警察許可

風俗営業許可の人的要件・欠格事由|申請者・法人役員・管理者の確認

大理石の机に置かれた書類と確認用チェックリスト。風俗営業許可の人的要件・欠格事由、申請者・法人役員・管理者の確認

「昔、罰金を払ったことがある」「法人の代表者以外も調べる必要があるのか」「管理者には誰を選べるのか」。風俗営業の許可を準備するときは、こうした人に関する条件も確かめます。

過去の事情の名前だけで、許可を受けられるかは決まりません。 刑罰なら罪と刑の種類・執行状況、破産なら復権の有無、法人なら役員と関係法人の範囲を分けて見ます。申請者・法人役員・管理者では、適用される欠格事由も同じではありません。

この記事では、風俗営業1〜5号に共通する人的要件と、資料を使った確認の進め方を説明します。店舗の場所や設備を決める前に、誰が営業し、誰が管理するかも一緒に整理しておきましょう。

まず、申請者・法人役員・管理者の確認対象を分ける

風俗営業1〜5号の人的要件。個人申請者、法人、管理者を分け、対象者・事情と日付・資料と法令・不明点の順に確認する解説図

欠格事由は、該当すると許可を受けられない法律上の条件です。風営法第4条第1項に定められた人的な不許可事由は、接待を伴う1号営業だけでなく、同法の風俗営業1〜5号に共通します。

最初に、次の3つを分けてください。

対象 誰について調べるか
個人で申請する人 営業者となる本人の状態、刑罰や許可処分の経緯など
法人で申請する場合 法人自身、法令上の役員、密接な関係がある法人、事業に支配的な影響を与える関係
管理者 営業所の業務を実際に統括管理する人。申請者の条件とは別に、法第24条の条件を見る

個人申請者が自分で管理者になる予定でも、「営業者としての条件」と「管理者としての条件」をそれぞれ確かめます。法人では、代表者だけが問題なければ足りるわけではありません。

この記事で扱うのは1〜5号の許可です。特定遊興飲食店営業には別の許可制度と準用・読替えがあり、性風俗関連特殊営業や深夜酒類提供飲食店営業にも、この一覧をそのまま一律に当てはめることはできません。営業区分が決まっていない方は、風営法の許可・届出ガイドから確認してください。

根拠:風営法第2条・第3条・第4条・第24条。

欠格事由は、現在の状態と過去の処分・期間で判断する

欠格事由を確認するときは、今の状態を見る条件と、過去に受けた刑罰・許可処分や、その後の経過期間を見る条件を分けると整理しやすくなります。たとえば破産では復権の有無、刑罰では罪と刑の種類・執行状況、許可取消しでは処分の日付などを確認します。「破産した」「罰金を払った」という言葉だけで結論を出さず、以下の項目ごとに事情と資料を照合してください。

破産、暴力的不法行為等、中毒・心身の状態

現在の状態を確認するために、相談用の書類と計算機を並べた机のイメージ

個人の申請者については、次のような条件があります。

  • 破産:破産手続開始の決定を受け、復権していないこと。単に「過去に破産したことがあるか」だけで判断しません。
  • 暴力的不法行為等:集団的・常習的に、規則で定める暴力的不法行為等を行うおそれがあると認める相当な理由があること。
  • 中毒:アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤の中毒者であること。
  • 心身の故障:精神機能の障害により、業務を適正に実施するために必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えないという、規則の条件に該当すること。病名や障害の存在だけで一律に決まるものではありません。

また、暴力的不法行為等の欠格事由に該当する人が、出資・融資・取引などを通じて事業に支配的な影響力を持つ場合も対象です。本人の名前だけでなく、実際の経営関係にも目を向ける必要があります。

刑罰は、罪名・刑の種類・執行状況の順に見る

日付を整理するための手帳と資料のイメージ

刑罰に関する条件は、大きく次の2つです。

  1. 1年以上の拘禁刑に処せられた場合。
  2. 法第4条第1項第2号に列挙された特定の罪について、1年未満の拘禁刑または罰金に処せられた場合。

2つ目は、すべての罰金を対象にする規定ではありません。風営法違反や、指定された刑法・売春防止法等の罪が対象ですが、似た犯罪名だけで決めず、判決等に記載された根拠条文まで照合します。

対象となる刑について、刑の執行が終わった日、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない人は、欠格事由に該当します。5年を数え始める日は、判決日ではありません。

警察庁の解釈運用基準では、刑の言渡しの裁判が確定した後、まだ執行されていない場合や執行中の場合も対象としています。執行猶予中も含まれます。「逮捕された」「前科がある」という言葉だけでは、罪・刑・確定・執行のどの段階なのか分からないため、結論を出せません。

