警備業の標識は、認定を受けた事業者が主たる営業所へ掲示するものです。一方、服装と護身用具は、現場で使用・携帯する内容と届出を確認します。標識を作ったこと、制服を購入したこと、用具を届け出たことは、それぞれ別の準備です。
この記事では、警備会社の開業準備や制服変更を担当する方に向け、標識の掲示とウェブ掲載、服装の識別・届出、護身用具の地域ごとの制限を整理します。開業全体の流れは警備業認定の総合ガイドをご覧ください。
警備業の標識・服装・護身用具は、確認する相手と時期が違う
営業開始前の確認の流れ
① 認定内容を確認
所定の標識を作成し、主たる営業所へ掲示
↓
② ウェブ掲載の対象を確認
従業者数・自社サイトの有無を確認
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③ 服装・用具の内容を決める
公務員の制服との識別、業務地の携帯制限を確認
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④ 必要な届出を提出
開始日から逆算し、写真・使用基準等を整える
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⑤ 現場へ周知
届出内容と実際の服装・携帯品を一致させる
標識の根拠は警備業法第6条、服装は第16条、護身用具は第17条です。認定と届出を済ませても、警備員に警察官のような特別な権限が与えられるわけではありません。現場での対応は第15条の基本原則も守ります。
確認先:e-Gov法令検索「警備業法」(第6条・第15条〜第17条)
標識は主たる営業所に掲示し、ウェブ掲載の要否を確認する
2024年4月から認定証の交付が廃止され、認定を受けた警備業者が所定の標識を作成・掲示する仕組みになっています。古い認定証の写真や会社の看板を置くだけで、現在の標識の掲示に代えたと判断しないでください。
標識は施行規則の別記様式第2号に沿って作成し、主たる営業所の見やすい場所へ掲示します。警察庁通達では、用紙はA4、向きは縦・横のいずれでもよいとされています。文字は明瞭で、通常読める大きさにします。様式の項目を独自に省略せず、認定に関する通知等と照合してください。
自社ウェブサイトへの掲載も原則として必要です。ただし、次のいずれかに該当する場合は、ウェブ掲載義務が免除されます。
- 常時使用する従業者の数が5人以下である場合
- 当該警備業者が管理するウェブサイトを有していない場合
5人以下の事業者は、自社サイトがあってもウェブ掲載義務の除外対象です。ただし、この例外は主たる営業所での掲示まで不要にするものではありません。また、人数は現場に配置する警備員だけを数えるのではなく、「常時使用する従業者」の範囲で確認します。
警察庁通達は「常時使用する従業者」を、労働基準法上あらかじめ解雇予告を必要とする者と整理し、会社役員や個人事業主は該当しないとしています。雇用形態の名称だけで判断せず、実際の雇用関係を確認しましょう。人数が増えたときや新たにサイトを開設したときは、掲載義務も見直します。
ウェブへ掲載する場合は、閲覧者が標識へ到達でき、拡大しても文字を確認できる状態にします。更新等で認定に関する記載が変わったら、営業所の掲示物とウェブの双方を照合してください。
服装は、警察官・海上保安官と明確に見分けられることが基本
警備業務で用いる服装は、警察官や海上保安官の制服と、色・型式・標章によって明確に識別できる必要があります。「警備用」として販売されていることだけで判断せず、帽子、上衣、標章を含む実際の組合せで確認します。
警察庁通達では、色彩が明らかに異なる、型式が明らかに異なる、警備員であることを示す相当程度の大きさの標章を見やすい場所に付ける、という識別方法を示しています。標章による識別の運用では、業者名を表示した60平方センチメートル以上の標章を上衣の胸部と上腕部に付けるよう指導するとされています。全ての服装に一律の色を指定する説明ではありません。
ここでいう服装の「標章」は、営業所に掲示する認定の「標識」と別のものです。会社名の入った小さな名札があるだけで十分と決めつけず、色・型式・標章を合わせて所轄へ確認してください。
スーツなど制服でない服装も、服装の届出と写真添付の条件を分けて確認します。施行規則第30条は、制服でない服装の写真添付について標章を付けるものを対象としていますが、これは「スーツなら服装届出そのものが不要」という意味ではありません。
