飲食関連許可

お酒を輸入して販売するには|必要な免許・食品等輸入届出・通関・表示を解説

酒類の輸入販売に必要な免許と手続きを解説する記事の表紙

海外で見つけたワインやビール、ウイスキーを日本で販売するには、売り方に合う酒類販売業免許に加え、食品等輸入届出・通関・日本向けの表示を整える必要があります。免許を取るだけで、すぐに輸入して売れるわけではありません。

最初に決めるのは、「自分が輸入するのか」と「誰に、どの方法で売るのか」です。この2点が決まれば、必要な免許と、自分が担当する輸入手続が見えてきます。

こんにちは。神戸のサクセスファン行政書士事務所、行政書士の小野馨です。この記事では、海外で瓶・缶などに詰められたお酒を、そのまま日本で販売する計画を中心に、準備の順番を解説します。国内での製造・混和・詰替えや、輸出は別の手続も必要になるため、ここでは扱いません。制度は全国共通です。

輸入販売の準備は、この3段階で進めます
1 発注前

輸入者と売り方を決める

免許の準備、メーカー資料の収集、検疫所への事前相談。

2 輸入・引取り前

食品届出・通関・ラベルを整える

日本の基準への適合、税金、表示方法届出を確認。ラベルも引取り前に準備。

3 販売開始前

免許と商品・売場を最終照合

免許条件、実際の商品表示、年齢確認、記帳体制をそろえる。

免許申請と商品資料の準備は、並行して進めます。食品届出・通関を終えても、必要な販売免許が整うまでは販売できません。

必要な部分から読みたい方は、売り方別の免許、発注前に集める資料、食品届出・通関、日本語ラベル、販売前チェックリストへ進んでください。

輸入販売の計画に合う免許を、申請前に整理しませんか。

「自社で輸入する/国内で仕入れる」「酒販店へ卸す/消費者や飲食店へ売る」「店頭/通販」の予定をお知らせください。まだ決まっていない点も含めて、酒類販売業免許の準備をご相談いただけます。

まず、自分が輸入するのか、国内で仕入れるのかを決める

仕入れ方自分が進める準備
海外メーカーなどから自分で輸入する販売免許に加え、食品等輸入届出・通関・表示を準備する。
国内の輸入業者から、輸入済みのお酒を仕入れる自分の販売免許と仕入先・商品表示を確かめる。通常、その国内仕入れについて自分が輸入届出や通関をやり直すことはない。
輸入代行・海外直送のサービスを使うサービス名だけで決めず、契約上の売主、輸入手続の担当、販売者を確認する。

「通関を業者に頼む」ことと「その業者から輸入済みの商品を買う」ことは別です。代行を利用するときは、海外との契約・代金の支払い・貨物の引取りを誰が行い、食品等輸入届出や表示について誰が責任を負うのかを、契約書や見積書で整理してください。

関税法上の輸入申告者と、食品衛生法上の輸入者の取扱いを一律に同じものとして判断しないことも大切です。取引の流れが複雑な場合は、税関と検疫所にそれぞれ説明します。厚生労働省の輸入手続案内にも、両制度の取扱いに関する注意が示されています。

国内仕入れだけの方は、次の免許選びを読んだ後、国内仕入れの場合のチェックへ進めます。自社輸入も併用する場合は、商品ごとに仕入経路を分けて管理してください。

輸入したお酒に必要な免許は、販売先と売り方で変わる

「輸入酒だから輸出入酒類卸売業免許」と決まるわけではありません。まず販売先が、再販売する酒販店などなのか、飲用する消費者・飲食店なのかを分けます。

販売計画検討する免許・取扱い
自分で輸入したお酒を、再販売する酒販店や酒類製造者に売る輸出入酒類卸売業免許など、取引に合う卸売免許
他の輸入業者から仕入れたお酒を、酒販店などに卸す扱う酒類の品目に応じた卸売免許。輸出入酒類卸売業免許で当然に扱えるとは限らない。
消費者に店頭で売る・店頭で引き渡す一般酒類小売業免許
2都道府県以上の広い地域の消費者等へ、ネット等で条件を示して注文を受け、通販する通信販売酒類小売業免許
飲食店へ、店内で客に飲んでもらうお酒を売る小売免許。受注・販売地域・引渡し方法に応じて区分を判断する。

