機械警備業務を始めるには、警備業の認定に加え、機械警備業務開始届、基地局の管理者、異常情報を受けた際の即応体制を整えます。警報を受信する機器を置くだけでは、必要な人員・届出・記録管理まで完成したことにはなりません。
この記事では、機械警備への参入や既存事業への追加を考える事業者に向け、開始前に決める事項と、営業開始後の管理を整理します。一般的な施設警備は1号警備の仕事内容と開業準備、認定手続は警備業認定の総合ガイドをご覧ください。
機械警備業務の開始は、届出・管理者・現場対応を一体で準備する
機械警備の開始準備
① 業務の仕組みを確認
対象施設の機器 → 施設外の基地局へ情報送受信
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② 担当拠点と人を決める
基地局・管理者・待機所・現場へ向かう警備員
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③ 即応体制を確認
業務地の基準に合う人員・車両・装備を配置
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④ 開始届を提出
基地局または対象施設がある都道府県ごとに確認
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⑤ 運用・記録を開始
受信、指令、到着、措置の結果を管理
機械警備は1号警備の一つであり、警備業法第2条第5項に定義されています。さらに同法第40条〜第44条で、開始届、管理者、即応体制、基地局の備付書類が定められています。
確認先:e-Gov法令検索「警備業法」(第2条・第40条〜第44条)
監視カメラを売ることと、機械警備を行うことは同じではない
法令上の機械警備業務は、対象施設で感知した盗難等の事故に関する情報を、その施設以外の施設へ送信・受信する警備業務用機械装置を使用して行う1号警備です。機器の種類だけでなく、誰が、誰の依頼で、どのような警戒・防止業務を行うのかを確認します。
カメラやセンサーの販売・設置だけを行う事業を、直ちに機械警備と決めつけるものではありません。一方、「映像サービス」「遠隔見守り」という名称でも、実際の受信・監視・指令・現場対応の仕組みによって判断が必要です。名称や契約書の見出しだけで対象外と考えないでください。
基地局は受信機器を設置する施設ですが、警察庁通達は、単に情報をモニターするためだけの受信機器の場合は基地局に含まれないとしています。この点だけを切り取ってサービス全体を届出不要とせず、情報を受けた後の判断や指令を含む業務全体を所轄窓口へ説明して確認しましょう。
構成を整理するには、対象施設、送信機器、受信先、指令担当、出動担当、依頼者への報告先を1枚の図にすると役立ちます。委託先を使う場合も、自社と委託先が実際に担う範囲を明確にします。
確認先:警察庁「警備業法等の解釈運用基準について」(第26)
機械警備業務開始届は、基地局・対象施設がある県ごとに確認
開始届は、基地局または送信機器を設置する対象施設が所在する都道府県の区域ごとに、その公安委員会へ提出します。基地局だけがある県、対象施設だけがある県も対象です。基地局を置いた県へ1通出せば、全国の対象施設をまとめて扱えるというものではありません。
様式は施行規則別記様式第18号、期限は機械警備業務を開始する日の前日までです。県内に基地局があれば基地局所在地の所轄警察署長を、基地局がなければ対象施設所在地の所轄警察署長を経由します。複数ある場合は、そのいずれか一つの所在地を基に確認します。
届出事項には、事業者情報、認定をした公安委員会と番号、基地局・機械警備業務管理者、待機所、対象施設がある市町村等が含まれます。対象施設と待機所の担当関係を整理してから書類を作ると、記載の食い違いを防げます。
その県内の基地局に選任する管理者については、資格者証の写し、誓約書、履歴書、住民票等の本人資料、所定の診断書など、施行規則第55条に対応する添付書類を確認します。提出先の最新様式を使い、資格者証の交付申請と、開始届に添付する選任資料を混同しないでください。
他県へ営業所を設ける場合等の法第9条の届出と、法第40条の機械警備業務開始届は別の手続です。他県での営業所設置等届出にある期間・人数の除外を、そのまま機械警備開始届に当てはめないよう注意します。
確認先:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」(第53条〜第55条)
確認先:警視庁「警備業法等に係る申請書」(開始届・変更届等の様式)
基地局には、資格者証を持つ機械警備業務管理者を選任する
管理者は、機械警備業務管理者資格者証の交付を受けた人から、基地局ごとに選任します。営業所で教育を担当する警備員指導教育責任者と、基地局の機械警備業務管理者は役割・資格が異なります。1号の指導教育責任者資格者証だけで、機械警備業務管理者の資格者証に代えたとは扱いません。
資格取得の主な経路は、公安委員会が行う機械警備業務管理者講習を修了して資格者証の交付を受ける方法です。講習修了証明書を受け取ることと、資格者証の交付を受けることは別です。同等以上の知識・能力による認定の経路も法に定められていますが、経験があれば自動的に資格者になるわけではありません。
