補助金・助成金

持続化補助金の採択後にすること|交付決定前の準備と注意点

持続化補助金の採択後。交付決定から実施までの手続きを示す書類とデスク。

小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)に採択されても、その通知だけで発注や契約を始めることはできません。まず確認したいのは、届いた書類が「採択通知書」なのか、「補助金交付決定通知書」なのかです。

採択後は、見積書等の提出や申請内容の修正を経て交付決定を受け、その後に事業を実施します。補助金は後払いなので、採択と同時に入金されるわけでもありません。

この記事では、一般型・通常枠の採択後に行う準備を順に説明します。具体的な期限は、2026年11月8日時点の第20回公募要領・第9版によります。すでに別の回で採択された方は、ご自身の採択回の公募要領・補助事業の手引き・通知を確認してください。

採択通知から交付決定、事業実施へ進む流れ

持続化補助金の採択後は、交付決定を確認してから発注する

通知書と予定表を照らし合わせ事業開始前の条件を確認するイメージ
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採択は、申請した計画が審査で選ばれた段階です。その後、経費の内容や価格の妥当性などの確認を受けます。採択されたからといって、申請した経費のすべてが補助対象になるとは限りません。

交付決定は、その確認を経て補助事業を始められる段階です。補助金交付決定通知書を受領し、そこに記載された交付決定日を確認してから、発注・契約・支払いへ進みます。

今の段階 主にすること
採択通知を受け取った 自分の採択回と通知内容を確認し、見積等を提出する
事務局から修正依頼がある 対象の項目を修正し、必要資料を再提出する
交付決定通知書を受領した 交付決定日・対象経費・金額・条件を確かめて事業を始める
事業と支払いを終えた 実績報告を行い、額の確定後に補助金を請求する

「代金は後で払うから、先に契約だけしておく」という進め方にも注意が必要です。交付決定前の発注・契約は、支払日を後にしても原則として補助対象外です。開始時点の基準は、公募要領の採択後の義務で確認できます。

交付決定前に発注してしまった場合は?

実際の取引日と異なる日付へ書類を書き換えてはいけません。原則として補助対象外となる行為なので、発注日、契約内容、支払状況が分かる資料をそのまま残し、担当事務局へ事実を伝えて取扱いを確認してください。

交付決定を待つ間に、見積と日程を整える

見積書を比較して事業実施の準備を進めるイメージ
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採択後、最初にそろえる資料

採択の連絡を受けたら、次の資料を一か所にまとめてください。

  • 採択通知書と、事務局から届いた修正依頼・連絡
  • 応募した経営計画・補助事業計画・経費明細
  • 自分の採択回の公募要領と、公開されている補助事業の手引き
  • 取得済みの見積書と、これから取得する見積の一覧

そのうえで、「見積提出」「事業の実施・支払完了」「実績報告」の期限を分けて記録します。日付の取り違えを防ぐため、資料には公募回と版も残すと確認しやすくなります。

ネットで見つけた記事や公式サイトの共通案内が、すべて自分の回に対応するとは限りません。公募回によって、経費区分や相見積の基準等が変わることがあります。通知と手引きで読み方が分かれたときは、発注前に担当事務局へ確認しましょう。

発注をせずに、内容と日程を具体化する

交付決定を待つ間は、取引先へ見積を依頼し、仕様、数量、納期、納品後の確認方法を詰めておきます。事業に使う資金と支払日も整理しておけば、交付決定後の無理な日程を避けやすくなります。

取引先には、今は見積・仕様確認の段階であり、正式な発注は交付決定通知の確認後に行うと伝えておくと、認識の行き違いを減らせます。予約金や着手金の支払い、契約成立を伴う申込みまで進めないよう、手続きの内容を確認してください。

展示会等の出展には例外があり、第20回では出展申込み自体は交付決定前でも可能です。ただし、請求書の発行日や出展料等の支払日が交付決定前になるものは対象外です。この例外を、制作委託や設備購入にも使えると考えないでください。展示会等出展費の条件を確認して判断します。

見積の提出と、修正依頼への対応を進める

採択後は、計上しているすべての経費について見積書等を提出し、事務局の確認を受けます。複数の作業が含まれる見積は、金額だけでなく内訳が分かる形にします。対象外経費や不明確な内容を指摘されたときは、指示に沿って訂正・再提出が必要です。

見積の取得と提出が終わっても、交付決定通知を確認するまでは事業を開始しません。第20回公募要領には、詳細な見積を速やかに提出しても、採択発表から交付決定まで概ね1〜2か月かかる場合があると記載されています。これは目安であり、確定した納期ではありません。

