存続可能性を非常にシビアに見られます。

結論から言うと、直近が赤字決算や債務超過であっても、それだけで直ちに不許可になるわけではありません。あきらめるのはまだ早いですよ。

なぜ行政は「お金」のことを気にするのか

行政庁がなぜ企業の財布事情を厳しくチェックするかというと、それは「不法投棄」や「処理責任の放棄」を未然に防ぐためです。資金繰りに窮した事業者が、処分費を浮かせるために山林に廃棄物を捨てたり、あるいは倒産して保管中の廃棄物を放置したまま夜逃げしたりといったケースが、過去に社会問題化しました。そうした事態を防ぐために、「この会社は事業を適正かつ継続して行えるだけの体力(経理的基礎)があるか」を審査するのです。

赤字・債務超過の場合のリカバリー策

審査の基準は自治体によって微妙に異なりますが、基本的には「直近3期分の決算書」を確認します。ここで「経常利益が出ている」「純資産がプラスである」ならば問題なくパスします。

もし赤字や債務超過の状態である場合は、追加の資料として「経理的基礎に関する診断書」の提出を求められることが一般的です。これは、中小企業診断士や公認会計士といったお金の専門家に依頼して作成してもらう書類です。

診断書で証明すべきこと

診断書では、単に今の悪い数字を解説するのではなく、「なぜ赤字になったのか(一過性の要因なのか、構造的な問題なのか)」を分析し、その上で「今後5年間でどのように収益を改善し、債務超過を解消するのか」という具体的なリカバリープラン(事業計画)を提示します。専門家の「お墨付き」をもらうことで、行政側に「この会社なら立ち直れる」と判断してもらうわけですね。

ただし、この診断書作成には別途費用(数万円〜10万円程度)がかかりますし、あまりにも財務状況が悪化している場合(例えば、売上がほぼゼロで借金だけが膨大にあるなど)は、診断書があっても認められないケースも稀にあります。不安な場合は、申請前に自治体の窓口へ決算書を持参して事前相談に行くことをおすすめします。

欠格要件となる前科や役員の範囲

許可申請において最も恐ろしいのが、この「欠格要件」です。これは努力や書類の工夫でカバーできるものではなく、該当してしまった時点で絶対に許可が下りないという、非常に強力な拒絶理由となります。申請手数料を払った後に発覚しても、手数料は戻ってきませんので要注意です。

誰がチェックされるのか(人的範囲)

欠格要件の対象となるのは、申請者本人だけではありません。「法人そのもの」と「その法人の重要な関係者全員」が対象です。

  • 法人の取締役(非常勤を含む)
  • 監査役
  • 5%以上の議決権を持つ株主(出資者)
  • 政令使用人(支店長や営業所長など、契約締結権限を持つ人)
  • 相談役や顧問(実質的に経営支配力を持っているとみなされる場合)

例えば、名前だけ貸してもらっている非常勤役員の親族が、実は過去に禁錮刑を受けていて5年経っていなかった…なんてことになれば、それだけで会社全体の許可がアウトになります。

具体的な欠格事由

主な内容は以下の通りです。

区分詳細な内容
刑罰歴禁錮以上の刑(執行猶予を含む)に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから5年を経過しない者
特定法令違反廃棄物処理法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法などの環境法令や、暴力団対策法、刑法(傷害、暴行、脅迫、背任など)に違反し、罰金刑以上の刑を受けてから5年を経過しない者
許可取消歴過去に産廃許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(取消処分通知を受ける前に廃業届を出して逃げようとした場合も含む)
暴力団関係暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年を経過していない者。あるいは暴力団員が事業活動を支配している場合

特に注意したいのは、交通事故などで「禁錮刑」になった場合や、酒席での喧嘩で「傷害罪で罰金」になった場合です。これらも欠格要件に該当します。「昔のことだしバレないだろう」は通用しません。警察への照会で必ず判明しますので、申請前に役員全員から「誓約書」を取るなどして徹底的に確認しましょう。

(出典:e-Gov法令検索『廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条第5項』)

運搬車両や運搬容器に求められる施設基準

収集運搬業における「施設」といっても、積替え保管を行わない場合は、大掛かりな建物や設備を建てる必要はありません。ここで言う施設とは、主に「運搬車両」「運搬容器」、そしてそれらを置いておく「駐車場」のことです。

