
バーなどで午前0時以降もお酒を提供したいときは、保健所の飲食店営業許可とは別に、風営法の届出が必要になる場合があります。
対象となる営業は、営業開始の10日前までに、深夜における酒類提供飲食店営業の届出を行います。
ただし、「お酒を出す店ならすべて同じ」「主食のメニューがあれば不要」という判断はできません。
接待や店側による遊興があれば、届出ではなく別の許可を確認する必要もあります。
まず営業の時間と実際のサービスを整理し、その後に場所・設備・書類を確認しましょう。
この記事では、全国共通の制度を中心に、営業地で確認する条件も分けて説明します。

深夜酒類提供の届出は、営業の時間と実態で判断する
風営法の「深夜」は、午前0時から午前6時までです。
この時間帯に、バーや酒場など、酒類提供飲食店営業を営む場合は、営業所ごとに公安委員会への届出が必要です。
申請・届出の窓口となるのは、営業所を管轄する警察署です。
風営法第2条・第13条・第33条/施行規則第1条・第103条
ここでいう酒類提供飲食店営業からは、営業の常態として通常主食と認められる食事を提供する営業が除かれます。
また、接待飲食等営業や特定遊興飲食店営業などは、別の制度として扱います。
「お酒の注文が少ないから届出は関係ない」とも限りません。
警察庁の基準では、提供する酒類の量の多い・少ないを問わないとされています。
売上の何割なら対象外、といった独自の割合で判断しないようにしましょう。
主食のメニューがあるだけでは、対象から外れません
警察庁は、主食を提供する営業の「常態」について、営業時間中に常に主食を提供する店であることや、客が飲食している大部分の時間に主食を提供していることを挙げています。
たとえば、昼間だけ主食を提供する店や、大半の時間はお酒を飲ませ、最後にお茶漬けを出すような場合は、この除外に当たらないと説明されています。
警察庁・解釈運用基準 第11「酒類提供飲食店営業の意義」
確認するのは、料理がメニューに載っているかだけではなく、いつ、どのように提供して営業するかです。
昼と夜で営業内容が変わる店は、時間帯ごとのメニューと提供方法を分けて説明できるようにしてください。
なお、この届出の対象外でも、食品衛生上の許可や、深夜の飲食店営業に関する設備等の規制までなくなるわけではありません。
接待や遊興があるなら、届出の前に制度を分ける
営業時間だけで手続を決める前に、接客・イベント・設備を確認します。
| 予定している営業 | 先に確認する制度・条件 |
|---|---|
| 特定のお客様の会話や歌・ゲームの相手など、接待をして飲食をさせる | 風俗営業1号の許可。深夜酒類の届出では代わりにならない |
| 深夜に店側が積極的に客へ遊興をさせ、酒類も提供する | 特定遊興飲食店営業の許可。風俗営業に当たるものは除く |
| 接待等がなく、深夜に酒類を提供する | 主食提供を営業の常態とする店などの除外条件を確認し、深夜酒類の届出を検討 |
| 暗い照明や見通しにくい小さな区画席などを設ける | 接待がなくても、風俗営業2号・3号などに当たらないか確認 |
カラオケや音楽がある店も、機器の有無だけでは決まりません。
客の希望に応じて機器を操作するだけなのか、店側が客を積極的に盛り上げて遊興させるのかなど、サービスの内容を整理します。
警察庁・解釈運用基準 第2・第10
また、1号の許可を受ければ深夜も自由に接待営業ができるわけではありません。
風俗営業には原則として午前0時から午前6時までの営業時間制限があり、条例による例外も地域・日などの条件付きです。
制度の選択から確認したい方は、風営法の許可・届出ガイドをご覧ください。
会話や歌・ゲームへの関わり方は、風営法の接待に当たる行為の具体例で確認できます。
届出でも、営業できる地域と設備に条件がある
場所は、営業地の条例で確認します
深夜酒類提供飲食店営業は、届出を出せばどの場所でも始められる制度ではありません。
都道府県条例で、営業できない地域が定められることがあります。
風営法第33条第4項
物件を契約する前に、候補地の住所と図面を用意して、管轄警察署へ確認しましょう。
既に契約・内装工事を済ませている場合は、現在の図面や写真、契約上の使用条件も手元にまとめてください。
他県の記事にある用途地域や道路からの距離を、そのまま自分の店舗へ当てはめないことが大切です。
