1号警備は、ビル・店舗・住宅・駐車場などの施設で、盗難等の事故を警戒し、防止する警備業務です。施設警備や巡回警備、店舗の保安警備などが関係します。ただし、建物の中で働く仕事がすべて1号になるわけではありません。
施設の管理会社や取引先から警備を頼まれたとき、最初に整理したいのは「誰を何人採用するか」より、どの仕事を警備として引き受けるかです。受付、清掃、設備点検、交通誘導まで一括した契約では、必要な体制を見落としやすくなります。
この記事では、1号警備を事業として始めたい方に向けて、業務範囲と資格の違い、受注前に整える体制を解説します。認定の共通要件や申請書類は警備業認定の総合ガイドで確認できます。
1号警備とは|施設の事故を防ぐ仕事と業務範囲
1号警備の受注前に確認する順序
施設と契約上の仕事を確認
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盗難・侵入等の事故防止を担当する範囲を分ける
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交通誘導・設備管理など他の仕事との境界を確認
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1号の責任者・警備員教育・現場の配置を準備
施設名だけでなく、実際に任される作業から確認します。
警備業法第2条第1項第1号は、事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等で行う盗難等の事故の警戒・防止を対象にしています。「盗難等」は盗難だけを指すものではなく、施設の安全や平穏を損なう事故などを含みます。
施設警備・巡回警備・保安警備の見方
例えば、ビルの出入管理や巡回、店舗での盗難防止などは、1号の業務を具体化する際の代表的な場面です。厚生労働省の職業情報でも、施設警備員の仕事として入退出管理、巡回、防犯監視、鍵の管理などが挙げられています。
- 出入管理:訪問者や搬入業者の出入りについて、警備として何を確認するか。
- 巡回:警戒する区域、時間帯、異常を見つけた際の報告先はどこか。
- 店舗の保安:盗難等の防止に向けて、どの売場・範囲を担当するか。
これは仕事内容を整理するための例であり、すべての現場で同じ作業を行うという意味ではありません。業務仕様書に「施設警備一式」とだけ書くより、対象区域と作業を明らかにした方が、必要な人員や教育を検討しやすくなります。
受付・駐車場管理を頼まれたときの境界
受付という名称でも、来訪者の案内だけなのか、不審者の侵入を警戒する出入管理まで含むのかで、確認すべき内容が変わります。制服を着るか、契約書に「警備」と書くかだけでは決まりません。
駐車場では、盗難防止と交通誘導を分ける
駐車場内の車両へのいたずらや盗難を警戒する仕事は、施設での事故防止として1号の観点で確認します。一方、出入口などで車両・歩行者の通行に伴う事故を防ぐ交通誘導は、2号の業務内容に照らした確認が必要です。
両方を受けるなら、作業を分けて必要な区分の体制を整えます。料金精算、清掃、設備の保守も含める場合は、それぞれを誰がどの契約で担当するかまで整理してください。区分全体を比べる場合は、警備業の1号・2号・3号・4号の違いが参考になります。
自社施設を守る仕事と、他社から受ける仕事
警備業は、他人の需要に応じて行う警備業務を営業として営むものです。自社の従業員が自社施設を管理する場面と、別の会社から警備を請け負う場面を混同しないようにします。グループ会社でも別法人から受ける仕事なら、「同じグループだから認定不要」とは決められません。
境界に迷ったら、契約相手、雇用する会社、実施場所、作業内容を整理して、主たる営業所の所在地を管轄する警察署の警備業担当に確認してください。
1号警備に必要な資格と認定|3つを区別する
事業者の認定、営業所の指導教育責任者、警備員の検定資格は別の制度です。「施設警備2級を持つ人を採用したから開業できる」とは限りません。
| 確認対象 | 役割と確認点 |
|---|---|
| 警備業の認定 | 事業者が警備業を営むための認定。個人資格とは別。 |
| 1号の警備員指導教育責任者 | 営業所の警備員を指導・教育する責任者。1号に対応する資格者証を確認。 |
| 施設警備業務の検定 | 警備員の知識・能力に関する資格。法定配置の対象施設と契約条件を確認。 |
営業所には1号に対応する指導教育責任者を選任する
営業所ごと、取り扱う警備業務の区分ごとに、対応する資格者証を持つ警備員指導教育責任者を選任します。2号の責任者資格がある人でも、1号に対応する資格者証がなければ、そのまま1号の責任者にはできません。
採用時は「警備経験あり」という説明だけでなく、資格者証の区分と、実際にその営業所で指導教育を担える勤務体制を確認します。施設警備業務1級・2級の検定合格証明書とは名称も役割も異なります。
施設警備の検定資格者は、すべての施設で一律必須ではない
