小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)の見積書は、金額を伝えるだけの書類ではありません。「何に使う費用か」「価格は妥当か」「申請した取組と一致するか」を確認するために提出します。
一般型・通常枠の第20回では、1件あたりの発注総額が税込50万円を超える場合は、2者以上からの相見積が必要です。中古品は金額に関係なく相見積が必要になります。ただし、相見積が不要な金額でも、採択後の見積書等の提出が不要になるわけではありません。
この記事は、2026年11月8日時点の第20回公募要領・第9版を基準にしています。過去の回で採択された方は、その回の公募要領・補助事業の手引きに従ってください。相見積の金額基準を、別の回の共通案内からそのまま当てはめないことが大切です。

持続化補助金の見積書・相見積は、発注額と中古品かで判断する

第20回は1件の発注総額が税込50万円を超える場合
相見積は、補助事業者自身が別々の企業から取得します。第20回公募要領では、1件あたりの発注総額が税込50万円を超える取引について2者以上から見積を取り、より安価な発注先を選ぶよう定めています。
見るのは、補助金として受け取る予定額ではなく、その取引の発注総額です。たとえば発注総額が税込66万円であれば、自己負担を差し引いて判定するのではありません。税込50万円ちょうどは「50万円超」という金額条件には当たりませんが、中古品等の別条件や見積提出自体の義務は残ります。
比較するときは、仕様、数量、納品範囲などの条件をそろえましょう。一方は制作のみ、もう一方は運用や保守まで含むと、単純に総額だけを比べても違いを説明しにくくなります。相見積の規定は公募要領21〜22頁で確認できます。
中古品は少額でも相見積が必要
中古の機械装置等では、相見積に加えて、次の条件にも注意が必要です。
| 確認する項目 | 第20回の条件 |
|---|---|
| 購入単価 | 税抜50万円未満 |
| 見積の取得先 | 2者以上の中古品販売事業者から、同等品について取得 |
| 個人・オークション | 個人からの購入、オークションによる購入は不可 |
| 相見積の省略 | 金額にかかわらず必要。理由書による随意契約への置換は不可 |
複数の見積書は、採択発表後から交付決定までの提出に加え、実績報告の際にも添付します。最初の提出が終わっても、比較に使った見積を一緒に保存しておきましょう。
「中古で安いから1社の見積でよい」「相見積があれば高額な中古品も対象」という理解はできません。税抜50万円以上の中古品を分割して購入単価を下げても、その中古品全体が対象外になります。修理費は対象外で、故障等により計画の取組に使えなかった場合にも対象外となります。中古品の条件は、発注前にまとめて確認してください。
見積書の内訳をそろえ、交付決定前に提出する

見積書で確認したい六つの項目
見積を受け取ったら、金額の安さだけでなく、次の内容を確認します。
- 発行日と、見積書であることが分かる表示
- 補助事業者を宛名とした正式な名称
- 発行した事業者の名称
- 商品名・型番や作業内容、数量などの具体的な内訳
- 金額と、税込・税抜の区別
- 中古品であれば、その旨が分かる記載
これらは公式の見積書確認案内にも示されています。同ページには過去の回を対象とした金額基準も掲載されているため、相見積の要否は上で示した第20回公募要領と、ご自身の採択回の資料で確認してください。
「制作費一式」「工事一式」という総額だけでは、作業の中身や価格の妥当性を確認できません。正式な書類として足りるかに加え、別の人が読んでも、何をいくつ、どこまで頼むのか分かるかを見てください。
見積の修正が必要なときは、発行元へ内訳の追記や訂正を依頼します。受け取った書類の金額・日付・取引内容を、申請者側で実態と異なる内容へ変更してはいけません。
見積書はいつ提出し、いつから発注できる?
採択後は、計上しているすべての経費について見積書等を提出し、事務局による確認を受けます。複数の項目が含まれる見積は、内訳を示す必要があります。第20回の見積書等の提出期限は2028年2月29日です。
この期限は「発注してよい日」ではありません。見積書を提出しただけでは事業を開始できず、交付決定通知書を受領し、記載された交付決定日を確認してから発注・契約へ進みます。見積提出と事業開始の規定を先に確認してください。
見積の依頼時には、発注予定の商品・作業を具体的に伝えます。補助対象経費と対象外経費が一つにまとめられていると、何を申請するのか判断しにくくなります。たとえばサイト制作と広告配信を依頼するなら、それぞれの作業内容と金額が分かる形で内訳を出してもらいましょう。
通知を受け取ってから着手するまでの流れは、採択後の準備で確認できます。
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1社しか見積を取れないときは、理由書の条件を確認する

