飲食関連許可

酒類販売業免許を取った後の管理と必要な対応|管理者・記帳・報告・変更手続

酒棚と大理石カウンターの帳簿・パソコン。酒類販売業免許、取得後の管理、管理者・記帳・報告を中央3行で表示。

酒類販売業免許を取得した後は、販売開始前の準備、営業中の記録、毎年の報告、事業を変更するときの手続を分けて管理することが大切です。 免許通知書を受け取っても、酒類販売管理者の選任や表示、年齢確認の準備が終わっていなければ、販売体制は整いません。

こんにちは! 神戸のサクセスファン行政書士事務所、行政書士の小野馨です。

「管理者の研修は、いつ受け直せばよいのか」「毎年4月に何を報告するのか」「店を移すときは住所変更だけでよいのか」。開業後は、お客様への対応や仕入れに追われ、こうした手続の確認が後回しになりやすいものです。

この記事では、一般酒類小売業免許・通信販売酒類小売業免許を受けた方に向けて、何を、誰が、いつ行うかを全国共通の制度に沿って整理します。卸売だけを行う事業者には適用関係が異なる事項があり、管理者の選任・標識等は酒類の小売販売場についての説明です。

通常の一般小売・通信販売の免許について、毎年免許を更新する手続があるわけではありません。毎年度の報告と、管理者の定期研修は別の対応です。催事などの期限付免許や個別の免許条件は、手元の通知書で確認してください。

免許の種類や販売できる相手から確認したい方は、酒類販売業免許の総合ガイドをご覧ください。この記事では、取得後の運営に焦点を絞って解説します。

免許取得後の管理や、店舗・販売方法の変更で必要な手続が分からない方へ。現在の免許通知書と変更計画をもとに、確認する窓口や必要資料、申請・届出の準備をご相談いただけます。

酒類販売業免許のご相談。売り方に合う免許と申請準備を整理

酒類販売開始前に確認する管理者と標識・表示

酒類販売業免許の取得後:4つの時期で管理
販売開始前

管理者の選任、標識・表示、年齢確認と帳簿の準備。

営業中・担当交代時

年齢確認と受払記帳を続け、管理者の届出・研修期限を管理。

毎年の報告

販売数量と飲酒防止等の実施状況を、それぞれの対象期間・時点で準備。

営業を変える前

改装・移転・法人化・通販追加を区別し、必要な手続を確認。

事業主・管理者・経理・EC担当の分担は、次の表で具体化します。

免許通知書と担当者を最初に確認する

販売を始める前に、免許通知書に記載された免許者、販売場、販売方法、販売できる酒類の範囲・条件を確認します。「酒類販売業免許を持っている」という事実だけで、別の店舗や新しい販売方法まで認められるわけではありません。

そのうえで、次のように担当と確認資料を決めておきましょう。表の担当は社内の分担例です。管理者や経理担当に作業を任せても、酒類小売業者に課される選任・受講・届出等の義務がなくなるわけではありません。

確認すること 主な実務担当の例 完了を確かめる資料・状態
免許条件と実際の販売方法を一致させる 事業主・法人の責任者 免許通知書と販売計画を照合済み
管理者を選任し、届出期限を管理する 事業主・法人の責任者 選任日、研修受講日、届出控えを確認できる
標識・売場表示を整える 管理者・店舗担当 必要事項、掲示場所、文字サイズを確認済み
通販の表示・注文時の年齢確認を整える 管理者・EC担当 商品紹介、注文画面、納品書等を実画面で確認済み
仕入れ・販売・在庫を記録する 経理・在庫担当 品目等の区分と数量を集計できる帳簿を準備済み
年次報告と次回研修を予定に入れる 事業主・各担当 担当者、期限、提出確認方法を共有済み

こうした担当表を作ること自体が、法令で一律に求められているわけではありません。法定の対応を確実に行うための運営方法としてご活用ください。免許条件の基本は、酒税法第9条・第11条に定められています。

