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運転代行業の料金・約款・標識|掲示とホームページ掲載

運転代行業では、認定を受けるだけでなく、営業前に料金と約款を定め、必要な掲示とウェブ掲載を行います。さらに、依頼を受ける際には利用者へ条件を説明します。「ホームページに書いてあるから説明しなくてよい」「標準約款を保存したから準備完了」と考えず、決定・掲示・掲載・説明をつなげて準備しましょう。

この記事では、神戸・兵庫で運転代行業を始める方や、料金改定・サイト更新を予定する事業者に向けて、料金表、約款、認定を受けたことを示す標識の扱いを整理します。車体への文字表示や顧客車の代行マークは、営業所・随伴車の準備と表示で別に解説しています。

料金・約款・標識は、目的と掲示場所を分けて確認する

  • 料金:利用者が支払う金額や計算方法を示すもの。営業開始前に定め、営業所で利用者に見やすく掲示します。変更時も同様です。
  • 約款:料金の収受や事業者の責任など、サービスの契約条件を定めるもの。営業開始前に定め、営業所で利用者に見やすく掲示します。変更時も同様です。
  • 認定の標識:公安委員会の認定を受けたことを示す所定の標識。主たる営業所の見やすい場所へ掲示します。

料金・約款の掲示と、主たる営業所に掲示する認定の標識では、法律の規定が異なります。複数の営業所がある場合、標識の説明だけを見て、ほかの営業所の料金・約款の掲示まで省略しないようにしてください。

2024年4月からは、これらを原則として事業者のウェブサイトにも掲載する仕組みとなっています。例外は後述しますが、ウェブ掲載が不要になる場合でも、営業所の掲示や利用者への説明まで不要になるわけではありません。

根拠:自動車運転代行業法第6条・第11条・第13条。

営業所での掲示、ウェブ公開と例外、利用前説明の3場面を整理した図

料金表は、実際に請求する条件が分かる形にする

法第11条は、利用者から受け取る料金を営業開始前に定め、見やすく掲示することを求めています。利用者への説明と請求が食い違わないように、実際の料金体系に合った料金表を用意します。

次の項目は、料金表を作る際の実務上の確認例です。すべての料金を新たに設ける必要があるという意味ではありません。実際に徴収するものと、徴収しないものを分けてください。

  • 基本料金に含まれる距離やサービスと、超えた場合の計算方法。
  • 待機、迎車、時間帯による加算などを設ける場合の金額と発生条件。
  • 有料道路や駐車場等の費用を誰が負担するか。
  • キャンセル料を設ける場合の発生時点と金額。
  • 割引を行う場合の対象、期間、適用条件。

「○円から」と入口の金額だけを示し、現場で初めて追加料金を説明する運用は避けます。距離や待機時間が未確定なら、確定額のように伝えず、何によって料金が変わるのかを説明できる状態にしましょう。

料金を変えるときは、新料金の適用日を決め、営業所、ウェブサイト、配布物、受付担当者の案内をそろえます。これは情報の食い違いを防ぐための運用上の工夫です。約款の条項も変更する場合は、料金表の差替えだけで済ませず、次の約款の手続を確認してください。

標準約款を使う場合と、独自約款を定める場合

標準約款と同一の内容を定めて掲示すれば、届出をしたものとみなされる

法第13条第4項は、国土交通大臣が公示した標準自動車運転代行業約款と同一の約款を定め、または同一の内容へ変更して掲示した場合に、約款の届出をしたものとみなすと定めています。

「標準約款を使う」と決めただけ、データをダウンロードしただけではなく、採用する内容を確認し、利用者に見やすく掲示します。古い資料をそのまま流用せず、所管窓口が案内する現在の標準約款を確認してください。兵庫県の案内には標準自動車運転代行業約款が掲載されています。

独自の内容を加える場合は、約款の届出を確認する

標準約款とは異なる約款を定める場合や、その内容を変更する場合は、法第13条第3項に基づく事前の届出を確認します。運転代行業の独自約款について、ここでいう手続は「認可」ではなく「届出」です。

