飲食関連許可

飲食店でお酒を持ち帰り販売するには|必要な免許と売場・在庫の分け方

白大理石のカウンターと酒棚のある飲食店。飲食店のお酒、持ち帰り販売するには、免許・売場・在庫と記した解説記事の表紙。

飲食店が、自宅など店の外で飲むためのお酒を持ち帰り用に販売するには、原則として酒類販売業免許が必要です。 飲食店営業の許可を持っていても、その許可だけでボトルの小売販売を始めることはできません。

こんにちは。神戸のサクセスファン行政書士事務所、行政書士の小野馨です。

「食事と一緒に楽しんだワインを、帰りに買えるようにしたい」「日本酒と料理の持ち帰りセットを販売したい」。飲食店のお酒を、お客様のご自宅でも楽しんでもらえる機会はあります。ただ、飲食店の仕入れや冷蔵庫をそのまま使えばよいというわけではありません。

国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」の令和8年9月改訂版と、解釈通達・酒類に関するQ&Aを基にしています。小分け後の表示については、令和8年10月改訂の「食品表示法における酒類の表示のQ&A」も確認しています。

飲食店でお酒の持ち帰り販売を始めたい方へ。店舗図面と販売したい商品の情報をもとに、必要な免許と飲食・酒販の区分、申請準備を相談できます。工事や設備購入の前に、計画を整理しましょう。

酒類販売業免許のご相談。売り方に合う免許と申請準備を整理

飲食店のお酒の持ち帰り販売に必要な免許を確認する

計画している営業 酒類販売業免許の基本的な考え方
店内の客席でワインや日本酒を提供する 専ら自己の営業場で飲用に供する営業については不要
未開栓のボトルや缶を、持ち帰り用の商品として売る 酒類販売業免許が必要
料理の持ち帰り注文に、市販のお酒を付けて販売する お酒の販売について免許が必要
酒類を店外で飲むための容器に入れて販売する 容器を変えただけでは免許不要にならない。詰替え等の確認も必要
全国の顧客からネット注文を受け、酒類を発送する 通信販売酒類小売業免許の対象となる販売かを確認

店内で飲むための提供と、店外で飲むための販売を分ける

酒場や料理店などが、専ら自己の営業場で飲んでもらうためにお酒を提供する場合、酒類販売業免許は必要ありません。これは、飲食店営業の許可など、ほかの法令の手続きまで不要という意味ではありません。

一方、テイクアウトや配達などにより、営業場以外で飲むためのお酒を継続して販売する場合は、販売場ごとに酒類販売業免許を受ける必要があります。

飲食店でよくある「お客様に頼まれたときだけ、定期的にボトルを販売する」という計画も、客層が常連客に限られるから免許不要とはいえません。解釈通達は、継続的な販売について、営利目的の有無や販売相手が特定か不特定かを問わないとしています。

根拠:国税庁「お酒についてのQ&A・販売業免許関係Q3」、解釈通達・第9条第1項関係1・7。

「栓を開ければ免許なしで販売できる」とは考えない

持ち帰り販売の相談では、開栓の有無が話題になりがちです。しかし、基本となるのは、その店の営業場以外で飲むためのお酒を販売する営業かどうかです。

初めから持ち帰り用として売るボトルの栓を開けたり、カップに移したりしても、それだけで店内提供に変わるわけではありません。「未開栓の商品だけが酒類販売業免許の対象」とする説明は避けてください。

店内で実際に飲むために注文したボトルの飲み残しを持ち帰る場面と、持ち帰り用の商品を販売する営業も、同じではありません。飲み残しの取扱いを前提に持ち帰り販売のメニューを作るのではなく、予定する注文・提供方法を税務署に伝えて確認しましょう。

根拠:解釈通達・第9条第1項関係7。

店頭販売と近隣配達は一般小売、広域の通販は別に確認する

飲食店に酒販部分を設け、来店客に持ち帰り用のお酒を販売する場合は、通常、一般酒類小売業免許を検討します。一般小売は、販売場で原則として全ての品目の酒類を小売できる免許ですが、原則として「通信販売を除く小売に限る」旨の条件が付きます。