第20回では、発注する内容の性質上、相見積の取得が難しい場合に、特定の企業等を随意契約の対象とする理由書を提出する取扱いがあります。提出は採択発表後、交付決定までです。
これは、どのような理由でも1社発注が認められるという意味ではありません。自社の希望や「いつもの業者だから」という事情だけで判断せず、必要な仕様、比較先を探した状況、他社では対応が難しい点を整理し、担当事務局へ確認してください。
また、中古品にはこの方法を使えません。 中古品について相見積を取得できない場合は、理由書で代替するのではなく、調達方法や購入対象を見直す必要があります。取引内容を変える場合も、申請計画や交付決定後の変更手続との整合を確認します。
発注後は、証拠書類と支払いを取引ごとに管理する

見積から支払いまで、どの証拠を残す?
見積が整ったら、実績報告のための準備も始めましょう。支払ったことだけでなく、その支出が計画した事業の取引だと分かる状態にすることが大切です。
次のように、取引ごとに書類をつなげて整理すると照合しやすくなります。これは整理例であり、すべての経費に同じ書類一式が指定されるという意味ではありません。提出する書類と書式は、採択回の手引き・経費区分に従います。
| 取引の段階 | 残したい内容の例 |
|---|---|
| 見積・仕様確認 | 依頼内容、価格、必要な相見積、選定の説明 |
| 発注・契約 | いつ、誰に、何を依頼したか |
| 納品・検収 | 何が納品され、内容を確認したか |
| 請求・支払い | 請求内容、振込先、支払日、金額がつながる資料 |
| 実際の取組 | 広告、公開したサイト、設備の使用状況等が分かる資料 |
たとえば「01_チラシ制作」「02_設備購入」のように取引ごとにフォルダを作り、その中へ見積から支払記録までを保存する方法があります。複数の請求を一度に支払ったときも、どの支払いがどの取引に対応するか分かるようにしておきます。
インターネット上の取引でも、証拠資料の保存は必要です。発注日や請求額、広告の実施内容などを示す画面が後で取得できないと、実際に払っていても対象外になることがあります。契約前に、取引画面や書類を保存できるか確認してください。電子商取引と区分経理の注意にも記載があります。
カード払い・現金払いで気をつけること
第20回では銀行振込が大原則です。クレジットカード払い等では、決済した日だけでなく、補助事業期間内に金融機関からの引落しまで終わっている必要があります。購入日と引落日が別の月になる場合は、先に日程を確認しましょう。
現金払いは、旅費や現金決済のみの取引等の例外を除き、1取引が税抜10万円を超えると認められません。相見積の「税込50万円超」とは、税の区分も目的も違う基準です。支払方法の規定を分けて確認してください。
カード払いは申請する事業者の名義が原則です。代表者や従業員の個人カードで立て替えた場合は、立替払いとして帳簿等で確認できなければ補助対象外になります。
書類は入金後も保存する
補助事業の関係帳簿・証拠書類は、補助事業が終了した日の属する年度の終了後5年間、保存する義務があります。入金された時点で破棄せず、後から閲覧できる形で保管します。保存義務の規定も確認しておきましょう。
まずは発注予定の取引を並べ、「採択回」「発注総額の税込金額」「中古品かどうか」「見積の内訳」「後から残せる証拠」を確認してください。書類を最後に集めるより、見積依頼の時点で必要な内容をそろえる方が、取引先とのやり取りも進めやすくなります。
取引ごとの資料がそろったら、実績報告の期限と提出書類も確認しましょう。
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