全部執行猶予が終わった場合は、一律にさらに5年待つわけではない

期間の経過と別の確認事項を表す砂時計と未記入のチェックリスト

全部執行猶予が取り消されずに期間を経過し、刑法第27条によって刑の言渡しの効力が失われる場合は、その刑を理由とする法第4条第1項第2号には該当しません。

したがって、「執行猶予の期間が終わってから、必ずさらに5年必要」という説明は正確ではありません。ただし、ほかの欠格事由までなくなるわけではなく、この条件だけで許可が確実になるものでもありません。

一部執行猶予、猶予の取消し、複数の刑などは、この説明だけで判断しないでください。罪名と根拠条文、刑の種類・長さ、裁判の確定日、執行終了等の日、執行猶予の内容を資料でそろえて、どの条件に該当するかを確かめます。過去の懲役・禁錮の判決についても、現在の用語に置き換えるだけで処理しないようにします。

根拠:風営法第4条第1項第2号、警察庁の解釈運用基準・第12の7(冊子28〜29頁)、刑法第27条。

許可取消し、返納・合併・分割、未成年者にも条件がある

法人の履歴や処分記録を整理する書類ファイルのイメージ

風営法第26条第1項による許可取消しから5年を経過していない場合も、欠格事由に該当します。取消しを受けたのが法人の場合は、取消処分の聴聞公示日前60日以内にその法人の役員だった人も、取消日から5年未経過であれば対象に含まれます。

取消処分の聴聞公示から処分等までの間、または立入検査から法定の聴聞決定予定日までの間の許可証返納にも規定があります。その期間に法人が合併で消滅した場合や、営業を分割して承継させた場合等についても、法人・役員と5年間の制限を定めています。

こうした返納・合併・分割には、廃止等に相当な理由がある場合を除く規定もあります。単に「廃業した」「以前の会社を離れた」という事情だけで決めず、通知・処分・返納の日付、法人の履歴、役員の在任時期を並べて確認してください。

未成年者については、営業に関して成年者と同一の行為能力を持たない人が対象です。風俗営業者の相続人には、法定代理人の欠格条件を含む例外があります。管理者の未成年者制限とは異なるため、相続と管理者の話を混同しないようにします。

根拠:風営法第4条第1項、施行規則第6条の2。

法人は、役員と密接関係法人を分けて調べる

法人申請では、法令上の役員に、法第4条第1項第1〜6号・第8〜10号の欠格事由に該当する人がいると、法人も許可を受けられません。破産、刑罰、暴力的不法行為等、中毒、心身の故障、許可取消しや所定の返納・合併・分割に関する条件です。

役員の条件とは別に、法人自身が風営法第57条第1項の両罰規定で処罰された場合も、刑罰に関する欠格事由の対象になります。法人名義の処罰がある場合は、役員個人の確認だけで終えないようにしてください。

役員の範囲は、登記上の代表取締役だけではありません。業務を執行する社員、取締役、執行役などのほか、名称を問わず、同等以上の支配力を持つ相談役・顧問等も含まれます。役職名と、実際に経営を動かしている人の両方を整理します。

2025年11月28日施行の改正で、密接関係法人も確認対象に

申請法人と法定の密接な関係がある法人が許可を取り消され、取消日から5年を経過していない場合も、不許可事由になります。

対象には、法令で定める親会社等、申請法人が支配する子会社等、親会社等が支配する兄弟会社等が含まれます。株式会社では議決権の過半数、持分会社では資本金の2分の1を超える出資などが判断の基準です。

資本比率だけでなく、出資・人事・資金・技術・取引等の緊密な関係を通じて、同等以上の支配的な影響力を持つ場合も含まれます。同じグループ名、取引、融資があるという一つの事情だけで、直ちに該当すると決めるものではありません。

法人関係は、次の資料を見ながら分けると確認しやすくなります。

  • 申請法人の役員と、実際の経営への関与。
  • 株主・出資者、議決権や出資の割合、親子会社等の関係。
  • 関係する法人の名称・住所・代表者、許可取消しがある場合の処分と日付。

根拠:風営法第4条、施行規則第6条の3、大阪府警の改正案内。改正案内は大阪府のページですが、ここで説明している人的要件は国の法令に基づくものです。

管理者は、実際にその営業所を統括できる人から選ぶ

管理者は、営業所ごとに1人、その営業所の業務を統括管理する人から選任します。名前だけを借りるのではなく、実際に業務を管理する人を決めてください。

管理者に選べないのは、次の条件に該当する人です。

  • 未成年者。
  • 法第4条第1項第1〜4号・第6号・第8〜10号に該当する人。破産、刑罰、暴力的不法行為等、中毒、許可取消しや所定の返納・合併・分割に関する条件です。
  • 心身の故障により、管理者の業務を適正に実施できない者として規則で定められた条件に該当する人。

申請者に関する未成年者の相続例外を、そのまま管理者へ当てはめることはできません。また、法人に関する欠格一覧を管理者へ丸ごとコピーするものでもありません。管理者用の誓約書では、法第24条第2項の条件を確認します。