ここでいう通信販売は、2都道府県以上の広範な地域の消費者等に対し、ネットやカタログ等で商品・価格などを示し、通信手段によって注文を受ける販売です。ネットを使ったかどうかだけで決まるわけではありません。

  • 店頭で注文を受ける、または店頭で酒類を引き渡す販売: 解釈通達では「店頭小売」とされ、一般小売の対象です。来店客が県外に住んでいることだけで、通信販売になるわけではありません。
  • 一つの都道府県の消費者等だけを対象にした販売: ネットや電話で受注する場合も、一般小売の対象となります。
  • 県境を越える近隣への配達: 販売場所在市町村の近隣にある市町村の消費者等から受注し、自ら配達する方法は一般小売の対象とされます。この「自ら配達」には、他の事業者への配達・引渡しの委託も含まれます。
  • 全国など広い地域を対象に受注して発送する販売: 通信販売酒類小売業免許を検討します。販売できる酒類にも条件があります。

例えば、神戸の店頭でお客様にボトルを渡す計画と、全国向けのネットショップで注文を受けて発送する計画は、分けて検討します。これは関西の店舗を想定した説明例であり、地域限定の特別な制度ではありません。

すでに一般小売の免許があり、広域通販を追加する場合も、現在の免許条件を確認したうえで条件緩和などの手続きを検討します。通販については通信販売酒類小売業免許の申請ガイド、販売相手や方法の全体整理には酒類販売業免許の種類と選び方をご覧ください。

根拠:国税庁手引4、10、15頁、解釈通達・第9条第1項関係8、販売業免許関係Q8。

コロナ禍の料飲店等期限付免許は、現在の常設制度ではない

新型コロナウイルス感染症への対応として設けられた「料飲店等期限付酒類小売業免許」は、延長分も含めて令和3年3月末に期限が到来しています。

当時の「短期間で販売を始められる」「従来の取引先から仕入れた在庫を販売できる」という案内を、現在の一般小売の申請にそのまま当てはめてはいけません。過去にこの免許を受けていた店舗でも、現在の持ち帰り販売をカバーする有効な免許があるか、通知書を確認してください。

なお、催事などの臨時販売場に関する期限付酒類小売業免許は別の制度です。「期限付免許が全て廃止された」という意味ではありません。

根拠:国税庁「料飲店等期限付酒類小売業免許を受けている事業者の皆様へ」、解釈通達・第9条第2項関係。

酒棚と白い大理石を背景に、一般酒類小売業免許、4つの要件を確認、未経験・赤字・自宅と表示した記事表紙。
一般酒類小売業免許の要件|4つの審査基準と申請前の確認点

「酒屋で働いたことがなくても申請できる?」「会社が赤字だと免許は取れない?」「自宅や飲食店の一角で販売したい」。一般酒類小売業免許の準備では、このような条件判断で迷う方が少なくありません。 確認するの ...

飲食店と酒販店を場所・仕入れ・売上・在庫で区分する

場所的要件と、接客業者に関する需給調整要件は別に確認する

飲食店併設の申請では、二つの要件を分けて読むことが大切です。

一つ目は、場所的要件です。 申請する酒類販売場が、酒場・料理店等と同一の場所でないことや、他の営業主体の営業と区画・販売従事者・代金決済などの面で明確に区分されていることを確認します。同じ建物の中かどうかだけではなく、どこを誰の販売場として、実際にどのように営業するかが問題になります。

二つ目は、需給調整要件です。 国税庁の手引は、申請者が酒場・旅館・料理店等の酒類を取り扱う接客業者でないことを原則としつつ、国税局長が免許付与に支障がないと認めた場合には、接客業者でも免許を受けられるとしています。

さらに、同じ営業主体が飲食店と酒販店を兼業する例について、次の区分が必要と説明しています。

  • 飲食店部分と酒販店部分を、場所として区分する。
  • 店内提供用と酒販用のお酒を、仕入先等を含めて混同しない。
  • 仕入れ・売上・在庫管理を明確に区分し、帳簿で確認できるようにする。