確認中に予定が変わりそうなら、先に発注して日程を確保するのではなく、取引先と日程を再調整し、必要な変更手続きを確認します。公式の採択後の案内では通知確認から交付決定までの流れを確認できます。画面の操作は、自分の回の手引きに従ってください。

必要な見積の数や書類の内訳は、見積書・相見積の解説で確認できます。

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賃金引上げ特例・加点を選んだ場合の追加手続き

賃金引上げ特例・賃金引上げ加点で採択された場合は、見積のほかに、1人あたり給与支給総額の目標値設定と、全従業員または従業員代表者、役員への表明を、採択後から交付決定までに行います。基準値を算定する情報の入力や、採択発表月を終点とする連続12か月分の賃金台帳、雇用条件を示す書類等も必要です。

特例と加点では目標の条件が異なります。申請時にどちらを選んだかを確かめ、賃金引上げ特例の手続きまたは賃金引上げ加点の手続きと、公開される補助事業の手引きに沿って準備してください。

事業の実施・支払い・報告を期限から逆算する

事業の実施資料と支払記録をまとめて報告に備えるイメージ
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第20回の実施期限と報告期限はいつ?

第20回の期限は次のとおりです。

手続き 第20回の期限
見積書等の提出 2028年2月29日
補助事業の実施・支払完了 2028年3月31日
実績報告の最終提出期限 2028年4月10日

実績報告は、補助事業が終了した日から30日を経過した日と、最終提出期限のいずれか早い日までです。早く事業を終えた場合も、最終提出期限まで待てるとは限りません。ここでいう終了には、補助対象経費の支払いも含まれます。実施期間と報告期限をもとに、二つの日付を比べてください。

ただし、賃金引上げ特例・賃金引上げ加点を選択した場合は、終了予定日を2028年3月31日に設定し、事業自体を早く終えても3月31日より前に実績報告はできません。 通常の早期終了とは分けて日程を組みます。第20回公式FAQ Q6-1も確認してください。

また、期限までに買って払うだけでは足りません。購入した設備を計画に沿って使う、広告を実際に出す、制作したサイトを公開して販路開拓に使うなど、事業の取組まで実施する必要があります。

発注前に、取引先へ納品予定、修正に必要な日数、請求の時期を確認し、支払いと報告書作成の時間も確保しましょう。見積、発注、納品、請求、支払い、実施結果を取引ごとにまとめておくと、報告の準備も進めやすくなります。

計画や経費を変える前に必要なこと

交付決定後に、「広告をやめて設備を買いたい」「外注する内容や経費の配分を変えたい」と考えることもあるでしょう。その場合は、変更した内容で発注する前に、必要な手続きを確かめます。

第20回公募要領では、交付決定後に補助事業の内容や経費配分を変更する場合、中止・廃止等をする場合には、事務局の事前承認が必要とされています。計画にない新しい費目の追加は原則として認められず、目的達成に必要不可欠と認められる場合などに限られます。

相談するときは、「元の計画」「変えたい内容」「理由」「金額・日程への影響」を並べて伝えると、確認すべき点が明確になります。先に変更して、実績報告で説明すればよいと自己判断しないことが大切です。公募要領24〜25頁の変更に関する規定もあわせて確認してください。

なお、業務効率化の取組に係る経費は、申請時の計画と経費明細への記載が前提です。変更承認を受ければ後から追加できるという取扱いではありません。

採択された補助金は、いつ振り込まれる?

採択直後の入金ではありません。事業と支払いを終えて実績報告を行い、事務局による確認と補助金額の確定を経て、精算払請求をします。確認や修正の状況で進み方が変わるため、特定の日数で入金されることを前提に資金を組まないようにしてください。

まず手元の通知書で、採択回、交付決定通知の有無、修正依頼、次の提出期限を確かめてください。今できる準備と、交付決定後に行う取引を分けておけば、取引先にも予定を伝えやすくなります。

事業を終える時期が見えてきたら、実績報告から入金までの必要書類と手続きを確認しておきましょう。

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  • この記事を書いた人

行政書士 小野馨

平成17年行政書士開業・1973年1月生・神戸市出身。兵庫工業高等学校卒業、慶応義塾大学通信教育課中退。富士通株式会社でシステムエンジニアとして2年勤務。自分のやりたい仕事でないと退職。その後、30以上の職種を経験した後、起業家をサポートするため、平成17年2月に行政書士開業。1000社50業種以上に会社設立・許認可など5000以上の行政手続きを代行。