約款は、利用者の正当な利益を害するおそれがなく、料金の収受や事業者の責任に関する所定の事項が明確でなければなりません。「事故の責任は一切負わない」など、事業者に都合のよい免責を自由に追加できるわけではありません。

標準約款の一部だけを書き換えた場合に、そのまま同一の約款として扱えるとは考えないでください。変更予定の条項と実施希望日を整理し、所在地の都道府県の担当窓口へ、届出の方法・期限・必要資料を確認します。

国土交通省関係施行規則第6条は、約款の届出について、実施予定期日の30日前までに、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事へ約款設定(変更)届出書を提出することを定めています。変更後の約款を使い始めてから準備するのではなく、実施日から逆算してください。大阪府の事業者向け案内でも、標準約款以外を使用する場合のこの期限が説明されています。

根拠:法第13条、国土交通省関係施行規則。標準約款の補償と保険契約が合うかは、保険・損害賠償措置の解説も参照してください。

認定の標識は、現在の様式で作成する

2024年4月1日から従来の認定証の交付は廃止され、認定を受けた事業者が所定の標識を作成する方式になりました。認定の通知内容に基づき、公安委員会名、認定番号、氏名・名称、所在地等を正確に記載します。

兵庫県の案内では、標識データを都道府県警察のウェブサイトから入手して作成し、主たる営業所の掲示用はA4サイズで印刷するとしています。認定を受けていない段階で、架空の認定番号を入れた標識を掲示・公開してはいけません。法第6条第2項は、運転代行業者以外による標識や類似標識の掲示・ウェブ公開を禁じています。

変更の届出に伴って標識の記載事項が変わる場合は、営業所の標識とウェブ上の標識も更新します。旧認定証の画像を残したまま、現在の標識を掲示したつもりにならないよう点検してください。

根拠:兵庫県の2024年改正概要・標識の記載方法。

ウェブ掲載が必要な事業者と、例外を確認する

標識・料金・約款は、原則としてウェブサイトで公衆が閲覧できるようにします。ただし、次のいずれかに該当する場合は、このウェブ掲載義務の例外になります。

  • 随伴用自動車の保有台数が1台以下の場合。
  • 自ら管理するウェブサイトを有していない場合。

二つとも満たす必要があるという条件ではありません。また、これは営業所での掲示を免除する規定でも、ウェブサイトを必ず新設しなければならないという規定でもありません。

兵庫県は、随伴車1台の事業者でもウェブサイトを持つ場合には、改正の趣旨を踏まえた掲載への協力を求めています。法令上の義務と、掲載への協力の案内を分けて理解してください。増車やウェブサイト開設を予定する場合は、その変更後も例外に当たるかを確認します。

標識は画像を見やすく掲載。SNSだけで済ませない

兵庫県の改正案内は、作成した標識を画像データに変換してトップページの見やすい箇所へ掲載し、PDFや表計算ファイル等へのリンクだけを載せる方法は不可と説明しています。ここでの画像掲載・リンク不可の説明は、標識を対象としたものです。

また、同案内は、ここでいうウェブサイトにSNSは含まれず、SNSへの掲載だけでは義務を履行したことにならないとしています。料金・約款についても、必要な内容を利用者が閲覧できるよう掲載し、具体的な形式が不明なときは担当窓口の案内を確認してください。

制作会社に依頼する場合は、「法定表示を載せてください」だけでなく、使用する標識、料金表、約款の最新版と掲載箇所を渡します。納品後は、ログインしなくても見られるか、画像の文字が読めるか、スマートフォンで横に切れていないかを、実際の公開画面で点検しましょう。

根拠:兵庫県の改正概要(ウェブ掲載・例外)。

掲示やサイト掲載があっても、利用前の説明は別に必要

法第15条は、利用者が受けたいサービスの内容を確認したうえで、料金、約款の概要、その他の条件を説明し、その説明に従ってサービスを提供することを求めています。ホームページのURLを伝えるだけで、当然に説明を終えたことにはなりません。