根拠:国税庁手引6〜9頁、解釈通達・第10条第9号関係。

図面では、売場だけでなく保管・会計・受渡しまで示す

図面には、建物内のどこで酒販を行うのか、飲食営業との境界がどこなのかを示します。正式な申請では「販売場の敷地の状況」「建物等の配置図」などを用い、申請販売場と一体として機能する倉庫、標識や酒類売場表示の位置も明らかにします。

飲食店併設なら、次の点を図面と説明資料で整理しておくと、相談が進めやすくなります。

  1. 店舗全体と申請範囲: 建物の位置、階、店舗全体の配置、酒販部分の範囲。
  2. 飲食営業との境界: 客席、厨房、カウンター、壁・扉・間仕切りなどの配置と使い方。
  3. 商品の保管場所: 店内提供用と酒販用の棚・冷蔵設備・在庫置場を、それぞれ識別できる表示。
  4. 販売の場所と流れ: 注文、会計、年齢確認、酒類の引渡しをどこで行うか。
  5. 表示と管理: 酒類販売管理者標識、酒類売場と年齢確認に関する表示、帳簿の備付場所。

この一覧には、申請様式に記載する事項のほか、飲食併設の実態を説明するための準備事項も含んでいます。全てが独立した法定添付書類になるわけではありません。

国税庁の一般手引は、飲食併設について「壁の高さは全国一律に何センチ」「酒販部分は最低何平方メートル」「レジは必ず2台」といった共通仕様を定めていません。ただし、区分や独立性が不要という意味でもありません。内装工事や設備購入の前に、実際の寸法を入れた図面と管理方法を示して確認することが大切です。

根拠:国税庁手引7〜9、21、25〜27頁。

この図は、同一事業者が飲食店と酒販店を兼業する架空の相談案です。図中の共用通路や区分方法は、店舗の実態を示して所轄税務署へ確認してください。全国一律の壁・面積・レジ台数の基準や、免許取得を保証する配置ではありません。実際の申請図には、所在地・所在階・寸法・面積・壁や扉等の構造を記載します。

架空の同一事業者の飲食店併設案。奥の飲食部分と手前の酒販部分、用途別保管、会計と年齢確認の位置、要相談の共用通路を区分した平面模式図。
図1:飲食店併設の平面模式図。説明用の架空案です。正式申請用の図面ではありません。画像を押すと原寸で確認できます。

細部の拡大・印刷には、飲食店の酒販区分・管理例PDF(2ページ)をご利用ください。この図はPDFの1ページです。ご自身の申請へそのまま転用する公式様式ではありません。

同じ会社の兼業と、別の事業者への棚貸しを混同しない

「飲食店と酒販を同じ会社が運営する」のか、「飲食店の一角を別の事業者に貸す」のかでも、確認すべき内容は変わります。

他の営業主体が関係する場合は、販売従事者や代金決済を含めた営業の独立性を確認します。解釈通達には、狭い店舗の一部の陳列棚を借り、他の業者と同じレジで決済するような例では、免許を付与できない旨が示されています。

一方、この例を理由に、同一事業者が飲食と酒販を兼業する全ての場合で「レジが2台あればよい」と結論づけることもできません。レジの台数だけでなく、部門別の売上をどう記録し、現金や決済データ、在庫とどう照合するかまで説明します。

賃貸物件では、現在の契約で酒類小売を行えるかも確認してください。転貸する場合は、所有者から実際の申請者までの使用権限を説明する資料が必要になります。

根拠:解釈通達・第10条第9号関係1(3)、国税庁手引7、21、40頁。

いつもの酒屋から、酒販用のお酒も仕入れられるとは限らない

飲食店が店内で提供するためのお酒は、酒類小売業者から仕入れることができます。しかし、取得した免許に基づいて商品として小売するお酒は、仕入先がその酒類を酒類販売業者へ販売できることを確認する必要があります。

通常の酒販用の仕入先は、取扱酒類に対応する卸売免許を持つ事業者や、その酒類を適法に販売できる酒類製造者などです。小売免許しか持たない取引先から飲食用として購入した商品を、そのまま小売商品の補充に使う前提では計画できません。

