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神戸のサクセスファン行政書士事務所

医療法人の社員総会・理事会|役割と開催・決算の進め方

「決算の書類はできたけれど、理事会と社員総会はどちらが先?」「毎年、何回開けばよいのだろう」。医療法人の運営では、会議の名前が分かっていても、準備する順番や決める内容で迷うことがあります。

社員総会は法令と定款で定めた事項を決め、理事会は業務執行の決定や理事長の選出を行い、監事は業務と財産を監査します。同じ人が社員と理事を兼ねていても、それぞれの役割と必要な手続きは分かれます。

決算では、書類の作成、監事の監査、理事会の承認、社員総会での承認・報告という順番が基本です。会議当日だけでなく、事前の招集通知や書類を備え置く期間も含めて予定を組みましょう。

この記事は、社団医療法人の通常の運営を担当する理事長・事務担当者に向けて、役割、開催時期、招集・決議・議事録の進め方を解説します。財団医療法人では社員総会ではなく評議員会が関わるなど、仕組みが異なります。

社員総会・理事会・監事は、それぞれ何をする?

「社員」は従業員ではなく、社員総会の構成員です

医療法人でいう「社員」は、看護師や受付スタッフなどの従業員を意味しません。社団医療法人の構成員として社員総会に参加し、議決権を持つ人を指します。

社員の議決権は一人につき一個です。出資額が大きい人ほど票が増える仕組みではありません。社員名簿を備え置き、入社・退社などの変更があるたびに更新する必要があります。

会議の準備を始めるときは、給与を支払っている人の一覧ではなく、最新の社員名簿を使ってください。社員と理事を兼ねる人は、どちらの立場で参加する会議なのかも分けておくと、通知先や議決権を取り違えずに済みます。

根拠:医療法第46条の3の2・第46条の3の3、大阪府「医療法人の構成員」

理事長一人で、すべてを決めるわけではありません

機関・役職 主な役割 混同しやすい点
社員総会 法令・定款に定めた事項の決議。理事・監事の選任など 理事会だけで代わりに決められるとは限りません
理事会 業務執行の決定、理事の職務執行の監督、理事長の選出・解職 社員総会で理事を選ぶことと、理事長を選ぶことは別です
理事長 法人を代表し、業務を執行する 法人を代表する立場でも、必要な会議の決議を省けるわけではありません
監事 業務・財産の監査、監査報告書の作成など 決算書を作成する担当や、理事として多数決に加わる人ではありません

例えば、重要な資産の処分や多額の借入などは、理事会が決定を理事に委ねられない事項です。定款で社員総会の決議も必要とされていれば、そちらの手続きも行います。「理事長が契約するから、理事長だけで決めてよい」とは考えないでください。

監事は、その法人の理事や職員を兼ねられません。監事の監査は、税理士に決算書を作ってもらうこととも別です。会計資料を作る人、監査する人、承認する機関を分けて準備します。

根拠:医療法第46条の3・第46条の5〜第46条の8

役員の交代や重任を予定している場合は、必要な決議の後に届出や登記も関係します。具体的な外部手続きは、医療法人の役員変更・理事長交代で確認できます。

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会議はいつ開く?年間予定と決算の順番を決める

社員総会は年1回以上。自法人の定款が年2回なら、それに従います

医療法では、理事長は少なくとも毎年1回、定時社員総会を開くこととされています。ただし、これは法律上の最低回数です。自法人の定款で年2回などと定めている場合に、年1回へ自由に減らせるという意味ではありません。

兵庫県の2026年3月改訂の説明書では、事業計画・予算と決算を扱う定時総会を毎年2回開催する形を示し、定款に定めれば年1回とすることも可能と説明しています。これは兵庫県の説明・定款例であり、全国のすべての医療法人が一律に年2回という決まりではありません。

定款の「会議」「社員総会」「会計年度」の条項を開き、開催時期と決議する事項を予定表へ書き出してください。定款変更や臨時の重要事項があれば、定時総会とは別に必要な会議を組みます。

根拠:医療法第46条の3の2、兵庫県「医療法人設立認可説明書」冊子04・05ページ

理事会は、理事長の職務執行報告の間隔も見ます

理事長は原則として、3か月に1回以上、職務をどのように行ったかを理事会に報告しなければなりません。

ただし、定款で「毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上報告する」旨を定めた場合は、その定めによります。単に「年2回開けばよい」と覚えると、定款の条件や報告の間隔を見落とします。

この職務執行報告は、理事・監事全員に資料を送っただけで省略できるものではありません。決算承認の会議だけを年間予定へ入れるのではなく、報告の機会と、重要な業務について決議する時期を合わせて考えます。