服装・護身用具の届出は、開始前に内容と写真を整える
届出先は、原則として警備業務を行おうとする都道府県の公安委員会です。主たる営業所の県で届け出た内容が、他県でも自動的に手続済みになるとは扱いません。法令には対象業務の除外もあるため、他県での業務は施行規則第14条・第31条を含めて確認します。
| 対象 | 主な確認事項 | 様式 |
|---|---|---|
| 服装 | 色・型式、標章の位置・型式、具体的な警備業務 | 別記様式第9号 |
| 護身用具 | 種類・規格、機能・使用基準、具体的な警備業務 | 別記様式第10号 |
| 届出内容の変更 | 変更年月日・事項・理由と、変更に対応する添付書類 | 別記様式第11号 |
服装の写真は、種類ごとに着用した警備員の正面・側面の全身写真を各1枚、縦12センチメートル・横8センチメートル、無背景で色が分かるものを用意するのが規則上の扱いです。制服でない服装については、前述の添付条件を確認します。護身用具は種類ごとに、縦12センチメートル・横8センチメートルで色が分かる写真1枚が定められています。
初回の届出は、所定の警察署長を経由し、当該警備業務の開始日の前日までに提出します。変更の場合も、変更した服装の使用または護身用具の携帯を始める日の前日までです。通常の変更届の期限をそのまま当てはめて、使用開始後に提出しないよう注意してください。
前日までという法定期限と、窓口の受付日や補正に要する日数は別です。夏服・冬服の追加、標章の変更、用具の入替えを予定する段階で、提出先、受付方法、写真の形式を確認すると準備を進めやすくなります。
確認先:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」(第27条〜第32条)
確認先:警視庁「警備業法等に係る申請書」
護身用具は、届出とは別に業務地の携帯制限を確認する
護身用具の携帯の禁止・制限は、都道府県公安委員会の規則で定められます。全国共通の届出手順だけを確認して、どの用具でも、どの現場でも携帯できると判断してはいけません。
購入前に、携帯予定地の公安委員会規則と、業務の種類、施設・場所、従事する業務の条件を照合します。警察庁には都道府県規則の基準を示す通達がありますが、実際に適用される地域の規則を確認することが必要です。
用具の名称だけで適合すると判断せず、種類・規格・機能が分かる資料を準備して確認してください。護身用具の届出は、禁止されている用具の携帯を許可する手続ではありません。また、届出をしたことが、他人を威圧したり権利・自由を侵害したりする行為の根拠になることもありません。
使用基準には、どの業務・場面で携帯し、どのような目的で使うのかを具体化します。携帯が制限されない用具でも、必要性が乏しい場面では携帯しないようにするという警察庁の運用も踏まえ、現場の判断を担当者任せにしない運用を整えます。
確認先:警察庁「護身用具の携帯の禁止及び制限に関する都道府県公安委員会規則の基準」
届出後は、現場への支給・教育・書類管理をそろえる
届出書の控えを保管するだけでなく、どの現場でどの服装・用具を用いるか、社内で確認できるようにします。変更前後の制服が混在する場合は、使用開始日と回収・切替えの方法を決めておくと、届出内容との食い違いを防げます。
- 営業所の標識とウェブ掲載内容が、現在の認定内容に一致しているか
- 支給する服装・標章が届出内容に合っているか
- 業務地と携帯品の組合せが、地域の制限に合っているか
- 使用基準、保管・貸出し・返却の担当が決まっているか
- 用具の種類・数量など、営業所の備付書類が更新されているか
教育の実施方法は警備員の採用・新任教育・現任教育、営業所の記録管理は契約書面と備付書類で確認できます。届出、教育、現物の支給を同じ計画で進めることが大切です。
標識・服装・護身用具の準備で迷う場合の相談
まず、主たる営業所と業務を行う都道府県、開始予定日、服装の写真、用具の仕様、既存の届出内容を整理しましょう。個別の服装や用具の取扱いは、その資料を示して所轄の担当窓口へ確認するのが確実です。
開業時の認定申請と届出の順序を整理したい、複数の変更に必要な書類を準備したい場合は、サクセスファン行政書士事務所へご相談ください。営業所・業務地・予定している変更内容をお伝えいただくと、手続準備の相談を進めやすくなります。