警視庁が示す検定合格警備員の配置基準では、施設警備業務について、防護対象特定核燃料物質取扱施設と空港が対象として挙げられています。一般のビルや店舗すべてに、同じ法定配置義務があると広げてはいけません。空港保安警備業務は、施設警備業務とは別の種別として基準が設けられています。
ただし、法律上の配置義務と、取引先の契約・入札条件は別です。見積り前に仕様書の資格条件を読み、必要な人を配置できるか確認しましょう。特殊な施設を受注する場合は、対象施設と検定の種別に対応する配置基準を個別に確認します。
受注前に整える教育・勤務体制・契約の進め方
教育時間を勤務開始の予定に組み込む
資格・経験による免除や短縮の対象でない一般の警備員は、新任教育が20時間以上、現任教育が年度ごとに10時間以上です。基本教育と業務別教育を合わせた時間であり、全員に同じ内訳を機械的に当てはめるものではありません。
必要な新任教育を終えてから警備業務に就けるよう、開始日から逆算して計画します。採用日と現場開始日だけを決めず、教育を担当する人、教育内容、実施日、記録の準備も合わせて確認します。施設ごとの出入管理、鍵の取扱い、異常時の連絡先などは、担当する仕事に合わせた準備が必要です。
確認先:警視庁「警備員に対する教育時間」
常駐人数だけでなく、交代と欠員時の対応を考える
「受付に1人配置」という見積りでも、休憩、休日、欠勤、教育中に誰が交代するかを考える必要があります。契約時間、巡回中の受付対応、報告の方法を具体化し、勤務表と配置計画を照らし合わせます。ここでいう人数確認は、すべての施設に共通する法定最低人数の説明ではなく、契約を実行できる体制を考えるためのものです。
警備業務への労働者派遣はできない
警備業務への労働者派遣は、労働者派遣法第4条で禁止されています。「請負契約」と名付けるだけで解決するものではなく、発注者と警備員の指揮命令関係など、仕事の実態を確認します。
取引先施設への常駐がすべて派遣になるわけでも、顧客との連絡が一律禁止されるわけでもありません。誰が警備員へ業務の指示を出し、配置や勤務を管理するかを契約と運用の両方で整理します。判断に迷う場合は、都道府県労働局の需給調整事業担当等へ確認してください。
確認先:厚生労働省「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」
確認先:労働者派遣法第4条
警備契約では、警備業法第19条に基づく契約締結前・締結後の書面交付も必要です。業務仕様書を作るだけで済ませず、交付時期と法定記載事項を確認します。電磁的方法で提供する場合は、相手方の承諾など法令上の条件も確認してください。
契約書面の根拠:警備業法第19条
機械警備を行う場合は、通常の施設警備に加えて確認する
機械警備は1号警備に含まれる形態で、施設の情報を施設外の受信機器へ送る警備用機器を使う業務が対象です。警備業法には、開始の届出、基地局ごとの機械警備業務管理者の選任、即応体制などの特別な規定があります。
防犯カメラを販売・設置することと、警報を受信して警備を行うことは同じではありません。機器を使う予定なら、受信する場所、異常を判断する担当、現場へ向かう体制、他社へ委託する範囲を図にして確認します。駆け付け時間等は地域の公安委員会規則も関係するため、全国一律の数字を前提に事業計画を組まないでください。
1号警備の開業でよくある疑問
施設警備2級があれば、1号の会社を始められますか?
それだけでは足りません。事業者の警備業認定、営業所の1号指導教育責任者の選任、警備員の教育などを別に整えます。検定の「2級」と、警備業務区分の「2号」も別の意味です。
ビル管理会社が警備も受ける場合、別に確認が必要ですか?
必要です。清掃や設備管理と一緒の契約であっても、他社施設の盗難等の事故防止を営業として引き受けるなら、警備業に当たるかを確認します。既存の管理契約や会社の事業目的だけで認定の要否を判断せず、実際の作業を分けて整理してください。
施設警備の仕事を一枚に整理してから、認定準備へ進む
次の5項目がそろうと、単に「1号を始めたい」と相談するより、必要な準備を具体的に確認できます。
- 契約相手・対象施設・警戒する区域
- 受付、巡回、保安、交通誘導など、引き受ける作業の範囲
- 配置時間・交代要員・欠員時の対応
- 1号指導教育責任者の資格者証と勤務予定
- 現場の資格条件・教育予定・機械警備の有無
仕事内容が決まっている方は、警備業認定の要件と申請準備へ進めます。1号と2号が混在する場合は、まず業務区分の違いを確認し、業務仕様書や配置図を管轄の警察署へ示して相談しましょう。
サクセスファン行政書士事務所への申請準備の相談では、営業予定地、施設と仕事内容、責任者の確保状況をお伝えください。対応できる地域・依頼範囲・費用を確認したうえで、ご自身で進める部分と支援を受ける部分を検討できます。
制度確認日:2026年11月7日。個別の業務区分・資格者配置・届出は、契約と実際の業務に応じて確認してください。