酒類販売管理者は販売開始までに選任する

酒類小売業者は、販売場ごとに、酒類の販売業務を開始するまでに酒類販売管理者を選任します。選任できるのは、その販売場で酒類の販売業務に従事し、過去3年以内に酒類販売管理研修を受けている人のうち、所定の要件を満たす人です。

研修を受けていることに加え、次の点も確認します。

  • 未成年者など、法律上選任できない人に当たらないこと
  • 引き続き6か月以上継続して雇用される予定であることなど、雇用に関する要件を満たすこと
  • 他の販売場の酒類販売管理者を兼ねていないこと

事業主本人や法人の役員も、その販売場で酒類販売業務に従事し、要件を満たす場合には自ら管理者になることができます。研修は免許取得前でも受講できますので、開業日から逆算して準備してください。

管理者は、事業主への助言や従業員への指導を行う立場です。資格を持つ人の名前を借りるだけの体制にせず、年齢確認、陳列、商品管理等について、現場で指導できる人を選ぶことが大切です。選任要件の詳細は、国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」16〜17頁をご確認ください。

選任・解任の届出は2週間以内、研修は前回受講日から管理する

管理者を選任または解任した場合は、その日から2週間以内に「酒類販売管理者選任(解任)届出書」を販売場所在地の所轄税務署へ提出します。「選任する期限」と「選任後の届出期限」を混同しないようにしましょう。販売開始後2週間は管理者を決めなくてもよい、という制度ではありません。退職などで管理者が欠けたときも、速やかに新しい管理者を選任します。国税庁の届出手続

選任後は、管理者に前回の受講から3年を超えない期間ごとに研修を受講させます。起算日は免許取得日や選任日ではなく、前回の研修受講日です。

たとえば、2026年5月1日に受講した場合、次回の受講期限は2029年4月30日です。選任した日が後であっても、その日から新たに3年を数えることはできません。国税庁も、標識に記載する期限を「研修受講年月日の3年後の前日」と案内しています。国税庁「酒類の販売管理」

研修日程は変更されることがあり、受講には事前申込みが必要です。期限直前に探すのではなく、国税庁の研修実施予定案内から実施団体・開催日を確認してください。地域例として、兵庫・大阪・京都など関西6府県は大阪国税局の案内に掲載されています。 受講期限の考え方は全国共通です。

管理者標識Aと、陳列場所の飲酒防止表示Bは別に整える

売場で混同しやすいのが、管理者の情報を示す標識と、酒類の陳列場所で必要な表示です。ここでは便宜上、前者をA、後者をBと呼びます。

種類 表示する内容 場所・大きさの考え方
A:酒類販売管理者の標識 販売場の名称・所在地、管理者の氏名、研修受講年月日、次回研修の受講期限、研修実施団体名 販売場ごとに公衆の見やすい場所。縦横や文字の大きさの定めはないが、見やすく掲示する
B:酒類の陳列場所における表示 酒類の売場・陳列場所である旨と、20歳以上と確認できない場合には販売しない旨 酒類の陳列場所の見やすい箇所に明瞭に表示。100ポイントの活字以上の大きさの日本文字を使用する

Aは管理者を選任した後、速やかに掲示します。国税庁が用意するひな型を利用し、管理者が交代した場合や研修を受け直した場合は、掲示内容も現在の情報に合わせてください。通販を行う場合は、カタログやサイト等でも見やすい場所に管理者情報を表示します。国税庁「標識の掲示」、標識の大きさに関するパンフレット11頁

Bには、たとえば「酒類売場」と「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しません」という趣旨の表示を用います。「お酒は20歳になってから」という注意書きだけで、売場である旨と年齢確認に関する表示の両方が済んだと考えないようにしてください。

なお、酒類自動販売機には別の表示基準があります。管理者標識や陳列場所の表示を貼るだけで済ませず、導入する設備に応じて確認してください。

通販は広告・注文画面・納品書等をそれぞれ点検する

通信販売では、管理者情報の表示に加え、飲酒防止に関する表示を次の3段階で確認します。

対象 必要な表示・準備 運営上の確認例
広告・カタログ・サイト等 20歳未満の飲酒は法律で禁止されている旨、または20歳未満には酒類を販売しない旨 商品ページや利用している販売媒体で表示が欠けていないか
購入申込書・注文画面 申込者の年齢記載欄と、その近くに上記の飲酒禁止または販売しない旨 スマートフォンからの注文でも、入力欄と注意表示を確認できるか
納品書等 20歳未満の飲酒は法律で禁止されている旨 紙の納品書だけでなく、インターネット等の通知を使う運用にも反映されているか