根拠:医療法第46条の7の2により準用される一般法人法第91条・第98条

決算は「監査→理事会承認→社員総会」の順で準備します

決算書ができたらすぐに提出、という流れではありません。社団医療法人では、次の順番で法人内の手続きを進めます。

社団医療法人の通常の決算手続き。矢印は順序を示します。同日にすべてを済ませる日程ではありません。対象法人では公認会計士等の監査も必要です。具体的な書類・期限は下表で確認してください。
段階 行うこと 期限・前後関係
1.書類を作る 事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書などを作成 毎会計年度終了後2か月以内
2.監査を受ける 監事が業務・財産と事業報告書等を監査。対象法人では公認会計士等の監査も必要 理事会承認の前に実施
3.理事会で承認する 監査を受けた事業報告書等を承認 社員への資料提供・社員総会の前
4.社員総会の準備をする 承認済みの事業報告書等を招集通知に際して社員へ提供し、必要書類を備え置く 総会1週間前の日から、事業報告書等と監査報告書を備え置く
5.社員総会を開く 貸借対照表・損益計算書の承認を受け、その他の事業報告書等の内容を報告 承認する書類と、内容を報告する書類を区別
6.都道府県へ届け出る 事業報告書等・監事監査報告書などを提出 毎会計年度終了後3か月以内

監事自身にも、毎年度監査報告書を作成し、年度終了後3か月以内に社員総会と理事会へ提出する職務があります。会計資料の完成予定と一緒に、監事が確認できる日を先に決めておきましょう。

社員総会の招集通知は少なくとも5日前、決算関係書類の備置きは総会1週間前から。二つは別の義務です。通知の期限だけを見て、総会当日に初めて監査や理事会承認を行う予定にしないことが大切です。

例えば3月31日決算の法人なら、事業報告書等の作成期限は5月31日、決算届の期限は6月30日です。次のように、間の作業を先に割り当てる方法があります。

  • 5月中旬までを目標に書類を作り、監事へ渡す。
  • 監査を終えた後、5月下旬に理事会で承認する。理事会の招集通知も前もって行う。
  • 承認済み資料を添えて社員総会の招集通知を出し、総会1週間前からの備置きも満たす。
  • 6月前半に社員総会を開き、議事録と提出書類を整える。
  • 6月30日までに決算届を提出する。

これは準備日程の例です。5月中旬・下旬や6月前半が法定の開催日なのではありません。自法人の定款、監査に必要な時間、会議の通知期間に合わせて日付を決めてください。

根拠:医療法第46条の8・第51条・第51条の2・第51条の4・第52条

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招集・決議・議事録は、社員総会と理事会で分けて準備する

通知先と期限を、会議ごとに確かめます

確認すること 社員総会 理事会
招集の基本 理事長が招集 各理事が招集。定款または理事会で招集する理事を定めた場合は、その理事
通知の期限 開催日の少なくとも5日前 開催日の1週間前までに通知を発する。定款でこれより短い期間を定めることが可能
通知の対象・内容 社員へ、会議の目的事項を示し、定款に定めた方法で通知 各理事と各監事へ通知
招集手続の省略 理事会の省略ルールをそのまま使わない 理事と監事の全員の同意があれば省略可能

社員総会では、原則としてあらかじめ通知した事項だけを決議します。定款に別段の定めがある場合を除き、当日になって重要な議案を追加すればよいとは考えないでください。

通知を作る前に、「何を決める会議か」「どの資料を渡すか」「誰に送るか」をそろえます。決算の場合は、先ほどの理事会承認済み資料の提供と、1週間前からの備置きも予定に入れます。

根拠:医療法第46条の3の2・第46条の7の2、準用される一般法人法第93条・第94条

「過半数」の数え方と、議決に加われない人を分けます

社員総会は、定款に別段の定めがなければ、総社員の過半数の出席が必要です。議事は、法令または定款に別段の定めがなければ、出席者の議決権の過半数で決め、可否同数の場合は議長が決します。この原則では、議長は社員としての議決に加わりません。

一方、理事会は、議決に加われる理事の過半数が出席し、その過半数で決議します。定款でそれを上回る割合を定めている場合は、その割合によります。

社員総会・理事会とも、対象の決議について特別の利害関係がある人は議決に加われません。出席した人数だけで成立・可決を判断せず、その議案で誰が議決に加われるかも確かめます。監事は理事会へ出席し、必要な意見を述べますが、理事の議決権を持つわけではありません。

監事の解任など、通常と異なる決議要件がある事項もあります。すべての議案を同じ多数決として扱わず、議案ごとに法令と定款を照合してください。

根拠:医療法第46条の3の3・第46条の5の2・第46条の7の2・第46条の8の2、準用される一般法人法第95条

欠席者の委任状と、会議そのものの省略は別です

社員総会に出席しない社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、書面または代理人によって議決できます。ただし、これを「全員から書面を集めれば、社員総会を開かなくてよい」という意味に置き換えないでください。