運搬車両の要件

産業廃棄物が飛散・流出したり、悪臭が漏れたりするおそれのない運搬車を用意する必要があります。具体的には、運ぶ廃棄物の性状に合った車両を選ばなければなりません。

  • 汚泥や廃油(液状):タンク車、強力吸引車(バキュームカー)、あるいはドラム缶などを積載してロープ固定できるトラック。
  • がれき類や木くず(固形):ダンプトラック、脱着装置付コンテナ車(アームロール)、パッカー車、あるいはシート掛けができる平ボディ車。
  • 感染性廃棄物:密閉できる保冷車など、外部に漏れない構造の車両。

土砂禁ダンプ(深ダンプ)の落とし穴

「土砂等の運搬禁止」と車検証に記載されている深ダンプ(荷台の煽りが高いダンプ)で、比重の重い「がれき類」の許可を取ろうとすると、過積載になるリスクが高いとして認められない自治体があります。車両選びは慎重に行いましょう。

また、車両の使用権原も厳しくチェックされます。原則は申請者名義(車検証の「使用者」欄が自社)であることです。もし他社名義や個人名義の車を使う場合は、正式な「車両賃貸借契約書」が必要になりますし、車検が切れている車は当然NGです。

写真撮影の重要性

申請時には、車両の写真を添付します。これが意外と細かく指定されており、「斜め前方」と「斜め後方」から撮影し、ナンバープレートが鮮明に読み取れるものでなければなりません。容器についても、ドラム缶やフレコンバッグ、プラスチックコンテナなどの現物写真が必要です。「これから買う予定です」では通用しませんので、必ず現物を用意してください。

積替え保管なしとありの違いや難易度

新規許可申請を検討する際、事業モデルとして「積替え保管なし」にするか「あり」にするかは、非常に重要な分岐点となります。

積替え保管なし(直行方式)

これは、排出事業者の現場で廃棄物を積み込み、そのまま中間処理施設や最終処分場へ直行して降ろすスタイルです。廃棄物をトラックの荷台から一度も降ろさずに運ぶイメージですね。

新規申請の9割以上はこの「積替え保管なし」です。なぜなら、車両と駐車場さえ確保できれば、特別な施設投資がいらないため、比較的スムーズに許可が取れるからです。まずはこの形態で許可を取得し、事業をスタートさせるのが王道です。

積替え保管あり(中継方式)

こちらは、運搬の途中で自社の敷地(保管施設)に廃棄物を一度降ろし、ある程度量が溜まってから大型車両に積み替えて処分場へ運ぶスタイルです。輸送効率は格段に良くなりますが、許可取得の難易度は「別次元」と言っていいほど跳ね上がります。

積替え保管施設を設置するには、廃棄物処理法だけでなく、以下のような数々の法的ハードルを越えなければなりません。

  • 立地規制:都市計画法上の「用途地域」が工業地域などである必要があり、住宅地などでは原則不可です。
  • 施設基準:床のコンクリート舗装、排水溝、油水分離槽、高さ制限のある囲いの設置など、建築基準法や消防法にも適合した施設が必要です。
  • 事前協議と住民同意:申請前に近隣住民への説明会を行い、同意書を得ることが条例で義務付けられている自治体が多いです。

これらをクリアするには、事前協議だけで1年以上かかることもザラです。ですので、まずは「積替え保管なし」で開業して実績を作り、資金と準備が整ってから「積替え保管あり」への変更許可(事業範囲の拡大)を目指すのが、最も現実的かつ安全な成長戦略と言えるでしょう。

産業廃棄物収集運搬許可の費用と申請の流れ

「要件はなんとかなりそうだ。で、結局いくらかかるの?」ここは経営者として一番気になるところですよね。産業廃棄物収集運搬業の許可(積替え保管なし)を新規で取得する場合を例に、リアルな費用感と、許可証が手元に届くまでのスケジュールを見ていきましょう。

新規許可の法定費用と行政書士の相場

許可取得にかかる費用は、大きく分けて「役所に払う手数料(法定費用)」と「専門家への報酬」、そして「諸経費」の3つです。

法定手数料(証紙代)の仕組み

自治体に納める申請手数料は、全国一律で以下の通り定められています。

  • 新規許可:81,000円(1自治体につき)
  • 更新許可:73,000円(1自治体につき)
  • 変更許可:71,000円(1自治体につき)