これらは明瞭に表示し、統一のとれた日本文字を使用します。文字の大きさは、紙の広告・申込書・納品書等では10ポイントの活字以上、インターネット等では酒類の価格表示に使用する文字以上とします。店頭の100ポイント基準をそのまま通販表示に当てはめるものではありません。国税庁「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」第7・8項

表示を載せることと、申込者が20歳未満でないと確認できる仕組みを設けることは、別々に確認します。ECサービスを変えたときや購入画面を改修したときは、引き継がれなかった入力欄・表示がないか、実際の注文経路で点検してください。通販の対象酒や免許条件も含めた説明は、通信販売酒類小売業免許の案内にまとめています。

営業中に続ける年齢確認・記帳と毎年の報告

年齢確認は現場の対応まで決めておく

成年年齢が18歳でも、飲酒の年齢制限は20歳です。販売業者には、20歳未満の飲酒防止のため、年齢確認その他の必要な措置を講じる義務があります。20歳未満の人が飲むことを知りながら酒類を販売することも禁止されています。国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」19頁

実務では、管理者と従業員の間で、次の対応を共有しておくと判断がそろいます。

  • 年齢の確認が必要な場面で、どのように確認をお願いするか
  • 年齢を確認できない場合に販売を止め、誰へ相談するか
  • 通販で年齢入力に不備がある注文を、出荷前に誰が確認するか
  • 新人や短時間勤務の従業員に、誰が販売方法を説明するか

これらを手順書にすることは運営上の提案ですが、実際の年齢確認を行うことは必要です。注意書きや確認ボタンを設けただけで、現場の対応を不要にしないようにしましょう。

夜間販売や、管理者が常態として長時間不在となる場合などには、管理者に代わる責任者を必要な人数配置するよう国税当局から指導されています。これは、別の管理者を選任・届出する手続と同じものではありません。営業時間や売場の広さ・配置に応じて体制を確認します。国税庁「酒類販売管理研修モデルテキスト」第1章8頁

受払帳は品目別・税率適用区分別に記録する

酒類の仕入れと販売は、品目別・税率の適用区分別に、所定の事項を帳簿へ記録します。売上金額の合計だけでは、酒類の販売数量や在庫数量を確認できません。

区分 基本となる記録事項
仕入れ 仕入数量、仕入価格、仕入年月日、仕入先の住所・氏名または名称
販売 販売数量、販売価格、販売年月日、販売先の住所・氏名または名称。小売の販売先情報などには省略できる取扱いがある
数量の照合に使う補助記録 実地棚卸し、返品、破損、販売場間の移動等。通常の仕入れ・販売と区別して、残高の理由を説明できるようにする

帳簿の決まった様式はありませんが、必要な項目を確認できることが前提です。商品名だけでなく、品目、容器の容量、本数等から数量を集計できるようにしておくと、年度末の報告につながります。補助記録の設け方は実務上の提案です。

小売では販売先の住所・氏名等を省略できる取扱いがあり、価格等を記載した伝票の保存と帳簿への記載を組み合わせる方法もあります。顧客情報を一律に集めるのではなく、実際の取引区分と採用する記帳方法に合わせて確認してください。国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」12〜13頁、研修モデルテキスト第2章25頁

帳簿は閉鎖後5年間保存し、一括記帳の条件を守る

酒類に関する帳簿は、販売場ごとに常時備え付け、帳簿閉鎖後5年間保存します。「開店から5年」「個々の入力日から5年」といった数え方ではありません。帳簿と、関連する伝票・集計資料を対応させておきましょう。

また、仕入れはその都度記帳します。小売の販売数量・販売年月日を、3か月を超えない期間の合計数量で一括記帳する取扱いを利用する場合は、少なくとも次の条件を満たす必要があります。