同じ取引先が必要な卸売・小売の両方に対応している場合は、会社名が同じという理由だけで排除されるものではありません。どの免許・条件で取引するかを確認し、飲食用と酒販用を区別した発注・納品・記帳の仕組みを決めます。

仕入先には、少なくとも次を確認しましょう。

  • 持ち帰り小売用として仕入れる予定の酒類の品目。
  • その商品を酒類販売業者へ販売できる免許と条件。
  • 飲食用と酒販用を区別できる納品書や商品管理の方法。
  • 返品・破損・売場間での取扱変更が生じたときの処理。

なお、飲食店向けの販売でも、相手が店内で提供するために買うのか、酒販店として再販売するために買うのかで取引区分が変わります。「取引相手が飲食店だから全て小売」「法人相手だから全て卸売」とは判断しません。

根拠:解釈通達・第9条第1項関係5・8、国税庁手引4、8〜9頁。通常の一般小売へ移る際の仕入先の違いは、国税庁の期限到来案内の裏面にも説明があります。

飲食用と酒販用をどう分けるか迷ったら、売場・保管・会計の位置と仕入先をお知らせください。店舗の実情に合わせ、事前相談で確認する点と申請資料を整理します。

酒類販売業免許のご相談。売り方に合う免許と申請準備を整理

帳簿と実際の在庫が一致する管理方法を作る

図面だけで場所を分けても、営業中に飲食用と酒販用を自由に取り出せる状態では、区分した管理を説明できません。次のように、入荷から販売までを追える仕組みを用意します。

管理する段階 実務上の準備例
発注・入荷 飲食用か酒販用かを発注時に指定し、納品書と入荷数を確認する
保管 用途別に保管場所を決め、棚や冷蔵設備に用途を表示する
会計・売上 店内提供と持ち帰り販売を商品・部門等で区分し、酒販分の数量と金額を集計する
棚卸し 用途別の現物数と帳簿上の残数を照合する
例外処理 破損、返品、廃棄等の理由と数量を記録する。用途変更は事前に確認した方法で処理する

これは管理方法の例です。特定のPOS製品、独立した銀行口座、特定の色のラベルが全国共通で義務付けられているわけではありません。

酒販用の帳簿には、酒類の品目別・税率適用区分別に、仕入数量・価格・日付・仕入先、販売数量・価格・日付などの所定事項を記録します。小売の販売先住所・氏名等は省略できます。帳簿は販売場ごとに備え付け、帳簿閉鎖後5年間保存します。

忙しい時間に「今日は酒販用のボトルを店内で使い、明日戻しておく」といった運用を予定しないことも大切です。用途変更が想定される場合は、仕入先の免許条件も含めて税務署に相談し、処理方法を決めてから運用しましょう。

根拠:国税庁手引8〜9、12〜13頁、お酒についてのQ&A・その他Q1。

取引先が同じ場合も、その酒類と取引区分に対応する免許・条件を確認します。飲食用と酒販用の間で自由に在庫を振り替える図ではありません。用途変更や返品等は、仕入先の免許条件も含めて事前に確認した方法で処理してください。

飲食用と持ち帰り酒販用を左右2列で分け、発注、入荷、保管、提供又は販売、売上と在庫記録まで用途別に管理する架空の運用図。
図2:仕入れから売上・在庫までの用途別管理例。特定の機器や帳票を必須とするものではありません。画像を押すと原寸で確認できます。

細部の拡大・印刷には、飲食店の酒販区分・管理例PDF(2ページ)をご利用ください。この図はPDFの2ページです。ご自身の申請へそのまま転用する公式様式ではありません。

小分け・食品衛生・申請手続きを整えて販売を始める

小瓶への詰替えと、お客様の容器への量り売りは手続きが異なる

日本酒やワインを少量ずつ買えるようにする場合、販売業免許に加えて、容器への詰め方を確認します。

あらかじめ小瓶等に詰めて商品として販売する場合は、国税庁がいう「詰め替え」に該当します。詰替えを行う場所の所轄税務署長へ、詰替えを行う2日前までに「酒類の詰替え届出書」を提出します。表示方法の届出と、詰替え後の容器に行う食品表示・酒類業組合法上の表示も確認してください。

