警備業の変更届は、変更した内容と提出先によって手続が分かれます。認定申請事項の変更は原則として変更日から10日以内、登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内です。一方、警備業全体の廃止と、一つの都道府県で業務をやめる場合は、同じ届出ではありません。
この記事では、役員の交代、営業所の移転・廃止、警備員指導教育責任者の交代などが決まった事業者に向け、届出の区別、期限、書類の準備を整理します。有効期間を延ばす手続は警備業認定の更新をご覧ください。変更届を出しても、認定の更新を済ませたことにはなりません。
警備業の変更・廃止届は、変更内容と営業継続の範囲から選ぶ
手続を選ぶための確認順序
① 警備業そのものをやめる?
全体を廃止するなら、警備業廃止届を確認
↓ 継続する場合
② 一つの都道府県から撤退する?
都道府県内廃止届と営業所変更を確認
↓ その他の変更
③ 何が変わる?
役員・営業所・責任者・業務区分などを整理
↓
④ どこへ、いつまでに出す?
主たる営業所と他県の届出先を照合
↓
⑤ 変更日と証明書類をそろえる
届出控え・標識・社内記録も更新
「会社の登記を変えた」「支店を閉めた」という社内手続だけでは、警備業法の届出まで完了しません。まず、認定を受けている事業者、実在する営業所、各県で行っている警備業務を分けて整理してください。
確認先:e-Gov法令検索「警備業法」(第10条〜第12条)
変更届の期限は、原則10日と登記事項証明書が必要な場合の20日
| 主な手続 | 期限 | 様式 |
|---|---|---|
| 認定申請事項の変更(法11条1項) | 変更日から10日以内。登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内 | 別記様式第6号 |
| 他県の営業所・業務等に関する変更(法11条3項) | 変更日から10日以内 | 別記様式第7号 |
| 一つの都道府県内で警備業務を行わなくなる場合 | 業務を行わなくなった日から10日以内 | 別記様式第8号 |
| 警備業全体の廃止 | 廃止日から10日以内 | 別記様式第5号 |
20日という扱いは「法人の変更は全て20日」という意味ではありません。法第11条第1項の変更届に登記事項証明書を添付すべき場合の期限です。他県への届出や、登記を伴わない変更まで一律に20日と考えないでください。
起算するのは、基本的に実際の変更日です。登記事項証明書を受け取った日から20日ではありません。役員の就任・退任、営業所の移転、責任者の選任など、変更の効力が生じた日を確認し、複数の変更日がある場合は分けて管理します。
服装・護身用具の変更は、変更後の使用・携帯開始日の前日までという別の期限です。機械警備に関する届出も別に確認が必要です。本記事の10日・20日を全ての警備業手続に当てはめないようにしてください。
確認先:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」(第15条・第17条・第21条)
服装等を同時に変更する場合は、標識・服装・護身用具の届出も確認してください。
役員の変更は、新たな役員の確認資料と登記をそろえる
法人の役員の就任・退任や、役員に関する届出事項の変更は、認定申請事項の変更として確認します。代表者だけでなく、監査役を含む役員の異動を把握し、登記担当者と警備業の手続担当者で情報を共有しましょう。
添付するのは、施行規則第4条に定める書類のうち変更事項に関係するものです。新たな役員の就任では、履歴書、住民票の写し、身分証明書、診断書など、その役員について必要な資料を確認します。退任だけの場合と就任を伴う場合では、準備する書類が同じとは限りません。
警視庁は変更内容ごとの添付書類一覧を公開しています。これは東京での準備資料として参照し、実際の提出先の案内に従って、誓約書の種類、登記事項証明書、本人に関する書類をそろえてください。全ての変更で新規申請一式を作り直すのではなく、変更との関係を確認します。
役員として登記できることと、警備業法の要件を満たすことは別です。新たな役員の要件確認は、警備業認定の要件・欠格事由も参照してください。
確認先:警視庁「警備業各種申請、届出関係添付書類一覧表」(東京の案内)
営業所の移転・新設・廃止は、実在する営業所ごとに確認する
営業所の名称・所在地、営業所で取り扱う警備業務の区分、指導教育責任者などに変更があれば、関係する届出を整理します。法人の登記上の本店と、警備業の主たる営業所が別の場合は、それぞれ何が変わるのかを明確にしてください。
例えば、既存のA営業所を主たる営業所に変更し、これまで主たる営業所だったB営業所も引き続き稼働させる場合、AだけでなくBについても変更内容を整理します。警察庁通達は、実在する営業所ごとに変更届の別紙を作成する扱いを示しています。
一つの営業所を閉鎖しても、別の営業所や担当現場で警備業を続けるなら、警備業全体の廃止とは限りません。他県の営業所を閉じた後も、別県の営業所からその県の現場を担当する場合は、「その県の業務を全てやめる」こととも異なります。