  1. 仕入れた酒類の全部について、必要な仕入事項を記載した伝票をその都度交付してもらい、5年以上保存する。
  2. 3か月を超えない月の月中に実地棚卸しを行い、会計年度の最終月は月末に実施する。

「3か月ごとに入力すればよい」とだけ理解して、仕入伝票や棚卸しを省略することはできません。この取扱いは卸売したものには適用されません。国税庁「酒類販売管理研修モデルテキスト」第2章25〜26頁

なお、5年という説明はここで扱う酒税関係の帳簿についてです。法人税・所得税・消費税等で別の保存期間や保存方法が必要になる資料もあるため、「5年経過したらすべて廃棄できる」と判断しないでください。

帳簿と報告の準備や、管理者交代に伴う届出で迷ったら、現在の記録と担当体制をお知らせください。酒類販売業の手続として確認すべき点と、ご依頼いただく業務の範囲を整理します。

酒類販売業免許のご相談。売り方に合う免許と申請準備を整理

毎年4月は数量報告と実施状況報告を分けて準備する

国税庁は、酒類販売数量等の報告と、飲酒防止等の実施状況の報告について、毎年4月30日までの提出を案内しています。同じ期限でも、報告対象の期間・時点は異なります。

報告書 何を報告するか 対象期間・時点 提出期限・提出先
酒類の販売数量等報告書 酒類の品目別販売数量、年度末在庫数量等 毎年4月1日〜翌年3月31日の販売分と、3月31日の在庫 翌年度の4月30日まで。販売場所在地の所轄税務署
「二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準」の実施状況等報告書 表示、管理者、研修、年齢確認等の実施状況 毎年4月1日現在 原則として、その年の4月30日まで。販売場所在地の所轄税務署

期限が土日・休日に当たる場合は、税務署・国税庁の当該年の案内に従って確認します。数量報告は売上金額の確定申告ではなく、酒類の数量等についての報告です。自社の決算月が12月や9月でも、報告期間をその決算期に置き換えません。国税庁の販売数量報告等の案内、一般酒類小売業免許申請の手引13・19頁

たとえば2026年度分であれば、数量報告は2026年4月1日〜2027年3月31日の販売数量等を、2027年4月30日までに提出します。実施状況報告は2027年4月1日現在の状況を確認します。

数量報告では、瓶や缶の本数をそのまま転記しないように注意してください。記載要領では、原則としてリットル単位とし、単位未満は四捨五入します。720mL瓶を10本販売したなら数量は7.2Lです。品目別等に集計したうえで、報告書の記載要領に従って処理します。返品数量の控除や、報告済み蔵置所の在庫を含める取扱いも確認してください。国税庁「酒類の販売数量等報告書の記載要領」

実績が少ない、または販売を休止している場合も、自己判断で報告対象から外さず、免許・休止申告の状況に応じた記載方法を確認しましょう。e-Taxで提出した場合は、送信しただけで終わらせず、受信通知で提出事績を確認しておくと安心です。

法定期限と、お店独自の点検日を分けて管理する

法令や国税庁の案内に基づく期限と、お店が決める確認日を同じ意味で扱わないことも大切です。

時期 対応 位置付け
選任・解任から2週間以内 管理者の選任・解任届 法定の届出期限
前回研修から3年を超えない期間ごと 管理者の研修受講 法定の定期対応
毎年度の4月30日まで 販売数量等・飲酒防止等実施状況の報告 国税庁が案内する毎年の報告期限
例:毎月末 記帳の未処理、在庫差、表示の破損・情報の古さを確認 お店で設定する推奨点検日。全国一律の月次点検義務ではない
例:研修期限の半年前 受講予定の確保と担当者の確認 受講漏れを防ぐための推奨準備日

月次点検を行う場合でも、日常の年齢確認や、その都度必要な記帳が月末まで不要になるわけではありません。年次報告の担当者が資料の所在を把握できるよう、管理者・経理・店舗担当で記録を共有しましょう。