酒税法上の卸売・小売は、取引量や「業務用」という呼び名では決まりません。たとえば、輸入ワインを酒販店へ再販売用に納品する場合は卸売、レストランへグラスワインとして店内提供するために納品する場合は小売です。両方を行うなら、両方の販売を認める免許条件が必要です。

参考:国税庁「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達 第9条・第1項関係8」

自社輸入の卸売と、他社輸入品の卸売を分ける

輸出入酒類卸売業免許は、自己が輸入する酒類の卸売を考えるときの区分です。他社が輸入した商品も仕入れて卸すなら、その商品の酒税法上の品目に合う区分まで検討します。

たとえば洋酒卸売業免許は、果実酒・ウイスキー・スピリッツなど、定められた品目を対象とします。「海外のお酒」という意味ではなく、輸入ビールなどまで自動的に扱える免許ではありません。

なお、通達には「自己と密接な関係にある特定の者」が輸入した酒類の取扱いもあります。通常の仕入先を当然に含むと考えず、関係と取引資料を示して税務署に相談してください。国税庁の輸出入酒類卸売業免許の取扱い。

区分別の条件や取引承諾書等は、酒類卸売業免許の種類と申請準備で詳しく解説しています。

通販は販売地域と受渡し方法まで決める

ネットで注文を受けるだけで、すべて通信販売酒類小売業免許になるわけではありません。1つの都道府県内の消費者等だけを対象とする販売や、店頭で注文を受ける・商品を渡す販売は、一般酒類小売業免許の区分です。県境を越えても、販売場の近隣市町村への配達として一般小売に該当する取扱いがあります。

通信販売酒類小売業免許で扱う輸入酒には、品目・数量の制限はありません。国産酒に関する製造者の3,000kL基準を、そのまま海外メーカーに当てはめないでください。ただし、免許の取得要件、年齢確認、表示などが不要になる意味ではありません。

現在の免許で通販を始められるかは、免許通知書の条件を確認します。同じ販売場で売り方を加える場合は、条件緩和等の手続を検討してください。対象酒や申請の詳細は通信販売酒類小売業免許の解説をご覧ください。

参考:国税庁「通信販売酒類小売業免許申請の手引」(令和8年9月改訂)

輸入販売の計画に合う免許を、申請前に整理しませんか。

「自社で輸入する/国内で仕入れる」「酒販店へ卸す/消費者や飲食店へ売る」「店頭/通販」の予定をお知らせください。まだ決まっていない点も含めて、酒類販売業免許の準備をご相談いただけます。

発注前にメーカー資料を集め、免許申請も並行して進める

海外で販売されているお酒でも、そのまま日本の基準に適合するとは限りません。代金を支払ったり、大量に出荷したりする前に、メーカーから商品を特定できる資料を取り寄せ、届出予定の検疫所に相談します。

集める資料・情報何に使うか
製造者・製造工場の名称と所在地、商品名・品番実際に到着する商品と資料が一致するかを確かめる。
原材料表、添加物の名称・使用量等日本で使用できる添加物か、使用基準に適合するかを調べる。
製造工程表原料の処理や醸造・蒸留等の工程を説明する。
アルコール分、容量、本数、発泡性、容器の材質酒税法上の品目、税額、容器・表示の検討に使う。
現在のラベル、商品写真、規格書日本語表示案と照合する。
売買条件、インボイス案、運賃・保険料、出荷予定輸入者、通関書類、資金と日程を整理する。

これは準備する資料の目安です。商品や製造国によって追加資料・検査が必要になることがあります。海外の商品名だけで、日本の酒税法上の品目を確定しないでください。

参考:大阪検疫所「食品等輸入届出手続き」

輸入酒のボトルと原材料・製造工程の資料を照合するイメージ
輸入前の確認イメージです。正式なラベルや申請書類の見本ではありません。

この間に、販売場の所在地を管轄する税務署へ、免許の区分と申請資料を相談します。海外の仕入先、国内の販売先、取扱商品、販売方法を具体化し、場所・資金・取引関係を説明できる資料をそろえてください。輸入事務を担当する人や外部業者との分担も決めておきます。