お客様があらかじめ用意した容器に、希望する酒類を希望量だけ詰めて販売する場合は、国税庁Q&Aの「量り売り」です。販売する酒類の販売業免許があれば、酒税法上の詰替え届出は不要とされています。また、この形の量り売りは、食品表示基準に定める容器包装に入れられた加工食品に当たらないと説明されています。

ただし、ここで不要になるのは、上記の量り売りについての酒税法上の詰替え届出と、食品表示基準上の容器包装への表示です。酒類販売業免許、年齢確認、売場の表示や衛生管理まで不要になるわけではありません。

店が用意した使い捨てカップ、客に容器を販売してから注ぐ方式、配達向けの密閉容器などを、全て同じ「量り売り」として扱うのは避けましょう。誰が容器を用意し、いつ詰め、どこで渡し、どの程度保管するのかを整理して、届出と表示の要否を確認します。

根拠:国税庁「お酒についてのQ&A・詰め替えQ1」、一般手引14頁、食品表示法における酒類の表示のQ&A・問66頁。

カクテルや自家製梅酒は、販売免許だけで判断しない

仕入れたお酒をそのまま小分けにする場合と、お酒に果汁やほかのお酒などを混ぜる場合は、分けて考えます。混和は酒類の製造に該当することがあり、酒類小売業免許を取得しただけで製造までできるわけではありません。

国税庁Q&Aは、消費者の求めに応じて消費の直前に混和する場合などの例外を説明していますが、作り置き、瓶詰め、持ち帰り、配達の計画まで一律に含まれるとは判断できません。商品レシピ、混ぜる時点、保存時間、提供先を示し、製造免許の要否を確認してください。

また、一定の要件と申告の下で、飲食店や旅館が自己の営業場で提供するために梅酒等を混和できる特例があります。この特例で作ったお酒を、お土産として持ち帰り販売することはできません。 店内で提供できる自家製酒が、そのまま小売商品になるとは考えないようにしましょう。

根拠:国税庁「お酒についてのQ&A・旅館等での自家製梅酒の提供」。

食品衛生の確認は、税務署とは別に行う

酒類販売業免許は、食品衛生法上の営業許可・届出の代わりにはなりません。反対に、飲食店営業の許可があっても、酒税法上の販売免許は別に必要です。

食品衛生法には、常温で長期間保存しても衛生上の危害が生じるおそれのない包装食品の販売など、営業届出の対象外となる営業があります。厚生労働省のQ&Aは、該当する包装食品の例に酒精飲料も挙げています。

ただし、全てのお酒、全ての販売方法が届出対象外という意味ではありません。 要冷蔵の商品、開栓後の取扱い、量り売り、小分け、調理品とのセット販売などでは、扱う商品と工程を基に確認します。既存の飲食店営業許可でできる範囲、追加の許可・届出の要否、施設変更の手続きについて、管轄の保健所等に相談してください。

相談時には、商品一覧、容器、詰替えや調理の工程、温度管理、保管期間、販売・配達方法、店舗図面をそろえておくと説明しやすくなります。

地域例・神戸市: 営業許可・届出の相談先は、営業施設を担当する衛生監視事務所と案内されています。他の地域では、その所在地を管轄する保健所等の案内を確認してください。

根拠:厚生労働省「営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設に関するQ&A」問18、神戸市「営業許可制度の再編と営業届出制度の創設」。