兵庫県の案内では、原則として口頭の説明と説明書面の交付を行うとされています。主な説明項目は次のとおりです。

  • 事業者の氏名または名称と、運転代行業務従事者の氏名。
  • 営業所で掲示している料金と、利用者が支払う料金の概算額。
  • 随伴用自動車に利用者を乗せるタクシー類似行為はできないこと。
  • 約款の概要。料金の収受・払戻し、サービスの提供、提供の責任の始期・終期、免責、損害賠償など。

依頼の内容や行先を確認しないまま、料金表を一方的に見せて終わりにしないようにします。料金が変わる条件や、サービス提供に関する責任の始期・終期を、掲示・約款と一致する内容で説明してください。根拠は法第15条および国土交通省関係施行規則第7条です。

説明書面の作成例は兵庫県「利用者への説明義務について」から確認できます。例外的な説明方法を採用する場合は、単に「常連客だから」「ネットで見たはずだから」と省略せず、現行の条件を窓口へ確認してください。

料金改定・約款変更・移転の際の更新チェック

次は変更時の漏れを防ぐための管理例です。法定の申請書類の一覧ではありません。変更する内容に応じて、届出や確認が必要なものを分けてください。

  • 変更内容:料金だけか、約款の条項や標識の記載も変わるか。
  • 手続:約款の届出や認定事項の変更届などが必要か、実施日から逆算して確認する。
  • 営業所:料金表・約款・標識の該当部分を更新する。
  • ウェブ:古い画像・料金ページ・約款が残っていないか確認する。
  • 受付・現場:説明書面と従事者の案内を更新し、旧料金との適用区分を共有する。
  • 最終確認:利用者へ説明する内容と実際の請求、採用約款、補償内容が一致するか確認する。

よくある質問

随伴車が1台でも、営業所の料金表は必要ですか?

必要です。1台以下の例外はウェブ掲載についてのもので、営業所における料金・約款の掲示まで免除するものではありません。

標準約款を少し変えても、届出は不要ですか?

同一内容を定めて掲示する場合の届出みなしと、独自の条項を採用する場合を分けて確認します。一部だけの変更でも自己判断で届出不要とせず、変更箇所を示して担当窓口へ確認してください。

料金表や約款も、必ず標識と同じ画像形式にする必要がありますか?

この記事で引用した兵庫県の「画像化してトップページへ」「リンクのみ不可」という説明は標識についてのものです。その条件を料金・約款へ一律に広げてはいません。料金・約款も閲覧できるよう掲載し、採用する具体的な形式は最新の窓口案内に沿って確認します。

掲示物と運用を、営業開始前にそろえる

開業前は、料金を決める作業、約款を選ぶ作業、標識を作る作業を別々で終わらせず、利用者に説明できる一式としてそろえると準備の抜けを見つけやすくなります。認定申請の手続全体は必要書類・費用・手順、制度全体は運転代行業認定の総合ガイドをご覧ください。

申請や開業準備の整理を相談したい方は、営業予定地、開始希望時期、料金・約款・掲示物の準備状況を添えて、サクセスファン行政書士事務所へお問い合わせください。独自約款を予定している場合は、その点もお知らせください。

制度情報の確認日:2026年11月7日。届出先、期限、書式、具体的な掲載方法は、所在地の担当窓口の最新案内を確認してください。

  • この記事を書いた人

行政書士 小野馨

平成17年行政書士開業・1973年1月生・神戸市出身。兵庫工業高等学校卒業、慶応義塾大学通信教育課中退。富士通株式会社でシステムエンジニアとして2年勤務。自分のやりたい仕事でないと退職。その後、30以上の職種を経験した後、起業家をサポートするため、平成17年2月に行政書士開業。1000社50業種以上に会社設立・許認可など5000以上の行政手続きを代行。