運転代行業の認定では、申請者や法人役員の欠格事由と、保険・安全運転管理の体制を確認します。二種免許を持つ運転者がいれば、それだけで事業として営業できるわけではありません。申請前に、誰の、どの条件を確認するのかを分けて整理しましょう。
この記事では、自動車運転代行業法第3条の欠格事由と、判断を誤りやすい刑罰・破産・法人役員・心身の状態の確認点を説明します。個別の認定可否を断定するものではありません。該当する可能性がある場合に、必要な事実と資料を整理して、主たる営業所を管轄する警察署へ相談するための案内です。
認定要件は「人」と「事業の体制」を分けて確認する
運転代行業を営もうとする者は、法第3条の欠格事由に該当しないことについて、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会の認定を受けます。申請者個人の事情だけでなく、法人の場合は役員、事業としては損害賠償措置と安全運転管理者の選任体制も関係します。
顧客車を運転するための二種免許と、事業者の認定は別の制度です。管理者の資格や保険の条件も、二種免許の取得だけで満たされるものではありません。制度全体は運転代行業認定の総合ガイド、担当別の免許は必要な免許と人員の解説で確認できます。

法第3条の欠格事由で確認する9つの区分
次は確認のための要約です。細かな適用範囲や例外は条文で確認し、該当性が不明な場合は具体的な事情を管轄窓口へ伝えてください。
- 第1号・破産:破産手続開始の決定を受け、復権を得ていないこと。
- 第2号・刑罰:拘禁刑以上の刑、または法が列挙する違反等による罰金について、執行終了等から2年を経過していないこと。
- 第3号・命令違反:最近2年間に、法が定める営業停止・営業廃止等の命令に違反する行為をしたこと。
- 第4号・違法行為のおそれ:集団的または常習的な暴力的不法行為等について、規則が定める行為を行うおそれがあると認める相当の理由があること。
- 第5号・業務遂行に関する状態:心身の故障により業務を適正に実施できない者として、国家公安委員会規則で定めるものに該当すること。
- 第6号・未成年者:営業に関して成年者と同じ行為能力を持たないこと。ただし、運転代行業者の相続人で、法定代理人が第1号から第5号および第9号のいずれにも該当しない場合は例外です。
- 第7号・損害賠償措置:顧客車の運行による損害への措置が、国土交通省令の基準に適合すると認められない相当の理由があること。
- 第8号・安全運転管理:安全運転管理者と、必要な場合の副安全運転管理者を選任すると認められない相当の理由があること。
- 第9号・法人役員:法人の役員に、第1号から第5号のいずれかに該当する人がいること。
根拠:自動車運転代行業法第3条・第4条、広島県警察の欠格要件の案内(2026年10月更新)。
刑罰の確認は、罪名・刑の種類・日付を分ける
罰金なら何でも2年間申請できない、ではない
法第3条第2号は、拘禁刑以上の刑に処せられた場合と、列挙された規定違反等により罰金に処せられた場合を定めています。罰金の対象は、運転代行業法、道路運送法の所定の無許可旅客運送等、道路交通法の所定の使用者義務や命令違反です。
すべての罰金が同じ扱いになるわけではありません。一方で、「交通関係だから軽い」「昔の違反だから問題ない」と自己判断することも避けます。違反した規定、処分・裁判の内容、刑の種類が分かる資料を確認してください。反則金と刑事罰の罰金も混同しないようにします。
2年は、単純に逮捕日・判決日から数えない
同号の2年は、刑の執行を終わった日、または執行を受けることがなくなった日から数えます。「事件から2年たった」「判決を受けてから2年たった」という情報だけで、要件を満たしたとは判断できません。
執行猶予や過去の懲役・禁錮に関する事情がある場合は、刑の内容、猶予の有無、期間、確定や終了に関する資料をそろえて確認します。現在の条文が「拘禁刑」になったことだけを理由に、以前の刑が確認不要になったと考えないでください。
相談するときは、「前科がある」という説明だけでなく、適用された規定・刑の種類・判決等の内容・執行や猶予に関する日付を整理します。個別の資料は、公開の場へ載せず、申請先など必要な相手へ安全な方法で提示してください。
営業停止等は、命令を受けたことと命令違反を区別する
