運転代行業では、お客様の車を運転する人と、事業者の随伴車を運転する人で、必要な免許が異なります。普通乗用車のお客様をその車に乗せて代行運転する担当者には、普通二種・中型二種・大型二種のいずれかが必要です。随伴車の担当者は、その車を運転できる免許を確認します。
開業時に「二種免許を持つ人を1人確保すればよい」と考えるだけでは、欠勤や免許の条件変更に対応できません。この記事では、通常の普通乗用車による運転代行を前提に、担当の分け方、採用・配車前の確認、営業所の管理体制まで整理します。
顧客車と随伴車で、免許を分けて考える
お客様の普通乗用車を運転する人:普通二種などが必要
お客様が乗る普通乗用車を代行運転する場合、普通第一種免許だけでは担当できません。道路交通法第86条第5項・第6項に基づき、普通第二種免許、または中型第二種免許・大型第二種免許が必要です。
二種免許という呼び方だけで判断せず、実際の種類と条件を確認してください。たとえば、普通二種のAT限定免許でMT車を運転することはできません。受けられる依頼の範囲は、担当者の免許と実際の車両の両方を照合して決めます。奈良県警察の普通二種等の案内でも、AT限定でMT車に乗る場合には限定解除審査が必要とされています。
根拠:神奈川県警察の二種免許取得義務の案内、北海道警察の運転代行業者の遵守事項。
随伴車を運転する人:その車に対応する免許を確認する
随伴車は、事業者が顧客車に伴走するために使う車です。随伴車を運転すること自体に、顧客車の代行運転と同じ二種免許の要件がかかるわけではありません。一般的な普通乗用車なら、車両と免許条件が合う普通第一種免許で担当できます。
ただし、二種免許を持たない随伴車の担当者を、途中から顧客車の担当へ交代させることはできません。また、随伴車にお客様を乗せて運ぶこともできません。飲食店から駐車場までの短い移動でも、随伴車をタクシー代わりに使わないよう従事者へ共有します。長野県警察の義務・禁止行為の案内も確認してください。
人員は「通常2人で1組」と、営業を続ける体制を分ける
一般的な運転代行では、1人がお客様の車を運転し、もう1人が随伴車を運転します。大阪府の業務イメージでも、通常2人で行動する形が説明されています。これは、法律で全事業者に一律「従業員を2人雇う」と定めた人数基準を示すものではありません。
個人事業主自身が顧客車の運転を担当する場合も、必要な二種免許とその条件を満たす必要があります。経営者という立場だけで二種免許が必要になるのではなく、実際にどの車を運転するかで判断します。
人員計画では、営業する組数と時間帯に加え、欠勤・休憩・免許停止などで予定した担当者が運転できない場合を考えます。二種免許の担当者が不在なら、第一種免許しかない人で穴埋めせず、その組の受付を止めるなど、適法に提供できる範囲へ調整してください。
次の図は通常の普通乗用車の組み合わせです。担当を入れ替えるときも、交代後の役割に必要な免許を確認します。

採用・配車前に確認する5つの項目
免許を持っているという本人の説明だけで配車を決めず、事業者が内容を確かめる手順を用意します。長野県警察の案内でも、経営者に対して二種免許の保有確認を求めています。次は、確認漏れを防ぐための実務上の整理です。
- 免許の種類:顧客車を担当できる二種免許か、随伴車を運転できる区分か。
- 免許の条件:AT限定など、担当車両に合わない制限がないか。眼鏡等の条件も守れるか。
- 免許の有効性:有効期限内か。停止・取消しなど、運転できない状態になっていないか。
- 業務への従事制限:運転代行業法第14条の制限に該当しないか。免許の有無とは別に確認する。
- 保険と配車の整合:運転者の年齢等の保険条件が合うか。当日の役割を変更しても条件を満たすか。
採用時の確認に加え、免許更新や条件変更の申告方法、運転できなくなったときの連絡先を決めておくと、配車判断につながります。これは法定の確認頻度を一律に示すものではなく、営業体制を整えるための提案です。保険の条件は、顧客車と随伴車に必要な保険・損害賠償措置と併せて確認してください。
免許だけでなく、従事者の名簿・指導も準備する
業法第14条の従事制限と、運転免許の資格は別の確認事項です。さらに、営業所ごとの従事者名簿などの帳簿や、利用者の利益を守るための指導も必要です。「二種免許を持っているので採用後の準備は不要」とは考えず、管轄の警察が案内する最新様式・記載項目を確認します。
法定の従事制限の具体的な該当判断に迷う場合は、事情を整理して管轄警察署へ確認してください。根拠と各義務の一覧は、神奈川県警察の運転代行業の義務・帳簿の説明で確認できます。
安全運転管理者は、運転者の免許とは別に必要
運転代行業では、営業所ごとに安全運転管理者を選任します。二種免許を持つ人がいるだけで、この選任まで済んだことにはなりません。管理者には年齢や運転管理経験などの要件があり、日々の安全運転管理を担える体制が必要です。
小規模な開業で同じ人に複数の役割を任せる予定でも、運転者としての免許と、安全運転管理者としての要件・業務を分けて確認してください。台数別の副安全運転管理者、資格要件、選任後の届出は、運転代行業の安全運転管理者の要件と届出で詳しく解説しています。
二種免許の取得予定者を採用する場合
取得予定の人を顧客車の担当に組み込む場合は、教習の受講予定ではなく、必要な免許を実際に取得したことを確認してから配車します。受験資格を満たすことと、免許を取得して運転できることは別です。
受験資格には特例があり、所定の特別な教習を修了すると、19歳以上かつ普通免許等の保有期間が通算1年以上で二種免許試験を受けられる制度があります。「21歳未満なので取得できない」と一律に決めつけず、個別の受験資格を運転免許試験場などに確認してください。詳細は警察庁の第二種免許等の受験資格特例に掲載されています。
免許と人員のよくある質問
運転者2人とも二種免許を持つ必要がありますか?
一般的な普通乗用車による運転代行では、顧客車の担当者に二種免許が必要です。随伴車だけを担当する人は、その車を運転できる免許で対応できます。ただし、顧客車の担当を交代するなら、交代する人にも必要な二種免許がなければなりません。
アルバイトなら普通免許でお客様の車を運転できますか?
いいえ。雇用形態で二種免許の要件が変わるわけではありません。短時間勤務や臨時の応援でも、顧客車を担当する前に同じ免許・条件を確認します。
二種免許を取れば、すぐに運転代行業を開業できますか?
二種免許は運転者の資格です。事業として営業するための公安委員会の認定とは別であり、安全運転管理者、損害賠償措置、申請書類などの準備が必要です。免許取得だけで営業を始めないようにしてください。
申請全体の流れは、運転代行業認定の申請ガイドで確認できます。
担当者と営業所の体制を決めて、認定申請へ進む
まず、顧客車の担当者・随伴車の担当者・安全運転管理者を整理し、それぞれの資格や条件を確認しましょう。そのうえで、営業する時間帯と組数に合わせて、無理のない配車体制を組みます。
開業予定地、個人・法人の別、随伴車の台数、担当者の免許と安全運転管理者の準備状況をまとめておくと、認定申請で確認すべき点が見えやすくなります。申請準備の相談は、サクセスファン行政書士事務所へお問い合わせください。対応範囲や費用は、具体的な状況を確認したうえでの案内となります。
制度情報の確認日:2026年11月7日。運転できる車両・免許条件と申請資料は、管轄の警察・運転免許窓口の最新案内で確認してください。