講習日程・申込先・資格者証交付の要件や必要書類は、申請先の公安委員会の案内で確認します。例えば警視庁は講習の受講と資格者証交付申請を別に案内しています。開始予定から逆算し、受講・修了考査・交付の準備を進めてください。
確認先:警視庁「資格者証の交付申請」
専任は原則。兼任には条件と承認がある
管理者は原則として基地局ごとに専任です。警察庁通達は、その基地局に常勤して管理者の仕事に従事できる状態と説明しており、管理者の業務だけに専従することまでは求めていません。ただし、他の仕事をしても管理者の業務に支障がないことが必要です。
同一の機械警備業者の複数基地局での兼任は、対象施設の合計数が5,000以下であることに加え、管理業務の適正な実施に支障がないとして、関係する公安委員会の承認を受けることが条件です。施設数だけで兼任可能と判断せず、指令件数、勤務員、通信方法等を含む体制を確認します。
管理者は装置の運用・維持管理の計画、指令基準、警察機関への連絡指導、記録の監督、事業者への助言などを担います。資格者の名義を置くだけではなく、勤務と権限、故障時の対応、交代時の引継ぎまで整えましょう。
即応体制は、業務地の公安委員会規則に合う配置で整える
異常情報を受信したとき、速やかに警備員が現場の事実確認等を行えるよう、必要な警備員・待機所・車両その他の装備を適切に配置します。全国向けの法律だけでなく、業務地の公安委員会規則で具体的な基準を確認してください。
例えば大阪府の規則では、原則として基地局で情報を受信してから25分以内に現場へ警備員を到着させられる配置が必要です。へき地等で一定の措置が可能と公安委員会が認めた対象施設に関する例外もあります。これは大阪の規則の説明であり、全地域・全施設について無条件に同じ扱いと断定するものではありません。
時間は「出動を指示した時」ではなく、情報を受信した時から確認する基準です。待機所からの走行時間だけでなく、受信・確認・指令・出発を含む流れを検討します。通常の交通状況、対象施設の増加、同時に複数の異常が発生する場合も考慮して、受託範囲と配置を整えます。
基準に合う体制を整えることと、顧客へ「必ず25分で到着する」と保証することは同じではありません。契約で説明する対応内容と、実際の運用体制を一致させてください。
確認先:大阪府「機械警備業者の即応体制の整備の基準等に関する規則」(地域例)
待機所は警備員が待機する施設です。警察庁通達では、駐車場の一画を継続して使う場合など、建物ではない場所も含まれます。一方、路上駐車で場所を定めず待つ場合等は含まれないとされています。場所の確保、利用権限、連絡方法、車両・装備を具体化します。
基地局の記録は、営業所の一般書類と別に整える
法第44条の基地局の備付書類には、待機所ごとの警備員の氏名、対象施設の名称・所在地に加え、施行規則第64条の事項を記録します。営業所に警備員名簿や契約書を保存するだけでは足りません。
- 基地局・待機所の位置と、待機所ごとの担当区域を示した地図
- 待機所・市町村等ごとの対象施設数(別記様式第21号)
- 対象施設ごとの路程と、受信から現場到着までに通常要する時間
- 待機所ごとの車両・装備の種類と数量
- 情報の受信日時、対象施設、講じた措置と結果、出動した場合の到着までの時間
このうち情報の受信・措置・結果等の記録は、受信日から1年間備えておくことが定められています。全ての基地局資料を一律に「1年で廃棄してよい」と捉えず、継続して使う配置図や施設台帳は現状に合わせて更新します。
必要事項を電磁的方法で記録し、必要に応じて直ちに表示できる場合は、書類に代えることができます。データを保存するだけでなく、担当者が検索・表示できること、入力漏れや記録の食い違いがないことを確認しましょう。
契約書面や営業所の共通記録は、警備業の契約書面と備付書類で扱っています。機械警備の契約でも、基地局・待機所や機器、維持管理など、業務内容に対応する記載を確認します。
確認先:e-Gov法令検索「警備業法施行規則」(第64条・第65条)
基地局・待機所・管理者の変更は、運用と届出を一緒に見直す
基地局や管理者、待機所等の届出事項が変わった場合は、法第41条の変更届を確認します。規則上の期限は、変更事由が生じた日から10日以内です。機械警備の変更届と、事業者名・住所等についての一般の変更届は、変更内容に応じて区別します。
機械警備業務について都道府県内廃止届を出すのは、その県内の基地局と対象施設が全てなくなった場合です。基地局を閉じても、その県内の施設を他県の基地局から引き続き警備するなら、単純な県内廃止ではなく変更として確認します。
設備を増やす、対象施設を広げる、待機所を統合するときも、届出書の記載だけでなく、到着時間・担当区域・人員配置・契約内容への影響を点検してください。
機械警備の開始準備を相談するときに用意したい資料
所轄窓口への事前確認には、受信から現場対応までの業務図、基地局・待機所・対象施設の位置、管理者と勤務体制、開始予定日を用意すると、必要な手続を整理しやすくなります。技術方式や委託関係が複雑な場合ほど、名称だけでなく実際の流れを示しましょう。
認定申請と機械警備開始届、管理者資料、複数県の手続をまとめて準備したい場合は、サクセスファン行政書士事務所へご相談ください。設備・現場運用の担当者と共有できる資料を基に、届出準備の相談を進めます。