他県へ初めて営業所を設ける、または対象となる警備業務を始める場合には、法第9条の営業所設置等届が関係します。原則として開始前の手続になるため、移転や新設を全て事後の変更届で済ませられると考えないでください。既に法第9条の届出をした県内の追加・変更は、法第11条第3項の変更として扱う場合があります。
主たる営業所を県外へ移す場合は、移転前後の認定・届出関係と、他県で継続する営業所・業務を整理します。旧所在地だけへ連絡して終えるのではなく、移転を決めた段階で関係窓口へ提出経路と添付書類を確認してください。
確認先:警察庁「警備業法等の解釈運用基準について」(第9・第10)
指導教育責任者の交代は、届出期限と選任体制を分けて考える
責任者の交代では、営業所と警備業務の区分に対応する資格者証、実際に勤務できる体制、選任日を確認します。資格者証を持つ人の名前を書くだけでは、必要な選任体制を整えたことになりません。
変更に対応して、資格者証の写しや本人に関する資料、誓約書など、提出先が示す添付書類を準備します。営業所・区分の追加と交代が重なる場合は、どの人がどの営業所・区分を担当するのかが分かる一覧を作ると整理しやすくなります。
退職等で責任者が欠けた場合の法第22条の「14日以内」の選任と、変更届の期限は別の規定です。14日を変更届の提出期限と読み替えたり、開業当初から責任者がいない状態を認める猶予と考えたりしないでください。後任の要件、選任、引継ぎ、届出を並行して確認します。
資格・兼任・欠員時の扱いは、警備員指導教育責任者の選任と資格で詳しく説明しています。
提出先は主たる営業所と他県で異なり、変更内容によっても分かれる
法第11条第1項の変更は、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会へ、所轄警察署長を経由して届け出ます。他県の営業所・業務に関する法第11条第3項の変更は、その変更に関係する公安委員会への届出を確認します。
名称・住所、主たる営業所、法人役員など一定の変更については、公安委員会から他の関係公安委員会へ通知する仕組みがあります。ただし、これを「どんな変更も主たる営業所へ1通出せばよい」と広げてはいけません。各県の営業所や業務、責任者に関する変更が併せて生じるかを照合します。
兵庫県の申請・届出要領も、法第11条第1項、第3項、都道府県内廃止で提出先を分けて案内しています。これは地域例であり、受付時間・方法などは実際の提出先で確認してください。
確認先:兵庫県警察「警備業の申請・届出要領について」(地域例)
警備業全体の廃止と、都道府県内廃止を取り違えない
警備業全体を廃止した場合の届出が提出されると、認定は効力を失います。一時的に受注がない、特定の県の現場が終了した、営業所を一つ閉じたという事情だけで、警備業廃止届を選ばないようにしてください。
事業全体を終了する場合は、廃止日と廃止事由を整理し、廃止日から10日以内に届け出ます。他県に営業所を設け、または法第9条に係る業務を行っていた場合は、その関係公安委員会への届出経路も確認します。廃止届は、顧客契約の終了や会社解散の手続を代わりに済ませるものではありません。
これに対し、警備業は続けるものの、主たる営業所の県以外のある県で全ての警備業務を行わなくなる場合は、都道府県内廃止届を確認します。営業所がなくなっても県内の業務が残るなら、その実態に応じた変更届を検討します。ただし、規模縮小によって施行規則第14条の除外業務だけとなった場合も、都道府県内廃止届が必要とされるため、残る業務の内容まで確認します。
個人事業者の死亡、認定を受けた法人の合併による消滅は、法第12条の死亡等の届出に当たります。届出をする人も定められ、規則上は事由発生から10日以内の提出です。通常の役員交代と混同せず、認定の効力や営業を引き継ぐ側の認定を別途確認してください。
また、法第9条の届出をした事業者が認定取消しや有効期間満了となった場合も、同条の届出先に対する法第12条の手続を確認します。更新せず満了させることと、必要な届出を全て終えることは同じではありません。
変更が決まったら、日付・対象・提出先を一覧にする
- 変更前と変更後の内容、実際の変更日を記録する
- 影響する営業所・業務区分・都道府県を確認する
- 届出様式と添付書類を提出先の公式案内で照合する
- 登記完了を待つ書類と、先に準備できる本人書類を分ける
- 提出控えを残し、標識・契約・社内台帳の関連情報も更新する
期限を過ぎたことに気づいた場合は、変更日を都合のよい日に置き換えず、実際の経緯と不足書類を整理して速やかに所轄窓口へ相談してください。書類の不足を理由に連絡を先延ばしにしないことが大切です。
役員変更、移転、責任者交代が重なっている場合や、複数県への届出を整理したい場合は、サクセスファン行政書士事務所へご相談ください。現在の認定・届出控えと、変更予定日、変更前後の内容をご用意いただくと、書類準備の相談を進めやすくなります。