設備は、届出書を書く前に図面と合わせて確認します
深夜の飲食店営業には、構造・設備の基準があります。
主な確認点は次のとおりです。
| 項目 | 主な基準・注意点 |
|---|---|
| 客室面積 | 一室9.5㎡以上。ただし、客室が一室のみの場合はこの面積基準の例外 |
| 客室の見通し | 内部の見通しを妨げる設備を設けない |
| 出入口 | 客室の出入口に施錠設備を設けない。営業所外へ直接通じる出入口は例外 |
| 照明 | 規定の方法で測った照度が20ルクス以下にならないようにする構造・設備 |
| 騒音・振動 | 条例で定められた基準に適合するよう確認する |
出典:風営法第32条、施行規則第99条。
上表は主な項目であり、すべての基準を列挙したものではありません。
ココに注意
客室が一室の例外は、面積についてのものです。
照明や見通しなどの条件まで免除されるわけではありません。
インテリアのイメージだけで照明や間仕切りを決めず、図面と実際の配置を合わせて確認してください。
開始10日前までの届出に向けて、資料を準備する
届出書は、深夜にその営業を始めようとする日の10日前までに提出します。
「10日前に書類を作り始める」のではなく、その時点までに営業方法・場所・設備の確認と書類準備を終えられるよう、日程を組みます。
既に昼間や午前0時まで営業している店が深夜営業を始める場合も、深夜営業の開始予定日から準備を逆算してください。
施行規則第103条
主な提出書類は次のとおりです。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 共通 | 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書、営業の方法を記載した書類、営業所の平面図 |
| 個人 | 住民票の写し |
| 法人 | 定款、登記事項証明書、役員の住民票の写し |
出典:許可申請書の添付書類等に関する内閣府令 第24条。
同じ公安委員会の管轄内で既に届出をして営業している場合など、一部書類の取扱いが異なることがあります。
提出する書類、住民票の記載事項、図面に必要な表示は、管轄の最新案内で確認してください。
事前確認に使った募集図面と、提出する営業所の平面図は役割が異なります。
客室の区分や設備の配置が現在の店と合っているか、営業方法の記載と食い違っていないかを確認しましょう。
また、保健所の飲食店営業許可は別の手続です。
警察への届出だけで食品衛生上の許可を受けたことにはならないため、それぞれの準備を分けて進めてください。
開業後に営業時間や設備を変えるときも確認する
届出後に営業を廃止したり、届出事項に変更が生じたりした場合にも、所定の手続が必要になります。
設備の変更は内容によって取扱いが異なり、間仕切り、照明・音響設備などの変更が確認対象になることがあります。
風営法第33条/添付書類等に関する内閣府令 第22条・第24条
深夜営業を始める、接待を伴うサービスを追加する、イベントの運営方法を変えるといった場合は、営業区分そのものの確認も必要です。
最初の届出があることを理由に、どのような営業変更も認められると考えないようにしてください。
まず、営業時間・メニュー・接客内容を整理する
手続の準備を始めるなら、次の情報をそろえましょう。
- 営業時間:開店・閉店時刻。酒類や食事を提供する時間帯。
- メニューと提供方法:主食をいつ、どのように提供するか。昼夜で内容が変わるか。
- 接客・催し:会話、カラオケ、ゲーム、ライブ、イベントなどの内容と店側の関わり方。
- 物件と設備:営業予定地、平面図、席・仕切り・照明の配置、契約や工事の状況。
- 開始希望日:届出の期限だけでなく、営業地・設備の確認と資料準備に充てられる日程。
ご自身で管轄警察署へ確認し、書類を準備して届け出ることもできます。
営業方法の整理や書類・図面の準備を依頼したい場合は、手元の資料と任せたい範囲を伝えると、対応可否と費用の確認が進めやすくなります。
サクセスファン行政書士事務所へのご相談は、お問い合わせフォームをご利用ください。
営業予定地と現在の準備状況を伺い、対応できる業務範囲・費用を確認したうえで、ご依頼を検討いただけます。
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