候補者を決める際は、欠格事由だけでなく、その人が予定店舗の業務を実際に統括する体制も説明できるようにしてください。

根拠:風営法第24条。

身分証明書・誓約書は、何を確かめる書類かを分ける

人的条件に関する資料は、本人を特定するもの、一定の事項を証明するもの、欠格に該当しないことを誓約するものに分かれます。通常の新規申請では、次のように対象者ごとに準備します。

住民票の写しは本人の特定、市区町村の身分証明書は一定事項の証明、対象者ごとの誓約書は欠格に該当しない旨の誓約に用いる。身分証明書だけですべての欠格事由は確認できない。
対象 人的条件に関係する主な資料
個人申請者 本籍記載の住民票の写し(外国人は国籍等)、身分証明書、個人申請者用の欠格事由に該当しない旨の誓約書
法人 定款、登記事項証明書、法人用誓約書、該当する密接関係法人の名称・住所・代表者氏名を記した書面、株式会社の場合は株主名簿の写し
法人役員 役員ごとの住民票の写し、身分証明書、役員用誓約書
管理者 住民票の写し、身分証明書、誠実に業務を行う旨と管理者の欠格事由に該当しない旨の誓約書、写真2枚

住民票は市区町村、登記事項証明書は法務局、定款や株主名簿は法人の保管資料から用意します。日本人の身分証明書は、本籍地の市区町村に請求します。

ここでいう身分証明書は、運転免許証などの本人確認書類ではありません。 市区町村が所定の事項を証明する書類であり、すべての欠格事由や犯罪歴を証明するものでもありません。取得できたことだけを理由に、ほかの欠格事由もないと判断しないでください。

たとえば神戸市の身分証明書の案内では、禁治産・準禁治産、後見登記、破産の通知に関する証明事項が説明されています。証明書の項目を、現在の風営法の欠格事由一覧と同じ意味に読み替えないようにします。

誓約書も、個人申請者・法人・役員・管理者では対象となる条件が違います。提出先の現在の様式を使い、誰が何について誓約する書類かを読んでから準備してください。

管理者の写真は申請前6か月以内、無帽・正面・上三分身・無背景で、縦3.0cm×横2.4cmのものです。裏面に氏名と撮影年月日を記載します。外国籍の場合の代替資料、証明書の発行時期、重複書類の省略等は提出先の案内で確かめます。

この表は人的条件に関係する資料の整理です。物件の使用権原、図面、営業方法など、許可申請全体の添付書類をすべて示したものではありません。

根拠:許可申請書の添付書類等に関する内閣府令第1条、警視庁の許可申請・必要書類案内。

判断に迷うときは、人物・関係・時期をそろえる

資料を取り寄せる前に、次の順で手元の情報を書き出すと、確認したい論点が見えやすくなります。

  1. 対象者を決める。 個人か法人か、役員は誰か、管理者は誰かを一覧にします。法人では登記上の役職だけでなく、経営への関与と関係会社も整理します。
  2. 事情を具体的にする。 刑罰なら罪・根拠条文・刑の種類と長さ、破産なら復権、行政処分なら取消し・返納・合併・分割など、どの条件に関係するかを分けます。
  3. 日付を資料で確かめる。 判決、執行終了等、処分、返納、役員の在任などの時期を、手元の書面と照合します。覚えていない日付を推測して書かないようにします。
  4. 分からない点を質問にする。 「この役職は法令上の役員に含まれるか」「この刑の執行状況では、どの起算点を使うか」など、資料と論点を組み合わせて管轄警察署等へ確かめます。

人的条件と並行して、営業所の場所・構造・設備と申請準備も進めます。物件契約や工事を先に確定させず、各営業の条件を合わせて確かめてください。1号では接待を伴う飲食店の許可要件と申請準備、4号の麻雀店では麻雀店の開業前の要件と準備、5号ではゲームセンターの許可と開業準備をご覧ください。人的要件が共通でも、各号の設備や場所の条件まで同じになるわけではありません。

個別事情の整理や申請書類の準備を依頼したい場合は、任せたい作業を分けて相談できます。サクセスファン行政書士事務所へのお問い合わせでは、まず営業の種類、予定地、個人・法人の別、何の判断に迷っているかをお知らせください。対応できる地域・業務範囲と費用を確認してから、ご依頼を検討いただけます。

病歴や刑事記録、第三者の詳しい情報を最初の一般問い合わせへまとめて送るのではなく、必要な資料と安全な受渡し方法を先に確かめてください。

制度・公的案内の確認日:2026年11月7日。

  • この記事を書いた人

行政書士 小野馨

平成17年行政書士開業・1973年1月生・神戸市出身。兵庫工業高等学校卒業、慶応義塾大学通信教育課中退。富士通株式会社でシステムエンジニアとして2年勤務。自分のやりたい仕事でないと退職。その後、30以上の職種を経験した後、起業家をサポートするため、平成17年2月に行政書士開業。1000社50業種以上に会社設立・許認可など5000以上の行政手続きを代行。