改装・移転・法人化・販売方法の変更時に必要な手続

変更内容に応じて、申請・申告・届出を使い分ける

営業内容を変える場合は、「変更届を1枚出せばよい」とまとめず、何が変わるかを整理します。許可や免許条件の変更が必要なものは、書類を提出しただけで新しい営業を始められるわけではありません。

変更・出来事 確認する主な手続 時期の考え方
販売場を別の場所に移す 酒類販売場移転許可申請 あらかじめ申請し、移転先での販売前に許可を受ける
氏名・法人名称、住所、販売場名称等の異動 異動申告書 事由発生後、直ちに。販売場所在地の呼称変更と実際の移転は区別する
酒類販売業を休止・再開する 酒類販売業休止・開始(異動)申告書 休止・再開後、遅滞なく
販売場とは別に保管専用の倉庫を設ける・廃止する 酒類蔵置所設置・廃止報告書 あらかじめ
管理者を交代する 酒類販売管理者選任(解任)届出書 選任・解任から2週間以内。後任の要件・標識も確認する
個人事業を法人化する、法人の合併・会社分割を行う 手引では、酒類販売業免許申請と旧免許の取消申請を案内 あらかじめ。事業の承継方法と審査期間を踏まえて確認する
一般小売の同じ販売場で広域の通販を追加する 酒類販売業免許の条件緩和申出 新たな販売方法を始める前に、必要な条件緩和を受ける
酒類販売業を廃止する 酒類販売業免許の取消申請 廃止しようとするとき

移転申請は、移転前の販売場を所轄する税務署長を経由し、移転先の販売場を所轄する税務署長に行います。別の住所へ移ることを、名称変更や区画整理による地番の呼称変更と同じ異動申告だけで済ませないようにしてください。国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」13〜15頁

個人事業の全部の譲渡や相続には、酒税法第19条の申告・みなし免許の制度があります。法人化、合併、事業譲渡を一律に「名義を書き換えるだけ」と説明することも、一律に同じ新規申請と扱うことも適切ではありません。実際の当事者・契約内容・承継方法を示し、手続を確認してください。酒税法第19条

酒棚と梱包された酒瓶、図面と鍵。中央に酒類販売場の、移転手続き、申請書類・営業の切り替えを3行で表示した表紙。
酒類販売場の移転手続き|申請書類と営業の切替

酒類販売場を移転する際の事前許可、提出先、必要書類、処理期間と旧店・新店の営業切替を解説。住所変更、店舗追加、倉庫変更との違いも整理します。

店内改装は、販売場の範囲と営業休止の有無を確認する

改装という言葉だけでは、必要な手続は決まりません。陳列棚を動かすだけなのか、販売場の区画を広げるのか、別の建物・場所へ移るのか、改装中に販売業を休止するのかを分けて考えます。

国税庁の研修モデルテキストには、同一の建物内・施設内で販売場を異動する場合で、酒類小売業者が販売場を確実に管理しているときは、申告を省略できる取扱いも示されています。したがって、軽微な配置変更を含むすべての改装に、一律の「改装許可」が必要とはいえません。研修モデルテキスト第2章27頁

一方、次のような変更は、工事や契約を進める前に、現在と変更後の図面を用意して所轄税務署の酒類指導官へ相談しましょう。

  • 飲食スペースと物販スペースの境界・用途を変える
  • 隣の区画や別フロアまで販売場を広げる
  • 受注業務を別の事務所へ移す
  • 別の倉庫を設け、そこで商品の保管や引渡しを行う

この事前相談は、手続の要否を確認するための実務上の勧めです。変更の内容によって、移転許可、異動申告、休止・再開申告、蔵置所の報告等の確認が必要になります。保管用の蔵置所について報告しても、その場所で受注などの販売契約締結を行える免許まで得たことにはなりません。

地域例:神戸市内の酒販店で、隣の区画に売場を広げる場合も、「同じ住所だから手続不要」とは判断せず、免許を受けた販売場の範囲と改装後の区画を照合します。地域固有の追加要件を示す例ではなく、全国共通の制度を確認するための例です。

