認定を受けた警備業者が他県へ進出する場合は、認定とは別に「営業所設置等届出」が必要か確認します。他県に営業所を置く場合だけでなく、県外の営業所から警備員を配置して現場業務を行う場合も対象になり得ます。
判断の出発点は、主たる営業所のある都道府県、進出先の営業所の有無、既にその県へ届出をしているか、業務の期間・人数です。この記事では、初めて他県の仕事を受ける会社の担当者に向け、届出対象、除外条件、期限、必要書類を整理します。認定そのものの手続は警備業認定の総合ガイドをご覧ください。
他県で警備業を行うときは、営業所の有無と既存の届出を確認
営業所設置等届出の判断の流れ
① 主たる営業所の県以外で行う?
営業所・業務地と認定内容を確認
↓
② その県へ既に法第9条の届出をした?
届出済みなら変更届の対象を確認
↓ 初めての場合
③ その県に営業所を設ける?
設ける場合は営業所設置等届出へ
↓ 営業所を設けない場合
④ 業務が除外条件に当たる?
期間・1日当たり人数、3号の発送地・到達地を確認
↓ 対象の場合
⑤ 設置・業務開始日の前日までに提出
服装・用具・配置条件も別に照合
根拠は警備業法第9条と施行規則第11条〜第14条です。警備業者としての認定があることと、進出先で必要な届出をしていることは別に管理します。届出は、現場の教育や資格者配置などを免除する手続ではありません。
他県に営業所を設ける場合と、現場業務だけ行う場合を分ける
主たる営業所がある都道府県以外の区域内に初めて営業所を設ける場合は、その区域を管轄する公安委員会への営業所設置等届出を確認します。営業所の名称・所在地、扱う警備業務の区分、選任する指導教育責任者などを整理します。
営業所を設けない場合でも、他県で警備業務を行うときは、法第9条の届出対象になり得ます。例えば、A県の営業所がB県の交通誘導や施設警備を担当する場合、B県に支店がないことだけで届出不要とはいえません。
反対に、現場の詰所や休憩場所があるだけで、必ず営業所を設けたことになるとは限りません。営業所かどうかは、日常的な配置・指揮等の業務の実態で確認します。会社登記や部屋の名称だけで決めず、警備業の営業所の考え方も確認してください。
後述する期間・人数の除外は、他県で行う一定の警備業務についてのものです。その県に営業所を設ける届出まで「30日以内だから不要」と扱わないよう注意しましょう。
営業所を設けず業務だけ行う場合の除外条件
施行規則第14条は、法第9条の届出対象から除かれる警備業務を定めています。主な判断は次の2つです。除外条件に該当するかは、契約書の題名ではなく、実際の業務計画で確認します。
| 除外される業務 | 確認するポイント |
|---|---|
| その県内で継続して行う期間が30日以内、かつ、従事する警備員が1日につき5人以内 | 期間と人数の両方を満たすか |
| 3号警備で、その県内に運搬物の発送場所も到達場所もないもの | 発送・到達の両地点を確認。単に3号だから除外ではない |
30日以内と1日5人以内は、両方必要
「短期間」だけでも、「少人数」だけでも、この除外条件には足りません。例えば、営業所を置かず20日間・1日4人で行う業務なら、期間と人数の条件には当てはまります。一方、20日間でも1日に6人を従事させる計画なら、人数の条件を満たしません。40日間・1日2人なら、期間の条件を満たしません。
人数は「その瞬間に現場にいる人数」と決めつけず、1日につき従事させる人数で確認します。交代勤務、応援、複数現場がある場合は、一部の時間帯や一つの現場だけを抜き出して判断しないよう、日別の配置計画を示して窓口へ確認してください。
契約を分けても、30日が自動的に数え直しになるわけではない
警察庁通達は、契約相手、場所、実施方法などから、業務が続くと合理的に推測できる場合を「継続して行う」と整理しています。日曜日や祝日に休むことがあっても、継続に当たり得ます。
また、個々の契約が30日未満でも、その県内の警備業務が全体として30日を超える場合は、30日以内とはいえないとされています。契約を短く区切る、週末に休むなどの理由だけで届出対象外にせず、受注全体を見て判断します。
当初の計画から延長や増員が決まった場合は、除外条件から外れないかを再確認します。最初に短期契約だったことを理由に、変更後も届出不要のまま進めないでください。
3号の通過県は、発送・到達の有無で確認
3号警備の運搬で、ある県を通過するものの、その県内に発送場所も到達場所もない場合は、規則第14条第2号の除外を確認できます。その県内で運搬物の発送や到達がある場合は、この条件には当てはまりません。