免許の申請準備・審査・補正と、商品資料の取得・輸送・検査を別々に見積もり、販売開始日に間に合うかを判断します。申請書類や費用・期間は、酒類販売業免許の必要書類・費用・期間をご覧ください。

食品等輸入届出と通関は、別の窓口で進める

食品等輸入届出は検疫所へ。少量・郵便でも販売用なら必要

販売または営業で使うお酒を輸入する場合は、食品等輸入届出が必要です。少量だから、国際郵便だからという理由で省略できません。個人で飲むための輸入と、事業としての輸入販売を混同しないでください。

  • 輸入する貨物を通関する場所を担当する検疫所へ、届出書と関係資料を提出する。
  • 検疫所が内容を審査し、検査が必要かを判断する。
  • 検査が不要、または検査で問題がないと判断された貨物について、食品等輸入届出済証の交付を受ける。

すべてのお酒に同じ検査が必要なわけではありません。原材料・添加物・製造方法などから判断されます。違反が判明すると、国内販売ができず、廃棄や積戻しなどが必要になるため、到着後に初めて成分を調べる進め方は避けましょう。

参考:厚生労働省「食品等輸入手続について」

自分のレストランで店内提供するだけの場合は、酒類販売業免許が不要となる取扱いがあります。ただし、営業用に輸入する食品等輸入届出は必要です。ボトルを持ち帰り用に販売する計画は別に判断します。

参考:税関「酒類の輸入について」

通関書類と税金をそろえ、輸入許可を受ける

税関では、輸入申告に対する審査・必要な検査と、関税等の納付を経て輸入が許可されます。食品衛生法など他法令の手続も必要です。通関業者に依頼する場合は、食品届出・表示の準備状況を共有し、どの書類をいつ渡すかを決めてください。

通関資料には、インボイス、包装明細書、船荷証券(B/L)や航空運送状(AWB)、運賃・保険料が分かる書類などがあります。取引によって必要書類が変わるため、実際の輸送方法に合わせて確認します。

参考:税関「輸入通関手続の概要」、輸入申告の際に必要な書類

税金・費用見積りで押さえる点
関税商品の分類、原産地、EPA等の適用条件によって扱いが変わる。
酒税酒税法上の品目、アルコール分、数量等に基づいて計算する。
輸入時の消費税等関税・酒税とは別に検討する。消費税の免税事業者でも、輸入時の納税は必要。
その他の実費国際運賃、保険、通関、検査、保管、日本語ラベル、国内配送等を含める。

関税がゼロになる商品でも、酒税や輸入時の消費税までゼロになるわけではありません。仕入価格だけで販売価格を決めず、税金と到着後の作業費まで含めて採算を計算してください。

参考:国税庁「輸入取引」

日本語ラベルは、保税地域から引き取る前に整える

ラベルは、販売直前に店で貼ればよいとは限りません。販売用の輸入酒は、保税地域から引き取る時までに必要な表示を行い、表示方法について、保管場所を管轄する税関に届け出ます。

日本語表示案を早めに作り、誰が、どこで、いつ貼るかを通関業者・保税倉庫等と調整してください。食品等輸入届出や輸入申告を済ませただけで、表示の手続まで完了したことにはなりません。

表示の確認軸主な確認内容
酒類としての表示輸入者の氏名・名称と住所、引取先、容量、酒類の品目、アルコール分など。品目に応じた事項も確認する。
食品としての表示名称、添加物、内容量、食品関連事業者の氏名・名称と住所など、商品に適用される事項を確認する。
商品別・容器別の表示輸入ワインの原産国名、20歳未満の飲酒防止表示、容器包装に関する表示などを確認する。

参考:東京税関「輸入酒類の表示及び表示方法届出書について」

一般食品の表示項目を、そのまま酒類に当てはめない

食品表示基準では、酒類の原材料名・アレルゲン・原産国名は義務表示の対象外です。ただし、別の表示基準で必要になる事項があります。たとえば、輸入ワインには原産国名の表示が必要です。「酒類は原産国を書かなくてよい」と一律に判断しないでください。