法第3条第3号は、最近2年間に所定の命令に違反する行為をした人について定めています。単に営業停止等の命令を受けた事実と、その命令に違反した事実は同じではありません。
ただし、命令が現在も有効なら、その内容には従う必要があります。「欠格事由の説明に当てはまらないと思うので営業してよい」とは判断せず、処分の内容、期間、対象業務、実際の対応を確認してください。
破産は「経験があるか」だけで判断しない
第1号の基準は、破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない状態かどうかです。過去に破産したことがあるという事実だけで、永久に認定を受けられないという規定ではありません。
現在の法的な状態を、決定書や確定に関する資料などで確認します。借入れがあること、返済中であることと、破産手続開始・復権の有無も別の事項です。資料が手元にない、復権の扱いが分からない場合は、手続を扱った専門家や申請先に確認してください。
法人は代表者だけでなく、役員を確認する
法人で申請する場合、第9号により、役員の中に第1号から第5号のいずれかに該当する人がいる法人は対象となります。この役員には、名称にかかわらず、法人に対して役員と同等以上の支配力を持つと認められる人も含まれます。代表取締役の資料だけを確認して終わりにしないことが重要です。
役員名簿と登記事項証明書をもとに、誰の確認資料が必要かを整理します。役員の範囲や変更予定がある場合は、その事情を窓口へ伝えてください。申請書類の対象者を自己判断で省いたり、実際と異なる内容で申請したりしないようにします。
たとえば、長野県警察の法人申請の案内は、役員名簿に加え、役員全員の住民票・所定の誓約書・診断書を示しています。所在地の最新案内で、対象者と必要書類を確定しましょう。
病名や障害の有無だけで、一律に判断しない
第5号は、病名や障害の有無だけで線を引く規定ではありません。国家公安委員会規則は、精神の機能の障害により、業務を適正に実施するために必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができない者を定めています。
申請では、所定の誓約書と医師の診断書などを準備します。一般的な健康診断書を先に取得するのではなく、申請先の様式を確認し、実際に担当する業務を医師へ伝えてください。状態に関する個別判断は、申請先と医師に確認します。
根拠:国家公安委員会関係施行規則第2条、京都府警察の誓約書・診断書の案内。
保険と管理者は、申請前に実際の体制を整える
人に関する欠格事由の確認が済んでも、保険・共済が必要な基準に合わず、安全運転管理者の選任体制も整っていなければ、認定の準備が完了したとはいえません。
保険は、顧客車と随伴車の対象、契約内容、補償期間、証明資料を確認します。管理者は、候補者の年齢・経験等の要件と、営業所で実際に管理業務を行える体制を確認します。詳細は運転代行業の保険・損害賠償措置と安全運転管理者の要件をご参照ください。
従事者の制限は、事業者の認定と別に確認する
運転代行業務に従事する人については、法第14条の従事制限があります。事業者が認定を受けているから、誰でも採用・配置できるという意味ではありません。
事業者や法人役員の認定要件、業務従事者の制限、安全運転管理者の資格、実際の運転に必要な免許を分けて確認します。これらを一つの「資格チェック」で済ませず、担当する役割ごとに資料と確認先を整理してください。
申請前の相談で整理しておくこと
- 個人・法人のどちらで申請するか、法人の場合は役員の構成。
- 気になる事実が、法第3条のどの区分に関係しそうか。
- 刑・処分・破産等に関する内容と日付を確認できる資料の有無。
- 管理者候補の要件と、保険・共済の準備状況。
- 申請先と、まだ確認できていない事項。
分からない点があるときは、空欄を推測で埋めたり、誓約内容を確認せず署名したりせず、先に担当窓口へ相談しましょう。必要書類と手順は、認定申請の必要書類・費用・手順で確認できます。
申請準備の整理を相談したい場合は、開業予定地、個人・法人の別、確認したい項目を添えて、サクセスファン行政書士事務所へお問い合わせください。機微な資料は、まず提出方法を確認してからお送りください。対応範囲や費用は、具体的な状況を確認したうえでの案内となります。
制度情報の確認日:2026年11月7日。個別の該当性や提出資料は、現行法令と申請先の最新案内に基づいて確認してください。