ここで落とし穴なのが、「積み込む場所(排出地)」と「降ろす場所(処分地)」の両方の自治体の許可が必要になる点です。通過するだけの県は許可不要ですが、例えば「東京都の現場で積んで、埼玉県の処分場に運ぶ」という仕事をするなら、東京都(81,000円)+埼玉県(81,000円)=合計162,000円の手数料がかかります。広範囲で仕事をしようとすればするほど、この手数料は積み重なっていきます。

行政書士に依頼する場合の報酬相場

行政書士への報酬は事務所によって自由化されていますが、市場の相場としては概ね以下の通りです。

  • 新規許可(1自治体目):100,000円 〜 150,000円
  • 同時申請(2自治体目以降):50,000円 〜 80,000円(割引適用)

これらを合計すると、例えば「東京・埼玉の2箇所で新規許可を行政書士に依頼して取る」場合の総額シミュレーションは以下のようになります。

費用総額の目安(2自治体申請の場合)

  • 法定手数料:162,000円(81,000円×2)
  • 行政書士報酬:約220,000円(消費税別)
  • 講習会受講料:約30,000円(1名分)
  • 公的証明書類取得費:約5,000円
  • 合計:約45万円前後

「高いな」と感じるかもしれませんが、これは事業を行うための初期投資です。適正な許可を持っていれば、大手企業からの受注も可能になり、十分に回収できる金額ですよ。

自分で申請する場合の難易度と書類作成の手間

「45万円は痛いから、行政書士報酬の20万円を節約して自分でやりたい」と考える方もいるでしょう。もちろん、法律上は自社申請(本人申請)も可能です。しかし、プロとして言わせていただくと、想像以上の手間と見えないコスト(人件費・機会損失)がかかることを覚悟してください。

まず、申請書類の様式やルールは、基本的な法律は同じでも、細かい運用(ローカルルール)が自治体ごとに驚くほど異なります。「東京都ではOKだった書き方が、埼玉県では直しを求められた」「神奈川県では独自の様式が必要だった」なんてことは日常茶飯事です。

慣れていない方が申請すると、以下のような「負のループ」に陥りがちです。

  1. 分厚い手引きを読み込み、苦労して書類を作成する(数日かかる)。
  2. 平日の昼間に仕事を休んで、予約した役所の窓口へ行く。
  3. 窓口で「ここの記載が違う」「この写真ではダメだ」と不備を指摘され、受理されずに持ち帰る。
  4. 会社に戻って修正し、また別日に予約を取り直して窓口へ行く(予約が1ヶ月先しか取れないことも)。

これを複数の自治体で行うとなると、担当者の精神的ストレスと時間的拘束は計り知れません。その時間を営業活動や現場管理に使ったほうが、結果的に会社の利益になるケースがほとんどです。「時は金なり」の判断をおすすめします。

住民票や定款などの必要書類と集め方

申請には、申請書本体以外に多くの添付書類が必要です。これらは原則として、発行から3ヶ月以内のものでなければなりません。期限切れにならないよう、計画的に集める必要があります。

書類名取得場所注意点
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)法務局事業目的に「産業廃棄物収集運搬業」が入っているか必ず確認してください。入っていない場合、定款変更と変更登記が必要になります。
納税証明書(その1)税務署法人税(個人の場合は所得税)に未納がないことの証明です。都道府県税事務所ではなく、国の税務署で取得するものですので間違えないようにしましょう。
住民票の写し市区町村役場役員全員分、5%以上の株主全員分が必要です。本籍地記載・マイナンバーなしのもの。
登記されていないことの証明書法務局成年被後見人等でないことの証明。役員全員分必要です。地元の法務局では取れず、本局や特定の支局でしか取れない場合があります(郵送請求可)。
定款の写し自社保管現行の定款であることの原本証明(奥書き)をして提出します。紛失している場合は、早急に作り直しや確認が必要です。

特に注意が必要なのが、役員全員分の書類です。非常勤役員が遠方に住んでいる場合など、郵送でのやり取りに時間がかかることがありますので、早めに手配を始めましょう。

申請書の作成から許可証交付までの期間

「来週から現場に入りたいから、急いで許可をくれ!」と言われることがありますが、残念ながらそれは物理的に不可能です。許可取得には、順調にいっても3〜4ヶ月程度の期間を見込んでおく必要があります。