申請は、販売計画と区分方法を固めてから進める

持ち帰り販売の開始までは、次の順に準備します。

  1. 販売内容を決める。 申請する個人・法人、商品、店頭販売・配達・通販の範囲、開始希望日を整理します。
  2. 事前相談をする。 販売場所在地の所轄税務署を担当する酒類指導官へ、店舗図面と営業計画を示します。小分け等をする場合は、保健所等にも確認します。
  3. 区分と仕入先を固める。 飲食用・酒販用の場所、発注、会計、記帳、在庫管理を決め、使用権限や仕入先の免許を確認します。
  4. 申請書類を準備する。 販売場・設備・収支・資金・販売管理の計画と、免許要件を確認する資料を整えます。
  5. 税務署へ申請する。 追加資料や補正、必要に応じた面談・現地確認に対応します。
  6. 免許付与と条件を確認して販売を始める。 登録免許税の納付、管理者の選任、表示、帳簿などを整えます。

主な申請資料は、酒類販売業免許申請書・次葉、免許要件誓約書、履歴書、法人の定款、地方税の納税証明書、物件の契約書、財務資料、土地・建物の登記事項証明書などです。法人・個人、既存免許の有無などで必要資料や省略できる添付書類が変わります。

一般小売の申請手数料は不要ですが、免許が付与される場合は免許1件につき登録免許税3万円がかかります。証明書取得費、研修受講料、設備費、専門家に依頼する場合の報酬は別です。

一般手引の標準処理期間は、原則として申請書等を提出した日の翌日から2か月以内です。補正や追加書類の提出待ち期間などは除かれます。また、事前準備の期間を含むものでも、開業日を保証するものでもありません。飲食併設の確認や工事が必要な場合は、その時間も見込んでください。

根拠:国税庁手引3〜9、21頁、販売業免許関係Q3。

開始後は、年齢確認と酒販部門の管理を続ける

免許を取得したら、販売場ごとに酒類販売管理者を選任し、酒類の販売業務を開始する時までに体制を整えます。管理者は、過去3年以内の研修受講などの要件を満たす必要があり、選任・解任時は2週間以内の届出が必要です。選任後も、前回の受講から3年を超えない期間ごとに研修を受けさせる必要があります。食品衛生責任者とは別の制度なので、飲食店側の選任だけで済ませないようにしましょう。

酒類販売管理者の標識と酒類売場の表示、20歳以上であることの確認、従業員への周知も必要です。持ち帰り商品を料理と一緒に会計する場合や、配達する場合も、酒類の年齢確認を忘れない手順を決めます。

仕入れ・売上・在庫の記録に加え、毎年度の酒類の販売数量と年度末在庫について、翌年度4月30日までの報告も必要になります。飲食店の売上全体から後で推測するのではなく、日々の酒販記録から報告できるようにしておきましょう。

根拠:国税庁手引12〜13、16〜19頁。

相談前に用意したいのは、図面と商品の流れ

飲食店の持ち帰り酒販は、「一般小売の免許を取る」という手続きだけでなく、営業中も無理なく区分を続けられるかが大切です。

最初の相談では、店舗の現況図・計画図、販売する酒類の一覧、仕入先、会計と在庫管理の案を用意してください。小分けやカクテルの持ち帰りも考えている場合は、容器や作り方も一緒に整理します。

神戸・兵庫での申請準備や依頼内容を確認したい方は、神戸・兵庫の一般酒類小売業免許申請支援をご覧ください。現在の営業内容と、これから始めたい販売方法を分けて伝えていただくと、必要な確認事項を整理しやすくなります。

本記事は全国共通制度の一般的な解説です。個別の免許条件、店舗構造、取引方法により判断が変わるため、実際に販売を始める前に、所轄税務署等へ具体的な計画をご確認ください。

明るい酒棚と白大理石のカウンターに帳簿とパソコン。免許取得後の管理、管理者・記帳・報告、変更手続も確認と表示した記事表紙。
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酒類販売業免許のご相談。売り方に合う免許と申請準備を整理

 

  • この記事を書いた人

行政書士 小野馨

平成17年行政書士開業・1973年1月生・神戸市出身。兵庫工業高等学校卒業、慶応義塾大学通信教育課中退。富士通株式会社でシステムエンジニアとして2年勤務。自分のやりたい仕事でないと退職。その後、30以上の職種を経験した後、起業家をサポートするため、平成17年2月に行政書士開業。1000社50業種以上に会社設立・許認可など5000以上の行政手続きを代行。