栄養成分表示も省略できる扱いがありますが、栄養成分や熱量に関する表示をする場合は省略できません。商品ごとの表示基準と、ラベルに載せたい文言を合わせて検討します。

参考:国税庁「食品表示法における酒類の表示のQ&A」問8・25・29、果実酒等の製法品質表示基準

最後に、原材料表・届出資料・インボイス・ラベル案の間で、商品名、容量、アルコール分、事業者名が食い違っていないか照合します。海外ラベルの日本語訳を作るだけでなく、日本で必要な項目がそろっているかを点検してください。

販売開始前に、免許・商品・販売体制をまとめて点検する

販売開始日は、荷物の到着日だけでは決められません。次の項目について「誰が確認したか」「何が未完了か」を記録し、必要な手続が整ってから販売を始めます。

  • 販売場と販売方法に合う免許があり、商品が免許条件の範囲に入っている。
  • 自社輸入分は、食品等輸入届出と通関の手続を終えている。
  • 必要な表示方法届出を行い、実際のボトル・缶の表示が確認済みの内容と一致している。
  • 小売では、酒類販売管理者・標識・年齢確認等の販売体制が整っている。
  • 仕入れ・輸入・販売の数量を記録し、商品や仕入経路を追えるようにしている。
  • 税金、検査、保管、ラベル貼付などの費用を含めた価格・資金計画になっている。

管理者や記帳・報告の実務は、酒類販売業免許を取った後の管理と必要な対応で確認できます。

国内の輸入業者から仕入れる場合のチェック

国内仕入れの場合も、自分の売り方に合う免許は必要です。仕入先の免許と取引条件を確かめ、納品された商品の日本語表示・輸入者表示を確認します。単なる国内販売者である自社を、輸入者として表示しないでください。

自社輸入品と国内仕入品を混ぜて扱うなら、同じ銘柄でも仕入先・ロット・帳票を分けて追えるようにしておくと、免許条件や表示の照合に役立ちます。

相談先を分け、まず販売計画を1枚にまとめる

相談したいこと主な相談先
必要な販売免許、免許条件、申請資料販売場の所轄税務署・担当酒類指導官
原材料・添加物、日本への輸入可否、食品届出届出予定の検疫所
輸入申告、関税、引取り、表示方法届出税関。通関実務は依頼する通関業者とも調整する。
食品表示の具体的な書き方食品表示の担当窓口。酒類の表示基準は国税庁等の案内も確認する。

今日から準備を始めるなら、まず次の6点をメモにしてください。すべて決まるまで相談を待つ必要はありません。未定の項目が分かるだけでも、次に聞くべき相手が絞れます。

  • 輸入する人・会社と、販売する人・会社
  • お酒の種類、商品名、製造国、メーカー
  • 海外から自社輸入するのか、国内で仕入れるのか
  • 販売先と用途(酒販店の再販売用、飲食店の店内提供用、一般消費者等)
  • 販売場、通販の対象地域、受注・引渡し方法
  • 輸入・販売を始めたい時期と、現在の免許の有無

当事務所では、酒類販売業免許に関する販売計画の整理と申請準備をご相談いただけます。食品届出・通関・表示については、それぞれの担当窓口と確認すべき事項を分けて進めましょう。

輸入販売の計画に合う免許を、申請前に整理しませんか。

上の6点を、分かる範囲でお知らせください。現在の免許がある方は、免許通知書に書かれた条件もお伝えいただくと、追加する販売方法との違いを整理しやすくなります。

酒類販売業免許のご相談。売り方に合う免許と申請準備を整理

本記事は、国税庁の令和8年9月改訂の免許申請手引、令和8年10月改訂の酒類表示Q&A、税関・厚生労働省等の公的資料を確認して作成しています。実際の手続は、個別の商品・取引方法・免許条件に応じて、最新の案内と担当窓口で確認してください。

  • この記事を書いた人

行政書士 小野馨

平成17年行政書士開業・1973年1月生・神戸市出身。兵庫工業高等学校卒業、慶応義塾大学通信教育課中退。富士通株式会社でシステムエンジニアとして2年勤務。自分のやりたい仕事でないと退職。その後、30以上の職種を経験した後、起業家をサポートするため、平成17年2月に行政書士開業。1000社50業種以上に会社設立・許認可など5000以上の行政手続きを代行。