標準的なタイムライン

  1. 講習会の受講(1ヶ月〜数ヶ月)まず予約が取れるかどうかが勝負です。受講後、修了証が手元に届くまでにも2〜3週間かかります。
  2. 書類作成・収集(2週間〜1ヶ月)定款の変更登記が必要だったり、経理的基礎の診断書が必要だったりすると、さらにプラスで時間がかかります。
  3. 申請受付(予約待ち)書類ができても、自治体の窓口が混雑していて「申請予約は1ヶ月先まで埋まっています」と言われることもあります。東京都などは完全予約制です。
  4. 審査期間(約60日)窓口で受理されてから、行政庁内部での審査期間です。標準処理期間は約60日(土日祝日を除く実働日数でカウントする場合が多い)とされており、この期間を短縮することはできません。警察への照会などもこの間に行われます。
  5. 許可証交付審査が完了すると、許可証が郵送または窓口で交付されます。

このように、どうやっても数ヶ月はかかります。「許可がないと契約できない」という案件があるなら、逆算して今すぐ動き出す必要があります。

許可後の電子マニフェスト導入と更新

無事に許可証が届いたら、晴れて産業廃棄物収集運搬業者としてのスタートです。しかし、許可を取って終わりではありません。むしろ、ここからがコンプライアンスの本当のスタートです。

車両への表示義務と書類携帯

許可を受けた車両で運搬する際は、必ず車体の両側面に「産業廃棄物収集運搬車」「会社名」「許可番号(下6桁)」を表示しなければなりません。これはマグネットシートでも構いませんが、走行中に落下しないよう管理が必要です。

また、ドライバーには必ず「許可証の写し」を携帯させてください。これは紙のコピーだけでなく、最近ではスマホやタブレットでの画面表示でも認められるケースがありますが、基本は紙を積んでおくのが無難です。

(出典:環境省『産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務』)

電子マニフェスト(JWNET)の導入

産業廃棄物の管理において、これまでは紙のマニフェスト(管理票)が一般的でしたが、近年は政府主導でデジタル化が急速に進んでいます。これが「電子マニフェスト(JWNET)」です。

大手ゼネコンやハウスメーカーなどの排出事業者は、事務効率化と法令遵守の観点から、収集運搬業者に対しても「電子マニフェスト対応」を取引条件にするケースが増えています。新規許可のタイミングで加入しておくと、営業面でも大きな武器になりますし、毎年の「実績報告書」の作成手間が大幅に削減できるというメリットもあります。

5年後の更新を忘れない

産業廃棄物収集運搬業許可の有効期間は5年間です。うっかり更新申請を忘れて期限を1日でも過ぎてしまうと、許可は失効し、またゼロから新規許可を取り直しになってしまいます。

更新申請も、講習会(更新課程)の受講や手数料の納付が必要です。許可証の有効期限を見落とさないよう、カレンダーや管理システムにしっかり登録しておきましょう。

産業廃棄物の収集運搬許可を円滑に取得

産業廃棄物収集運搬業の許可取得は、要件の確認、講習会の予約、複雑な書類作成、そして複数の自治体への対応と、やるべきことが山積みです。初めての方が戸惑うのは当然のことです。

しかし、一つひとつの要件を確実にクリアしていけば、決して取得できないものではありません。この許可は、御社の信頼性を高め、新しいビジネスチャンスを切り拓くための「パスポート」です。

もし、「本業が忙しくて手が回らない」「確実に許可を取りたいけれど不安がある」と感じたら、無理をせず専門家である行政書士に相談するのも一つの賢い選択肢ですよ。面倒な手続きはプロに任せて、あなたは本来の経営や営業活動に専念してください。確実な許可取得で、御社のさらなる飛躍を応援しています!

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  • この記事を書いた人

行政書士 小野馨

平成17年行政書士事務所開業。日本行政書士会連合会 登録番号05300280 産業廃棄物収集運搬業の許可を得意とする行政書士。産廃・建設・古物営業許可を中心に5000件以上の許可実績。トップクラスの良心価格と実績で選ばれています。産廃業の開業はお任せ下さい。

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