複数の運搬先がある場合は、県ごとの発送・到達場所を整理します。3号警備の資格者配置等は、届出の除外とは別に確認する必要があります。業務そのものの準備は3号警備の貴重品運搬と開業準備をご覧ください。
確認先:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」(第11条〜第14条)
提出期限は設置・業務開始日の前日まで
営業所設置等届出書は、営業所を設ける日、または対象となる警備業務を始める日の前日までに提出します。新しい県の現場を始めてから、一般的な変更届の10日以内に出せばよいというものではありません。
提出先は進出先の都道府県公安委員会で、次の警察署長を経由します。複数ある場合には、規則に従っていずれか一つの所在地・場所の所轄を確認します。
- 営業所を設ける場合:その営業所の所在地を管轄する警察署
- 営業所を設けず業務を行う場合:警備業務を行う場所を管轄する警察署
複数県へ同時に進出する場合は、県ごとに判断します。「隣県の警察へ出したから他の県も済んだ」とはなりません。現場一覧、開始日、既存の届出先をまとめて、提出漏れを防ぎましょう。
法定期限が前日まででも、窓口の休業日、受付方法、添付書類の補正は考慮する必要があります。契約を受けてから初日の配置までの予定に、書類確認と提出の時間を組み込んでください。
必要書類は、営業所の設置と業務のみの場合で確認する
届出書は施行規則の別記様式第4号です。認定をした公安委員会名・認定番号、事業者情報、進出先に設ける営業所または業務を担当する営業所の名称・所在地、扱う業務区分、区分ごとの指導教育責任者の氏名・住所などを確認します。
新たに営業所を設ける場合は、その営業所に選任する指導教育責任者について、施行規則第13条が定める資料を添付します。資格者証の写しや欠格事由に関する資料・誓約書等は、提出先の案内と照合し、書式や確認対象を取り違えないようにしてください。
営業所を設けず県外の既存営業所から業務を行う場合と、新たに営業所を設ける場合では、責任者関係の添付の扱いが異なります。「どちらも同じ一式」と決めつけず、届出内容に応じて必要な書類を確認します。責任者の配置は指導教育責任者の選任も参照してください。
例えば茨城県警察の案内では、営業所設置等届出は手数料なし、正本1通とされています。また、県外営業所から県内へ警備員を配置する内容は電子申請の対象ですが、県内に新たに営業所を設ける内容は対象外とされています。全国一律に同じオンライン対応とは限らないため、実際の提出先で確認します。
確認先:茨城県警察「営業所設置等届出」(受付・手数料・電子申請の地域例)
確認先:神奈川県警察「申請書類等ダウンロード(警備業)」(様式の確認)
同じ県へ追加進出するときは、既存の届出控えを確認する
営業所設置等届出は、その県で初めて営業所を設ける、または対象業務を行うときの手続です。既に同じ公安委員会へ届出済みで、その県内に営業所や業務を追加する場合は、法第11条第3項による変更届を確認します。
営業所を設けることで認定申請事項も変わる場合などは、主たる営業所側への変更届が併せて関係します。現場ごとに第4号を作り直すのではなく、届出済みの営業所・区分・責任者と新たな計画を照合してください。
その県から撤退する場合や、規模を縮小して除外業務だけとなる場合は、都道府県内廃止届を確認します。事業全体をやめる警備業廃止届とは異なります。変更後の手続は警備業の変更届・廃止届で整理しています。
他県の仕事を始める前に、届出以外の現場条件も点検する
営業所設置等届出だけで、その県での全ての準備が終わるわけではありません。次の内容を現場ごとに確認してください。
- 服装・護身用具の届出と、業務地の公安委員会規則による携帯制限
- 交通誘導・雑踏・運搬等の業務に応じた資格者配置
- 業務区分に対応する指導教育責任者と警備員教育の体制
- 依頼者へ交付する契約書面と、実際の場所・人数・担当業務
- 延長・増員・別現場追加が決まった場合の再確認担当
服装や用具については標識・服装・護身用具の準備をご覧ください。法第9条の届出が除外される業務でも、警備業の認定、教育、業務実施の基本原則などまでなくなるわけではありません。
他県での受注が決まったら、営業所の有無、日別の人数、開始・終了予定、既存の届出控えをそろえましょう。除外条件や提出経路が判断しにくい場合は、その資料を示して進出先の所轄窓口へ確認してください。
複数県への進出や営業所新設に伴う書類準備を整理したい場合は、サクセスファン行政書士事務所へご相談ください。業務地と開始予定日、営業所・責任者の体制をお伝えいただくと、必要な手続の相談を進めやすくなります。