通販追加・新商品の取扱いは、免許条件を先に確かめる

店舗で扱っている商品を、そのまま全国向けECサイトに掲載してよいとは限りません。一般酒類小売業免許に通信販売を除く旨の条件がある販売場で、2都道府県以上の広い地域を対象とする通信販売を追加する場合は、条件緩和の手続を確認します。

反対に、通信販売酒類小売業免許だけで営業している事業者が、店頭で注文を受けたり、店頭で商品を引き渡したりする計画には、一般酒類小売業免許の確認が必要です。「ネット経由の注文だから今の免許でよい」と判断しないようにしましょう。国税庁「通信販売酒類小売業免許申請の手引」4頁

新しい銘柄や仕入先を追加するときにも、免許条件と、通販対象となる国産酒の範囲・証明資料等を確認します。また、別の販売場を新設する計画は、既存販売場の条件緩和とは分けて検討します。免許区分の詳しい比較は、総合ガイドをお役立てください。

なお、仕入れた酒類をあらかじめ別容器に小分けして陳列販売する「詰替え」には、原則として2日前までの届出など、別の確認事項があります。混和や製造に関わる行為も、販売免許を取得したことだけで認められるわけではありません。商品の加工や詰替えを始める場合は、その方法を具体的に説明して確認してください。国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」14頁

明るい大理石の酒販店を背景に、中央の白と黄色の文字で酒類販売業免許、条件緩和の手続と示す表紙。文字の周囲だけを柔らかな紺色で縁取っている。
酒類販売業免許の条件緩和(解除)|通販・卸売追加の手続と登録免許税

「酒販店のネットショップを全国向けに広げたい」「酒屋さんへの卸売も始めたい」「いまの免許で扱えるお酒を増やしたい」。すでに酒類販売業免許を持つ方が事業を広げるときは、現在の免許条件と、新しく行う取引を ...

変更の相談前に、現在と変更後の資料をそろえる

販売場や運営方法を変えるときは、次の資料をまとめておくと、確認すべき内容が伝わりやすくなります。

  • 現在の免許通知書と、過去の条件緩和・移転等の通知
  • 現在と変更後の販売場の図面、所在地、契約関係の資料
  • 誰が、誰に、どの酒類を、どの方法で販売するかの説明
  • 営業を止める期間、新しい運営を始めたい日
  • 管理者の選任状況・研修受講日と、帳簿・報告の管理状況

免許取得後の管理では、期限を覚えるだけでなく、担当者が変わっても同じ対応を続けられることが重要です。まずは免許条件、管理者、標識、記帳、毎年の報告の5点を確認し、変更計画がある場合は、その実施前に必要な手続を整理してください。

神戸・兵庫で店舗の開設・移転や一般小売の申請準備を検討されている方は、神戸の一般酒類小売業免許の申請案内をご覧ください。全国向けのネット販売を加える計画は、通信販売酒類小売業免許の案内で販売方法と対象酒の確認事項をご紹介しています。

法令・公的資料の確認について

この記事は、国税庁「一般酒類小売業免許申請の手引」「通信販売酒類小売業免許申請の手引」の令和8年9月改訂版、令和8年7月の酒類販売管理研修モデルテキスト、国税庁の販売管理・表示基準・報告手続案内、関係法令を確認して作成しています。個別の免許条件や変更内容によって手続は異なるため、実際の申請・届出は最新の様式と所轄税務署の案内で確認してください。

酒類販売業免許に関する手続について、無料で相談できます。現在の免許通知書、変える予定の営業内容、開始希望日をお知らせください。役所への事前相談、資料整理、申請書類の作成・提出や補正対応について、必要な準備を一緒に確認します。

酒類販売業免許のご相談。売り方に合う免許と申請準備を整理

 

  • この記事を書いた人

行政書士 小野馨

平成17年行政書士開業・1973年1月生・神戸市出身。兵庫工業高等学校卒業、慶応義塾大学通信教育課中退。富士通株式会社でシステムエンジニアとして2年勤務。自分のやりたい仕事でないと退職。その後、30以上の職種を経験した後、起業家をサポートするため、平成17年2月に行政書士開業。1000社50業種以上に会社設立・許認可など5000以上の行政手続きを代行。