理事会には、決議を省略する制度があります。利用するには、次の条件が必要です。

  • 決議を省略できる旨を定款に定めている。
  • 議決に加われる理事全員が、提案について書面または電磁的記録で同意している。
  • 監事が、その提案に異議を述べていない。

単に欠席する理事から委任状や賛成票を受け取ることと、この制度は異なります。また、理事長の職務執行状況の報告まで、決議省略や資料の送付で済ませることはできません。

招集手続の省略、決議の省略、欠席者による議決は、別々の仕組みです。定款の該当条項が分からない場合は、予定している議案・参加方法と一緒に、所管自治体の医療法人担当へ示してください。決議の有効性に争いがある場合などは、弁護士への相談も必要になります。

根拠:医療法第46条の3の3・第46条の3の6・第46条の7の2、準用される一般法人法第96条・第98条

議事録は、実際に行った議事と決議を記録します

社員総会・理事会の議事録は、書面または電磁的記録で作成します。日時・場所、議事の経過と結果、特別の利害関係がある人、法令上記録すべき意見・発言など、会議に応じた必要事項を記載します。

ひな形を使う場合も、実際の出席者、議案、賛否、決議内容に合わせてください。開催していない会議や、行っていない決議を、ひな形の文章どおり実施済みとして残してはいけません。

書面で作る理事会議事録は、出席した理事と監事の署名または記名押印が原則です。定款に、署名等をする理事を出席理事長とする定めがある場合は、その理事長と監事が行います。電磁的記録で作成する理事会議事録には、法令の要件を満たす電子署名が必要です。社員総会の署名者に、この理事会のルールをそのまま当てはめず、自法人の定款と所管自治体の案内を使ってください。

社員総会の議事録は総会の日から、理事会の議事録等は理事会の日から、主たる事務所に10年間備え置きます。理事会の決議を省略した場合は、決議があったとみなされた日から数えます。社員総会議事録の写しは、従たる事務所にも原則5年間の備置きが必要です。

決算関係の書類には別の保存・備置き規定があります。事業報告書等と監査報告書は、社員総会の1週間前の日から主たる事務所に5年間、従たる事務所には写しを3年間備え置きます。貸借対照表・損益計算書自体は作成時から10年間の保存が必要です。議事録と決算資料を同じ年数でまとめて廃棄しないよう、資料別に管理しましょう。

根拠:医療法第46条の3の6・第46条の7の2・第51条・第51条の4、準用される一般法人法第57条・第95条・第97条、医療法施行規則第31条の3の3・第31条の5の4・第31条の5の5

手元の定款と前回の記録から、今年の予定を作る

まず、現行の定款、社員名簿、役員名簿、前回の社員総会・理事会議事録、会計年度が分かる資料をそろえます。そのうえで、次の順に予定表へ入れてみてください。

  1. 会計年度末と、定款で定めた総会の時期を記入する。
  2. 理事長の職務執行報告について、自法人に適用される間隔で理事会の予定を入れる。
  3. 決算書類の作成、監事監査、理事会承認、資料提供・備置き、社員総会、届出を逆算して並べる。
  4. 役員の任期満了日を、定款と前回の選任記録から確かめる。役員の任期は2年を超えられませんが、全法人が一律に同じ日程で改選するわけではありません。
  5. 通知・資料作成・議事録・届出の担当者を決める。専門家へ依頼している作業は、契約に含まれる範囲も確かめる。

過去の議事録が見つからない、名簿と定款の人数が合わない、必要な会議を開いたか分からない場合は、記録が残っていることと、未確認・未実施のことを分けてください。後から日付だけを合わせず、定款、残っている記録、これから行う予定を所管自治体や内容に合う専門家へ示すと、何から対応するかを相談しやすくなります。

サクセスファン行政書士事務所へ行政手続きの相談を検討する場合も、法人の所在地、会計年度末、予定している変更、現在そろっている資料をお知らせください。ご相談内容に応じて、対応できる範囲と費用を確認してご案内します。会計・税務、登記、紛争に関わる判断は、それぞれ税理士、司法書士、弁護士等の担当範囲と分けます。

設立後に必要な届出や変更手続きの全体像は、医療法人の総合ガイドから確認できます。定款自体を変更する場合は、医療法人の定款変更へ進んでください。

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確認日:2026年11月5日。全国共通の法令と、地域例として兵庫県の説明資料を参照しています。実際の運営では、法令に加えて自法人の現行定款を使用してください。